「ちょっと不二、君出しゃばり過ぎ…控えなよ」
「そういう幸村だってずっと彼女に引っ付いてるじゃないか。彼女困ってるよ」

くちゅ…

「そんなことないよ。名前は俺が大好きだからね?ねぇ名前…」
「くす、名前ちゃん、こんな勘違いにしつこくされてすごく可哀想」

するりと伸ばされた二人の手が私の身体を無遠慮にまさぐる。精市は上を、周助は下を。指先が肌を掠める度にびくりと震える私の身体は駄目だと思う理性に反して熱を増すばかりで、ハァと篭った吐息を一つ吐き出した。精市も周助も、制服の上着を脱いでワイシャツのボタンを上から幾つか外した状態で、元々女性のように整った顔の二人が妙な色気を放ちながら私に密着してくる。精市は私を背中から抱き締め、周助は私の前で目を合わせながら美青年らしく笑む。無理矢理二人に一糸纏わぬ姿にされてしまって只でさえ恥ずかしいというのに、二人が先程から敏感な部分に触れてくるために私は声を押し殺して羞恥心に耐えていた。

精市が後ろから私の乳首を弄びながら汗ばんだ首元に顔を埋めると、情欲に充ち満ちた彼の熱っぽい吐息が柔肌に吹きかかる。ああ、私の中の雌の本能を掻き立てられるようでくらりと目眩を覚えた。逆らい難いこの誘惑を振り切ることは決して容易くはないだろう。ごくりと生唾を飲んできつく、ぎゅっと目を瞑る。

「は?何か言ったかい。言っておくけれど名前が濡れてるのは俺のせいだからね、あまり調子に乗らないでくれるかな」

ちゅ、と唇で肌にきつく吸い付き首の付け根にじわりと鬱血を残しながら、精市は私の膣の入り口でくちゅりと流れ出た愛液を掬う周助に向けて淡々として言葉を放った。精市の表情は私からは見えないけれど、今すごく嫌そうな顔をしているんだろうなぁと想像がつく程度にはあからさまな声色だ。すると周助は下半身を弄る手は休めず、空いた片方の手で私の顎に手を遣りぐっと上を向かせる。そうして唇に口付け、チュ、と小気味良いリップ音を残して離した。彼は鼻先が触れるほど近くで私の事をじっと見据えながら、クスクスと妖艶に笑って精市に答える。

「え?それが勘違いだって言ってるんだけどなぁ、僕」
「…本当ムカつくな、君って」
「そう?僕も君が煩わしくてどうしようもなく邪魔で仕方がないよ?」

私の前後で繰り返される穏やかでない言葉の攻防戦にびくびくと怯えながらも、見た目から想像し難い二人の男らしい手が私を隅々まで愛撫するのにいつしか全神経が伽済まされていく。だから周助が何の前触れもなく、ぐちゅり!と卑猥な音を立ててその細く長い指を三本も一気に膣内に突き刺してきた時には、まだ無防備な身体には強烈過ぎる快感に軽くイってしまった。我慢の限界を超えて思わず嬌声を上げる自分に、開放感にも似たある種の興奮を覚えてしまい、戸惑う。

「…んぁあ!!」
「ふふ、もうイっちゃったの?淫乱なんだね、名前ちゃん。可愛い…おまんこ、すごくぬるぬるしてるよ、気持ちいい?」

私を数秒の余韻に浸らせた後に、ぐちゅぐちゅと指の抜き差しをしながら周助が優しく微笑む。もう全て委ねてしまいたいなんて、そんな無害そうな笑顔とは裏腹に紡がれる卑猥な言葉の羅列にもこくりと素直に頷いた。すると周助は嬉しそうに目を細める。綺麗な茶髪の毛先をさらりと揺らして私の表情を覗き込む彼はお伽話の中の王子様みたいなのに、その下で行われているあまりに現実的な行為なんて私にはとても直視できない。彼の瞳に吸い込まれるようにぼんやりと周助と見つめ合っていたら、後ろで私達の様子を伺っていた精市が遂に不機嫌そうに声を発した。

