「ここは――」
「爆弾テロのあった場所だ!」
「この陸橋が…」
「ッ、危ナい。マンモンの攻撃ガこちラに来るヨ!」
ハッとした子供たちは、直ぐ様陸橋を下りていく。「あの時もこんな感じだった!」
走り廻る怪獣。空を飛ぶ怪獣。そして壊されていく街並みが火で、溢れかえっていく。「あの時と同じだ…」陸橋の下に隠れた子供たちは、呆然と呟いた。
「火の玉が陸橋を壊したんだ…!」
「いや、あの時火を噴いたのは飛んでた方じゃない!もう一匹の方だ!」
「そうだ、戦ってたんだ。何かと、何かが…」
断続的に甦る記憶を掘り起こしながら、少しずつ興奮していく子供たち。そんな子供たちの言葉を聞いて、栞は目の前が鮮やかに染まっていった。
―――…会いにきてくれたんだね。わたしも、会いたかったよ。
無邪気に ただ無邪気に笑う わたし。止める兄は、ただ私を抱きしめる。 おじ夫婦が家を出て行ったのは、次の日だった。
―――…『 』!
だから。そう呼ばれた。
わたしが『あれ』を呼んだと、『あれ』を使役するように嬉しそうに笑うわたしを。
―――…『 バケモノ 』!
そう、呼ばれた。
忘れていた。おそらく、嫌な記憶は、思い出さないように封じ込めていた。だから、爆破テロのことも覚えていなかったのだ。――否。
―――…このことは忘れような。お前は何も、背負わなくていいから。
( ワスレ、ナキャ )
暖かい声が、そっと記憶に蓋をした。再び、脳内がぐちゃぐちゃと様々な色のえのぐで塗りつぶされていった。呆然と立ち尽くす栞の瞳から、ぽたん、と涙が零れ落ちた。
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