@rkrn/麻子ちゃん
麻子ちゃん、と呼びかけるときゅるんと可愛い笑顔が見えるけれど、つい先程までは真剣な表情が手元に注がれていたことを知っている。「なぁに?」「あのね、次の実習のことで相談があるの」手元の道具を置いてこちらを向く麻子ちゃんに目を細める。体が弱くたって真剣なこと、みんな知ってるんだから。

Arkrn/久遠ちゃん
そっと、名前を呼ぶ。菖蒲の髪を揺らして振り向いた久遠ちゃんに「大好きよ」と告げる。長い睫毛を伏せ、はち、はちりと瞬きをして「ありがとう」と、それでも首を傾げる久遠ちゃんにきゅ、と口角を上げてみせる。私が、私なんかが、と思うけれど。少しでも繋ぎ止められる存在に、なれたらいいのに。

Brkrn/ゆやさん
失敗はしていないけれど、少し手間取った課題を終えて学園の門を潜る。体はもう、くたくたで。小松田さんと一緒にいたゆやさんが私に気づいて「おかえりなさい」と柔らかな笑みを浮かべる。無性に泣きたくなるような安心感。涙が溢れないように瞬きを堪えて、ただ目を細めた。「ただいま、戻りました」

Crkrn/さなぎ先輩
桃色の衣を捲し上げて、武具に向き合う姿を盗み見る。私では重たく感じるそれを、持ち上げられるその腕が羨ましい。「…おい、他者を妬むな」厳しいけれど、冷たくはない眼差しが私を射抜く。「海には海の戦い方があるって、教えただろ」胸がきゅ、となる。「はい、」と応えた声が震えてないといいな。

Drkrn/六郎太くん
危ないかも、と覗いた穴で寛いでいる姿に目を丸くする。「そうきたか」「えっと、なにしてるの?」答える前に、少し土がついた髪を掻いて哉川くんが立ち上がる。温度の低い眼差しが重なった。「…サボり?」「…ふふ、悪いんだ」内緒な、と続いた言葉に頷く。思っていたより、怖いひとじゃないのかな。

Erkrn/沙子ちゃん
人気の少ない場所で膝を抱えて座り込む。どうしても、どれだけ頑張っても上手くできなくて消えてしまいたくなる時がある。息を殺して、縮こまって気持ちが落ち着くのを待つ。そんなとき、沙子は静かに隣にいて、傷ついた手のひらに包帯を巻いてくれた。「おまじない、ね」私は、いつも甘えてばかり。

Frkrn/吉名先輩
ぐるん、と体勢が変えられて地面に転がる。息を詰めて、すぐ立ちあがろうとしたのに首には苦無が突きつけられて。「…参りました」眉を下げて彩先輩を見上げる。同じように眉を下げた彩先輩が、ほっと息を吐きながら差し出す手を握って腰を上げる。確かに背丈は負けているけれど、私もくのたまですよ。

G rkrn/あずみ先輩
「あずみ先輩!」とと、と駆け寄って軽く袖を握る。「どうしたの?」「あの、実は……!」実習が上手くいって、と続けようとした言葉を飲み込む。遠くから拾った足音に気づき、腕を解いて半歩後ろに下がった。曲がり角から現れた下級生たちとすれ違ったことを確認して、指先を弄りながら息を吐く。危なかった。あずみ先輩は優しく笑って「びっくりしちゃったね。…ふふ、実は、どうしたの?」と首を傾げながら、私の背中を撫でてくれた。顔が熱い。もう14歳なのに、初めて上手くできたから声をかけちゃいました、なんて。言ったら呆れられるかなぁ。

Hrkrn/望ちゃん
不破くんを見つけて、顔を綻ばせる望ちゃんに笑みを溢す。「なに?」途端にいつもの涼しげな表情に変わる望ちゃんに、ふふ、と笑みを溢す。「あのね、」「うん?」「不破くんが言ってたの、望ちゃんは可愛いよって」「……うん!?」「私は綺麗だと思ってたんだけど、不破くんの言った通り、可愛いね」

Irkrn/辰弥さん
羨ましいな、と思う。けれど、気にかけてくださっていることも知っているから、そっと口を噤む。「どうしたの、海」元気がないね、と頭を撫でる手に目を伏せる。「なんでも、ないですよ」私ももっともっと頑張れば強くなれるのかな、とは卒業するまでも、卒業してからも聞くことができなかった。




表紙 / top


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