「挿れるよ…」

精市はそう小さく呟くと、亀頭からゆっくりと膣に挿入していく。太く膨張したペニスが狭い私の中に捻じ込まれていく度、熱く湿った内壁に擦れて欲しがりな愛液が止まらない。ずぷ、と音を立てて根本まで挿し込まれれば子宮口に先端が当たって、そういえば今日は危険日だったと生の感触に震えた。はち切れそうに興奮している肉棒が、窮屈に締め付ける肉塊を突き進んでいくのに痛みは無く、そこに私が感じるのは異物感と圧迫感、そして言い知れぬ快感の三つだった。

全て収まった状態で精市は中の具合を確かめるように軽く腰を揺らしながら、動き出しを見計らう。

「…全部入ってるよ。名前、キツイね…俺の精液、全部搾り取る気かい?」
「ん、はぁっ、あぅ」
「フッ、…欲張りな子だ…!」

ぐちゅぐちゅ!

余裕の無い笑みの彼は、ペニスが抜け出るギリギリまで腰を引き一気に奥の方まで突き刺した。日頃テニスで鍛えられた引き締まった身体で打ちつける度ぶつかる尻肉が乾いた音を辺りに響かせ、悲鳴をあげるベッドのスプリングと美しい不協和音を奏でる。蕩けた膣口は熟れた果実のように蜜をどくどくと滴らせ、男のソレを咥えて歓喜していた。激しいピストンに脳天まで貫かれる思いで、はしたなく股を全開にし、精市の愛撫を全身で受け止める。絶え間無い甲高い嬌声は、間違いなく私の声帯から放たれているのだ。擦られて、気持ちいい、性に目覚めた後の悪夢は驚く程に心地良く、ずっと挿入されていたいとまたきゅんと膣を収縮させた。より奥へ、奥へと誘い込むように、肉棒の摩擦に夢中になりながら腰を動かす。

「あっあっあっ、ひあ"ぁっ、精市っ、いいっ、いいっ」
「…っ名前…、やばい、今日の君、可愛すぎるから…っんっ」

歯を食いしばり、切羽詰まった様子で射精感を受け流す精市の顔が男らしくて心臓が酷く脈打った。彼は私に覆い被さると、鎖骨から顎の下にかけてねっとりと舌を這わせながら荒い呼吸を繰り返す。生温い唾液に首筋を犯されながら、同時に下から突き上げられる反動にひたすらに揺さぶられた。身体も、心も、何もかも、性欲に堕ちた焦点の合わない瞳で精市とのセックスにアヒィと涎を垂れ流していたのだけれど、不意に、別のペニスが私の鼻先を掠める。鈴口から流れる先走りのツンとした匂いに欲情しながら見上げた先、周助がにっこりと微笑みながら私の前髪を鷲掴むと、そのまま強引に自身の方に顔を向かせた。

「名前ちゃん、だいぶ感じてるね?くすくす」
「あっあっ、周助っ、ん"!!んむっ!!」
「…ねぇ、ちょっと妬けるな。僕にも構ってよ」

彼はペニスを軽く握りながら私の頬や目元を亀頭でなぞって愉しみつつ、ふと唇の上まで辿り着くと、緩く閉じられたそこに昂ぶった太い肉棒を一気に捩込んだ。質量の大き過ぎるソレを容赦無く喉奥まで突き付けられ、先端が食道を掠める息苦しさで噎せ返しそうになるのを堪えて必死に咥え込む。精市に下から挿入されながら、上では周助に挿入されて大好きな二人のペニスに塗れたその姿はなかなかに滑稽で、しかし男達にとってはあまりにも煽情的な光景だった。涙腺から溢れ出す涙が顔に押し当てられた周助の陰嚢を伝うけれど、無論易々と抜いてはくれない彼は、甘いフェイスとは相反した低めの声で問い掛ける。

「舐めて。舐め方、わかるかな?」
「…ッ…」

唇とペニスの隙間から上手く飲み込めない唾を少しずつ溢れさせながら、わからずにふるふると首を横に振ると、周助は嬉しそうに目を細める。

「そう。口は慣れてないんだね?くす…そっか。じゃ、僕の言う通りにやってみてね。まず、歯は、立てずに…」

ぐちゅう!!

