私と真の関係は何かと聞かれても、きっと即答することはできない。友人でも、恋人でもないこの関係に名前なんてあるのだろうか。友人と呼ぶには近すぎて、恋人と呼ぶにはあまりに冷めている。

「自分ら、似た者同士やなぁ」

一度だけ、今吉さんにそう言われたことがあった。中学のときのことだ。突然言われたために、二人で目を合わせてから鼻で笑った気がする。今吉さんが何か文句を言っていた気がするけれど、そこはどうでもいい。

――似た者同士。私と真はそんなに似ているかしら。首を傾げてみるけれど答えなんてでそうにない。元々、感情的なところを考えるのは苦手なのだ。向いていないにもほどがある。こういう考察は、すべてあの妖怪に任せておくべきだ。なんて考えてはため息を吐いた。

「なんだよ」
「…ああ、そういえばいたわね」

実は同じ部屋にいた真が、こちらを見て怪訝そうな顔をした。さらりと揺れた黒髪に、なんとなくいらついたので、真が苦手にしている今吉さんの名前を出してやった。今吉さんのことは、真に劣らず私も苦手にしているのだけれど。

「今吉さんが、私たちを似た者同士って言ったじゃない」
「……ああ、そんなこともあったな」
「そんなに似ているかしら」

予想通り顔を歪めた真に、思わず笑いそうになる。苦手とは言っても、嫌ってはないくせに素直ではない。それは私もかと思ってから、はたと気づく。もしかして今吉さんが言っていたのはこういうところではないか、と。私も表面上は今吉さんを苦手としていて、会った時には顔を顰めたり素直じゃない言葉を吐いたりする。だからといって今吉さんを嫌っているわけではない。むしろ、少なからず尊敬している。

「やっぱりいいわ。わかったもの」
「本当だろうな?」
「ええ、もちろんよ」
「…一応、一応でいいから言ってみろ」
「今吉さんのことが嫌いではないところ?」
「ちげぇよ!!」

そんなに怒らなくてもいいじゃない、と真を見ると、真はなんだか疲れたような表情をしていた。どうやら当たっていなかったようだ。真は大きなため息を吐くと、頭痛を堪えるように頭に手をやった。

「なんでそんな答えになったのかはこの際どうでもいい、お前、何を考えてた?」
「真との関係、かしら」
「ああ、それで」

たったこれだけのやり取りで、私の真意に辿りつくのだから恐ろしい。ふはっ、といつものように笑った真は、少し強引に私の体を抱き寄せた。バランスを崩して真の膝の上に乗ることになるのだけれど、然程気にすることではない。急に何をするのかと真を睨めば、意地悪そうに笑っている。

「そんなもん、考えるだけ今更だろ」
「まぁね」
「まぁ俺は、俺の隣に立てる女なんざお前くらいだと思ってるけどな」
「……随分と上からなのね」
「あ?悪いかよ」
「いいえ、悪くないわ」

傲慢な言葉に小さく笑って、真の首に腕を回す。近づく顔を見ながらふと思う。顔は整っていて、身長もほどほどに高い。運動神経も悪くなければ、頭脳は言うまでもない。二人そろって全国でも上のほうだ。自分で顔が整っていると言うのはアレだが、事実だから仕方がない。そして何よりも、私たちは自他ともに認めるほど、性格が悪い。意外とあった共通点に、苦笑しそうになった。

触れ合った唇から伝う熱を感じながら、そっと目を閉じる。表情も心も冷たいくせに、どうして唇や舌はこんなに熱いのかしら。こういう真を知るのは私だけでいいのに、なんて。そんなことを思った自分に、少しだけ驚いた。




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