開発室へと続く道を、鼻歌まじりに歩く。本部に着いて早々にツナギに着替えた、その足取りは軽い。すれ違う人の生温い視線なんて知るもんかと歩いていれば、数メートル先に見知った背中が見えた。
「ふっゆじっまさーん!」
「っと、おう。ヒナか」
背中に飛びついたヒナを軽々と受け止めた冬島さんは、今日は機嫌が良いなあ、なんて笑ってヒナの髪をぐしゃぐしゃにする。いつもなら怒るところだけど、今日のヒナは機嫌が良いから許してあげようじゃないか。ふふん、なんて。
「何か良いことでもあったのか?」
「もうすぐトリガーが完成するんです!」
「お、この前から取り掛かってたやつか」
「そうそう!モニタリングがまだだけど、理論上では完成なんです」
あの綺麗なフォルムを思い出すだけで、なんだか早足になってきた。ああ、こうしてはいられない。そわそわするヒナに、冬島さんは苦笑いしながら手を振った。
「完成したら冬島さんにも見せたげますね!」
「おー見せてくれや」
冬島さんの声を背に、小走りで開発室に向かう。すれ違う同僚に挨拶を返しながら自分の机に向かえば、そこには完成間近のトリガーがあった。にんまりと口角が上がるのがわかる。
「さあって、ドリルちゃんいきますよっ」
愛用のドリルとともにトリガーへと向き合う。さあ、この子を完成させるための最後のピースは、どれにしようか。
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