その直後だった。邪魔を狙ったかのようなタイミングで、精市は突き立てたペニスの先端を子宮口にぐりぐりと無理矢理捻じ込ませて来る。僅かな痛みを伴う攻め立てに声をくぐもらせた拍子に、周助のペニスに歯の先を掠めてしまった。周助は一瞬だけ顔を歪めて刺激を受け流した後、ギリ、と精市を静かに睨みつける。

「はは!名前。ソレ、噛みちぎっていいよ」
「……。…幸村に殺意が沸いたのは初めてだよ…」
「初めて?そうなのかい?俺はいつでも沸いてるけどね」

下を掻き回される感覚に呑まれそうになる。親指にむしゃぶりつく赤子のように、縋るように周助のペニスに吸い付くと腔内で一回り大きくなった。薄っすら血管の浮き出る裏筋を舌先で燻りながら全体に舌を這わせると、先走りが溢れ出したから周助が感じているのかと上目で様子を伺うと、彼もまた此方を見下ろしながら頬を薄っすらと赤くしていた。彼は栗色の綺麗な前髪に隠れた額に滲む汗を腕で雑に拭ってから、今度は私の乱れた髪を優しく直してくれる。やっぱり王子様みたいにキラキラしているけれど、私が咥えているグロテスクな肉棒が正真正銘彼のモノなのだと思うと、それだけで奇妙な興奮を覚えた。気付いた時には自分から彼のペニスに手を添えて、根本から鈴口にかけて丁寧に舐めあげる。

呼吸の浅い周助が、ピクン、と肩を震わせながら、小さく呟いた。

「んっ、名前ちゃん……っ、名前…っ、フェラチオが上手だね…興奮する……っ」
「ん"っ、ん"、ぅっ、むぐ」

ぱん!ぱん!

そうして彼は私の頭に掌を置き、ぐっと力を込めて角度を固定すると、今度は自身から腰を振り出す。顔面いっぱいに打ち付けられる彼の熱い下腹部は厭らしく、挿入されたペニスを口いっぱいに頬張ると雄臭くて美味しかった。激しいピストンに合わせてじゅるる!と音を立てながら試しに吸い上げてみると、周助の膨れた陰嚢がピクンと弾かれて射精が近いことを知らせる。一方で、精市も絶頂が近いのか私の両太腿を持ち上げて体勢を前のめりにしながら動きを加速させた。陰口を捲り、猛った太い雄を出し入れする度に愛液がぴちゃぴちゃと飛び散る。三人は狂ったように求め合い、天国を目指して快楽を貪り合う。

「あっ!あっ!!ん"ぁ!!ひあぁあっ!!むぐ、ぎもちいっ、ん"ッ」
「ふふ、俺の名前…愛してるよ…!」
「可愛いよ、愛してる、僕の名前…っ!」

ぐちゅぐちゅぐちゅ!!

「あ"ッ!!イクッ!!精市っ、周助ぇ…!!も、…イクッ、ひ、ひあ"ぁぁあああっっ!!!」
『…ッく…ぁ…!!』

次の瞬間、精市と周助はそれぞれ穴の最奥にビュルルル!と大量の精液を噴き掛け、私は身体を強張らせながら三人同時に達した。周助の精液の味を確かめるように口を窄めて胎内まで飲み干しつつ、子宮に直接注ぎ込まれる精市の精液の熱さに膣をキツく締めて肉棒を離さない。ドクン、ドクンと脈打つ二本に刺されて射精されながら、もうきっと忘れられないであろう最高の快感の余韻にただただ震えていた。暫くして全て出し終えた二人がペニスを抜くと、重みのある白濁が膣から、口許からどろりと零れ落ちる。

ヒクリ、ヒクリと痙攣しながら、更なる天国への階段を上る。モノクロに反転した世界で、それが奈落の底に向かっているとも知らずに、私は。

『愛してるよ、お姫様。まだまだ、これから』

咲き誇る二人の王子様、さぁ傅き、今こそ誓いの口付けを。舞い踊る幾千の花びらは見るものの視界を遮り、あらゆる全てを包み隠すでしょう。

そう、此処は、愛しくて奥ゆかしいモノクロの薔薇園。

全ては私の、思いのままに。


end.