太刀川くん、風間さん、村上くんや影浦くん、他にもたくさんのひとと戦って、流石に疲労感を覚え始めた頃。出水くんと入れ替わりでブースに入ってきたのは、悠さんだった。珍しい、と目が丸くなる。

「ふふ、嬉しいです。悠さんもお相手してくださるなんて」
「そう?……だって、これが最後なのに水臭い
じゃない」
「どなたから?」
「迅。最後は自分が貰うけどね、なんて勝手に言っていたけれど良かったの?」
「構いませんよ。迅くん、……ううん、悠一くんなら。ずっと苦しいことばかり共有していましたから、最後は嬉しいことを共有したいです」

そう、と零した悠さんがその美しい顔に微笑を浮かべる。同性のわたしですら見惚れるような、優しい表情。もしかしたら、わたしが思っているよりも心配をかけていたのかもしれないと、今更ながらに少し不安になった。

「悠さん、」
「本部には、残るんでしょう?」
「はい、その予定です」
「個人戦が出来なくなるのは寂しいけれど、これからはしたいことだけするのよ。あなたがやらなくてはいけないこと、なんてボーダーの中にはないんだから」

冷たいようで、優しい言葉に胸がぎゅっと締め付けられる。「はい」と頷いたわたしを見て、悠さんの周りを綺麗なキューブが囲う。トリオンで作られているのに、まるで星のような輝き。

悠然と行んで、「いつでもどうぞ」とばかりの構えに孤月を握って踏み込んだ。憧れの悠さん、今日はあなたを超えていきたい。



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紅花の晩