「おやすみ、海」

ずるりと落ちた海の手に、疲れたなあと目を瞑る。それでも、俺にできることは全部できたと思う。

何日か前に切ったこの子の髪は少しずつ分けて忍術学園の恩師や、所在が分かる限りの、この子が親しくしていた相手のところへこっそりと送った。柔らかな小豆の髪だから、きっと分かるはず。

約束だって守った。何年も大切にしてきたこの子はきっとみんなが思っているより弱くて、寂しがりで、甘えたがりで。いつだってひとりになることを怖がっていた。だから、俺より後に死ぬことが耐えられないことも知っていた。

何度だって思う。武器なんて持たなくて良いはずの、柔らかくて小さな手だったのに、俺を追いかけてこんなところで死なせてしまった。俺が動けなかったから、自分の手で命を絶たせてしまった。できることは全部やったけれど、それだけが心残りになりそうだ。

「……さっさと、甘味屋にでも、なんでも、なればよかったなあ」

こちらを覗き込む気配がする。良かったね、お前らの望む通り俺たちはここでお終いだ。血を失いすぎて冷たくなった海の体を抱き寄せようとして、指ひとつ動かないことに気づく。来世があるなら、また会えると良いなあ。



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懺悔なら心音のするうちに