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  • 第23



    恋愛のすれ違いは当人にとっては悲劇であり同時に第三者にとっては喜劇である。
    第23話は第22話に引き続き、ナミンとスンホはアンジャッシュのように情報と感情が交錯する。
    二巻収録話の中でもっとも喜劇性が高い作品になっている。


    二人の会話について今回も説明していく。
    ちょうど2021年度共通試験の土日だったのでそれに倣って書いてみよう。
    なお、面倒なので推敲はしない。
    ばーっと書いていく。

    では唐突だが読解力を試す設問に挑んでほしい。


    問い、23話本編を読み、以下からスンホの心情にもっとも近い回答を二つのうちから選べ。正解がない場合は自由文による解答も可とする。



    スンホはナミンとの情熱的な一夜が気に入った。
    またしたいと思っている。
    ここ大事。

    @パターン「あの夜はお互いに嘘と嘘を重ねて了承した確信的行為だろう?」
    初夜翌日、スンホは機嫌よくナミンの部屋を訪れ怪しい雑談を交わす。
    しかしこれが悲しいアンジャッシュの会話だと分かっているのは読者だけである。
    「ちっとも姿を見せなかったな(あの夜のことを覚えてるのか探りを入れる。酒臭かったし疑ってる)」
    「ははは!(アンジャッシュ発動。たしかに早めに床に就いたな!!一緒に!!ナミンが記憶しているのを確信した笑い。OKOKOK同意だな!)」
    「確かに正体をなくしていたな(婉曲の会話に付き合う気があるんだな?このまま茶番の会話を続ける気になる)」
    「描かなければならぬ春画があるはずだぞ(二人の夜を思い出せ。あれも描けと要求)」
    「赤子でも孕んだのか?(性行為を示唆する直球なセリフ。もちろん男なので子供はできない。そもそも子供が出来ない相手への言外の皮肉でもある)」
    「描けなければ私が思い出させてやろうではないか(予告。煽り。またやる気満々)」
    「酔いに効く煎じ薬だ(酒をのんだのはお前だって知ってるんだぞ。会話が全て茶番であると示唆)」
    スンホは会話の中で二人の性行為を匂わせる発言を繰り返す。
    しかし上流階級の回りくどい雅な会話(皮肉)は低俗なナミンには通じない。
    (何言ってるんだコイツ?意味わかんね)
    そもそも完全に忘れてるナミンは訳が分からないのでお得意の「嘘」や適当な回答で言葉を濁す。
    それすらも意味が通ってしまうのがアンジャッシュの恐ろしいところだ。
    「(あなたと)早めに床に就いたものですから(スンホにとっては初夜の同意だが、ナミンにとってはただの嘘)」
    「なんのことやら(スンホにとっては描きたくないとしらを切ってるが、ナミンにとっては本当に分からない)」
    一人で盛り上がって楽しんでいるスンホは読者にとっては喜劇だ。
    スンホは性行為は二人の同意があり、あの夜はお互いに嘘と嘘を重ねて了承した確信的行為だと思い込む。
    しかし実態は二人とも本当に勘違いして起こった事故や怪我のようなもの。
    ビョンドク氏はスンホのスケベ心をコミカルに喜劇として描いている。

    Aパターン「私は何もかも分かっている。読者と一緒に喜劇の会話を楽しもうではないか」
    初夜翌日、スンホは充足感を得てご機嫌である。
    酒臭いが楽しい一夜であった。
    果たしてナミンはどこまでが正気だったのだろうか。分からない。
    それならば分からないことが大前提、婉曲的な会話でこの曖昧な空気を楽しんでみようという気になった。
    スンホはナミンとの会話が最初からアンジャッシュであることを気づいていて会話の雰囲気を楽しんでいる。
    「ちっとも姿を見せなかったな(お前が犯人だとすぐにわかった。酒を盗んで姿を消し、私が探しに来ると計算していたのか?誘っていたのか?と問う)」
    言外の意を汲まねば成立しない会話形式で雑談を挑むが、ナミンからの返答が意外とすらすら意味が通る。
    「早めに床に就いたものですから(さあ?お酒なんて知りませんよ。私は泥棒じゃありません。でも、あなたと早々に床につけて大成功でした)」
    スンホはナミンの返答に大受け。馬鹿笑い。
    二人の間で奇跡的に駆け引きが成立している。
    「ははは!(肝が太いな。そんなに酒臭いのに酒を盗んでないと嘘をつくか。バレバレだ。そのくせ初夜は匂わせる。私を誘惑するために酒を盗んだと言ってるようなものだ。偶然にしても上手いなコイツ。いや…本音なのか?分からない。でも面白い)」
    スンホは会話が楽しい。
    「確かに正体をなくしていたな(今現在、この会話も正体がないことを示唆。紙のように薄っぺらくふわふわしている。曖昧だ)」
    「描かなければならぬ春画があるはずだぞ(ナミンは本当に覚えてないのだろうか。要求して探りを入れよう)」
    「なんのことやら(知らない、と明確な返答があれば会話の妙は終わるはずだった。偶然にも曖昧な返事により自分の春画なんか描きたくねーよ、という意味の会話になり、これもまた奇跡的に貴族的な婉曲な会話になってしまう。)」
    スンホはえづいたナミンですらも楽しくてたまらない。
    「赤子でも孕んだのか?(偶然が重なって妊婦みたいな真似してやがる。会話は通るしリアクションまでネタに寄せてくる。こいつ面白い)」
    ニヤニヤを抑えるために口元を隠す。
    どうも下ネタは好きみたいだ。
    会話が楽しいので、ナミンのことがさらに気に入った。
    「時間をたっぷりやるから記憶をさかのぼってみるがいい(マジで覚えてないのか。思い出す努力を促す)」
    「描けなければ私が思い出させてやろうではないか(覚えてるだろ?でも覚えてないならそれでいい。初夜も会話も楽しかったしもう一回こいつとやりたい。)」
    「酔いに効く煎じ薬だ(茶番の会話は終了の合図。これだけ初夜を匂わせる会話をして分からないはずがない。覚えてなくても何があったかは分かるはずだ。考えろ)」
    以上のように、ビョンドク氏は婉曲的な猥談が成立する喜劇に仕立て上げている。

