ずっとずっと、欲しかったものがある。手に入ることはないと言い聞かせて、諦めようと目を反らしていた。視界に入れることを拒んで、ただ場面を見つめていた。幼いころから、ずっと。
「まきしま、しょうご」
それなのに、どうして今更現れるのだろう。自由を象徴するかのように動き、言葉を紡ぐ姿は狂おしいほど焦がれたものに似ていて。手が届かないとわかっているのに、馬鹿なあたしは手を伸ばしてしまう。
誰にも気づかれないように、何重にも覆って隠してきた擦り切れた心に、あんたという存在は毒すぎた。あたしにとって光ではなく、誘蛾灯だったと知ったころにはすべてが手遅れ。
「……ごめん、縢」
目の前が弾けて、視界が真っ赤に染まった。
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焦がれる