@rkrn/シキちゃん
お出かけに誘われて嬉しかったけれど、どうしようとも思う。湿気で広がる癖毛を握って木陰で溜息を吐いた。「…あれま、こんなところでどうしたの」柔い笑声。気が抜けてほろ、と涙が溢れる。「シキ先輩ぃ…」よしよし、と撫でる手が温かい。お洒落ってなんですか、と零すとシキ先輩くすりと笑った。
Arkrn/麻子ちゃん
隣を歩いていた海ちゃんが「あ、」と零して立ち止まる。今は放課後で、彼方此方から委員会活動をしている声が聞こえていた。「どうしたの?」と首を傾げると、木苺みたいな瞳に焦りを浮かべた海ちゃんに手を引かれる。視界が暗くなって、頬に柔い感触が触れる。「エッ」なになに、どうしたの。
ぎゅっと頭を庇うように抱き締められたかと思えば、近くで大きな破裂音が響いて、肩を竦ませる。「わ、…ごめんね、髪飾りがずれちゃった」解けた腕から顔を上げると、眉をへにゃりと下げた海ちゃんが苦無を握っていた。足元には、破れたバレーボールの残骸。そういえば「アタック」って聞こえたかもしれない。
ぽかんとする私に気づいていないのか、海ちゃんは「食満先輩に、怒られちゃう…」なんて呟いている。驚きだけじゃない、ドキドキと鳴る胸元を握り締める。「海ちゃん…!」「は、はい!あ、ごめんね、髪飾り直さないとね」すっと伸びた指が髪に触れる。顔を覆う。海ちゃんは可愛いだけじゃなかった…!
BFF14/レガリオさん
誰よりも奔放で自由に生きるひと。それが、レガリオさん。新大陸の、見たこともない生物を見た途端にカトラリーを手に駆けるものだから「せめて武器を持って!」と叫んだのに、振り向いたレガリオさんは笑っていて。もう、と肩を落とす。せめて火は通してよ、とイフリートを召喚したあたしは悪くない。
Cbrmy/明澄
あなたがきらい、と言えたら良かったのに。飾り気のない、かさついた指を包む手がいつも熱くて、言葉が喉に張り付いて出てこない。「強がらんでええよ、俺しかおらんから」と嘯く貴方に、心がぐらりと揺れる。静まり返った研究室に、ふたりぼっち。世界もふたりぼっちなら、良かったのに。
Dmhyk/オエアメ
お前といると甘くてふわふわのどろっとしたものを食べたときと同じくらい、不思議な気持ちになる。そう伝えると、ミルクの中に蜂蜜がとろりと混ざり合うように、あいつは微笑った。「まあ、オーエン様ったら」本当に可愛いひとね、と夜空をそっくり映した瞳が瞼に隠れた。意味が分からない。
Etkrv/蘭ルミ
ぴくりとも動かなくなった男を地面に落として、あーあ、と顔を上げる。さっきまでケータイを弄ってたルミも同じ顔をしていた。「わり、流石に年少だわ」「ばっかじゃないの」ぱたん、とケータイを閉じたルミが髪を掻く。「中で問題、起こさないでよ」と差し出された手にピアスを落とした。
Fmhyk/ネロ
わたしはとっくにあなたしか見ていないのに、あなたは寂しげに微笑って「俺にしなよ」と言う。ひとりの寂しさも知っているのに、だれかといる寂しさも知っていて、ひとりの楽しさを知っているのに、だれかといる楽しさも知っているひと。「あなたが好きよ」あなたは、信じてくれないけれど。
GWT/赤坂さん
「赤色は一番目立って、格好良いヒーローの色だろ。羽由はヒーローになりたいのか?」わたしが高校に行くたび、気にかけてくれていた優しい友達。ノートを見せてくれて、一緒にご飯を食べて。心配ばかり、かけて。「わたし、は、」唇を噛む。なりたいと思ったことはないけれど、ならなくては、と思う。
HWT/赤坂さん
屋上から飛び降りる。浮遊感も緊張感も、何も怖くはない。空中で弧月を抜いてトリオン兵を刻むと、鞘に収める頃には爆発していた。隣で弧月を振るっていた太刀川くんと目が合う。「…これで、イーブンですね」細められた目から、顔を背ける。いつかこの均衡が崩れることを、恐れているのはわたしだけ。
IWT/諏訪赤
ほっそりとしているのに、瞳だけはギラギラとしている。復讐を誓ったのだという三輪くんを、直視することができないわたしを抱えて、諏訪さんが息を吐く。「あいつの感情に、巻き込まれんなよ」ぐしゃりと、髪が掻き混ぜられる。心臓が軋む。わたしの立ち位置は、本当にここで合っていますか。
表紙 /
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111〜120