    以上、明らかなフェイクを織り交ぜつつ上記2回答が23話の大柱である。
    上記を参考にあなたの回答を適当に組み立てて欲しい。
    さあ、スンホの心情はどっちだ。

    問い、「お前さんはなぜ狩りについて来たんだい?」に答えよ。



    「さあ?」
    とナミンは答える。
    若旦那に無理に連れてこられただけで実は理由は不明だ。

    なぜ若旦那がナミンを連れてきたのか?
    明確な答えが話中で提示されてない。
    予測できる可能性を理由と共にみっつ挙げよ。

    例)
    ・愛人同伴者に格上げされた。
    性交を経てスンホはナミンに愛人的役割を期待している。

    ・運動不足なペットの散歩感覚。
    ペットの健康と体調管理は飼い主の責任。
    スンホは懐に入ったペットの世話は苦ではないタイプ。

    ・お気に入りと離れたくない幼児性執着心。
    スンホはナミンといるとEDが改善したり不眠症が解消したり良いことがあるのでお守りのようなもの。
    玩具感覚で連れ回している。

    あれれ?夜画帳って旧約聖書モチーフではないか?




    昼食時間。
    ナミンの手から食べかけのリンゴを取り上げて齧りつくスンホ。

    作者のビョンドク氏はこの場面をモチーフに新規に一枚絵を描き下ろしている。
    それは狩衣姿のスンホがしゃがみ込んでナミンにリンゴを捧げている場面を描いたイラストだ。
    「どうぞ食べてください」
    と語りかけているようだ。

    本編と一枚絵は微妙にニュアンスが異なっている。
    この二場面、ちょっと考えてみたらすぐに有名なシチュエーションが思い当たる。
    旧約聖書のアダムとイブだ。

    最初にイブが食べて、次にアダムが食べた知恵の実。
    善悪を知った男女は楽園追放の憂き目にあい、二度と神の地に戻れなくなった。
    二人は強制的に自立し、苦難の末に多くの子孫を儲け人類を繁栄させる。

    夜画帳が旧約聖書モチーフであった場合、
    本編に登場する「匂いを嗅いだだけで酔う貴重な酒」は知恵の実と同義である。
    スンホとナミンが罪を分かち合ったことの暗喩となる。

    旧約聖書において女は嘘をついて男を騙し、知恵の実を食べさせる。
    最初にナミンが嘘のキスをして誘惑し、次にスンホが騙し、罪を犯す。
    初夜が明けた日の回想で酒を飲んだ犯人であるナミンが「酒なんて知らない」と嘘をつくのも「リンゴ食べてません」と神に嘘をついたイブをなぞってる。
    神の園(高貴な公達が集う宴)からイブ(ナミン)が知恵の実を持ち出して食する。
    やってきたアダムに嘘のキス(唾液を移す)で彼に知恵の実を食べさせる。
    なお、知恵の実は「取って食べると死ぬであろう」とする禁忌の実である。
    (第1話での「自分は春画家ではありませんという嘘」がこの伏線であったなら、全編において旧約聖書モチーフがあるのかもしれない。1-3話と2巻しか読んでないから私はその他の情報を知らない。スンホには弟がいるらしい。カインとアベルであろうか?)


    一枚絵はイブに知恵の実を与えた蛇のシチュエーションを想起させる。
    顔で、声で、言葉で、蛇はイブを誘惑して罪を犯させる。
    スンホはお師匠さんをエサにナミンが己に戒めた春画という禁忌を犯させる。
    真実は春画どころではなく同性同士の性交という禁忌を犯すのだが、
    これは旧約聖書でもソドムとゴモラの都市が崩壊するほどの大禁忌である。
    スンホはアダムであり蛇でもある。
    ナミンは蛇に純潔を穢されたイブであり、またアダムの神性と純潔を穢した罪の化身でもある。
    楽園を追われた神の子アダムはイブのせいで無力な人間の男になるのだ。


    各人物像



    ユン・スンホ



    ペク・ナミン
    旧約聖書のリンゴモチーフにより穢れのない乙女だったことが発覚した。
    人格や肉体は男性だが彼の核は乙女である。異論は認める。
    (しかし乙女は穢されてしまう。失楽園やでー)
    彼の不幸は賤民であるのにさらに被差別対象の男色家という下の下に落ちてしまったこと。
    実家が妓生小屋だというから、周囲の体を売っていた女たちと同格かそれ以下の存在になってしまった。


    物語について




    メモ




    テスト

    ●いろはにほへとちりぬるを

    ○わかよたれそつねならむ

    ○うゐのおくやまけふこえて

    ○あさきゆめみしよひもせす

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