@WT/犬公
名前を呼んで、指を握る。握るというよりは、指先を掛けただけのそれを優しく握ってくれた犬飼に、額をぶつける。肩に、こつんと。「なに、どうしたの」「元気、ないから」「そう?」うん、と頷いて額を押し付ける。繋いだ手を、優しく揺すられた。気にしいなんだよ、犬飼も、みんなも。
AWT/和花ちゃんと寺島さん
トリオン器官に収まらず、体中を巡ったトリオンが指先から溢れる。ぴし、と指先が裂ける。その光景を間近で見た寺島くんは目を輝かせたけれど、すぐに落ちついて応急処置をしてくれた。「トリオン、いらないの?」欲しいよ、と微笑う。「でも、無理に奪うものでもないから」なんて、逆に戸惑う。
Brkrn/久遠ちゃんと
そっと、名前を呼ぶ。菖蒲の髪を揺らして振り向いた久遠ちゃんに「大好きよ」と告げる。長い睫毛を伏せ、はち、はちりと瞬きをして「ありがとう」と、それでも首を傾げる久遠ちゃんにきゅ、と口角を上げてみせる。私が、私なんかが、と思うけれど。少しでも繋ぎ止められる存在に、なれたらいいのに。
Crkrn/ゆやさんと
失敗はしていないけれど、少し手間取った課題を終えて学園の門を潜る。体はもう、くたくたで。小松田さんと一緒にいたゆやさんが私に気づいて「おかえりなさい」と柔らかな笑みを浮かべる。無性に泣きたくなるような安心感。涙が溢れないように瞬きを堪えて、ただ目を細めた。「ただいま、戻りました」
Drkrn/勘海
勘ちゃんの両手が頬に触れて、そこからじんわりと伝わる体温に、自分が冷えていると気づく。「こーら、暖かくしてって言ったのに」ごめんね、と俯く。そのまま抱き寄せられて腕の中に収まった。「風邪、引かないようにね」「うん、」……でも、勘ちゃんがいないと寒いことにも気がつけないのよ。
Erkrn/久遠ちゃんと
祈るように握られた手に優しく傷薬が塗られて、丁寧に包帯が巻かれていく。憂いを帯びた瞳が、私を見ていた。「私は、海ちゃんが痛いのは、いやよ」貴方だって、そうでしょう?と言われて、小さく頷く。「ごめんね、久遠ちゃん」優しい温もりに手が包まれる。私も、貴方が痛いのは、いやなの。
Frkrn/勘海
そっと手を握る。幼い頃よりも硬くなったけれど、安心できることに変わりはなくて。「なに、寂しくなったの」「うん、」勘ちゃんが笑う。忍術学園に入って、友達ができて、世界が広がって。だけど、私の手には貴方だけ。「ひとりに、しないで」呪いに似た言葉を、今日も貴方は笑って受け止める。
GWT/嵐夏
嵐山が笑うと、チカ、と視界が煌めく。日光を浴びていると疑うほどに眩しいそれは、私だけでなくてみんなの希望だと思う。「夏々子さんも休憩ですか?」握られた手が、熱い。「早く、戻りなって」「休憩中なので」指が絡む。じわりと、耳まで熱くなる。振り解けなくなった時点で、私の負けなんだって。
HWT/犬公
笑っているのに疲れた顔をしている犬飼の前に立って、影浦の口にチョコエッグを押し込む。ギザギザの歯がチョコに食い込んだ。「あ?」「影浦の、ばか」犬飼の手を引いて、走る。怒った声が聞こえた。「公ちゃん、ちょっと待って」「またない」手を握る。あなたが笑えない理由は、いらない。
IWT/諏訪赤
死にたいと思ったことはないけれど、死ねば良いとは思っていた。みんなの役に立って、早々に死ねば良い。それなのに、貴方が惜しむから。「肉まん、食ったことねぇの?」頷くと、半分こにしてた。「眠れねぇの?」頷くと、好きな小説を貸してくれた。「ねぇ」「ん?」貴方、私をどうしたいの。
表紙 /
top
121〜130