「…名前、なに呆気なく不二なんかにイかされてるんだい、お仕置きされたいの?」
「んっ、痛…!」
「俺でしかイけないように、後でたっぷり教え込まなければいけないね…ほら、ごめんなさいは?」

瞬間、ギリ、と指先で乳首を強く挟まれ潰され、ビクリと背を仰け反らせた。

「ごっ、ごめ…なさ…ああっ!痛いぃ…!」

私が苦痛に顔を歪めると、精市は無言と共に冷ややかな瞳で此方を見下ろした。周助への嫉妬を露わに荒々しく乳房を揉みしだいたり、乳首を左右に弾いたり引っ張ったりしながら自分のものだと主張するかのようにチュ、チュと首に幾つもキスマークをつけていく彼は独占欲と自己顕示欲の塊みたいな人間だ。上半身の鈍い痛みと、下半身の甘美な快楽に理性がみるみる磨り減っていく。そうして理性の残骸が汚い本能とどろどろ溶け合って是非の区別もつかなくなりそう、言うなればセックスの快楽に忠実に、快感に従順に、雌の悦びの前には全てが無力だ。とにかく熱い、身体が。

顔を耳まで赤く染め上げて二人からの責め立てを恍惚として受け入れていたら、不意に膣に挿入された指がくいっと曲げられ内壁を爪先で引っかかれた。

「ひやああっ!」

痛みを上回る快感に膣が周助の指をきゅうと締め付けて離さないし、どぷりと溢れ出る愛液が彼の掌までぐちゃぐちゃと汚してしまってすごく恥ずかしい。ビクビクと身体を震わせて悦に浸る私の姿をその綺麗な瞳に映し出すと、周助はそっと手を伸ばし私の頭を優しく撫でてくれた。温かな指先の温度が上から下へ、髪を梳く感触にほっと安堵する。精市が耳元で、気安く名前の髪に触るなよとか地獄の底から這って出たような低い声で言っているのが何と無く聞こえたけれど気にしない。

そうして、くちゅりと膣から指を引き抜きながら周助は言った。

「感度いいなぁ…名前ちゃん、そろそろ挿れても、いいかな」
「ハッ、挿れさせるわけないだろ?」
「なんで幸村の許可が必要なんだい、さっきから彼氏面すごいウザいんだけど」
「は?」
「何?」

はぁはぁと肩で息をつく私の頭上でバチバチと火花を散らしながら睨み合う二人そっちのけで、充分に慣らされた私の秘部は彼等のペニスが欲しくて堪らない。太腿を擦り合わせて物欲しげに二人を見上げると、精市より先に私と目が合った周助がにっこりと笑って猛ったそれを当然のように取り出す。そうして私の身体をふかふかのベッドにどさりと押し倒した。

「ひゃっ!」
「…不二、あのさ、いい加減にしないと俺、怒るよ」
「なんだ、もうとっくに怒ってると思ってたよ?…外野がうるさいね、ごめん、今挿れてあげる」

ペニス欲しさにヒクつく膣の入り口に周助のそれがあてがわれたと思うと、ぐっと腰を押し進め難無く最奥まで達する。内壁をぐいぐい押し拡げられる感覚にひぅっと息を呑みながら待ち望んだ脈打つそれに全ての意識を集中させた。彼が律動を開始するとぐちゅぐちゅと卑猥な水滴音が辺りに響き渡り、淫靡な快感が脳天まで迸る。どうしよう、すごく気持ちいい。

「あっ!あん!はぁ…しゅ、しゅーすけ…っ!」
「くす…気持ちいい?」
「んっ、きもちい…!ああん!あぅ」

奮い立つペニスから与えられる快感にあられもない嬌声を上げる私の傍で、取り残された精市がとっても怖い顔をして私達の情事を見守っているものだから最中でも気になってしまう。周助にガクガクと身体を揺さ振られながら横目に精市を盗み見ると、彼はその形の良い唇を僅かに動かして呟いた。

「不二、後で叩きのめす…」

…。ああ…た、叩きのめされてしまう周助が…悍ましい雰囲気を纏う彼にゾクリと戦慄した次の瞬間、ズン!と奥深くを突かれて思わず腰を引きながら其方に向き直った。ハァ、と呼吸を乱しながら何処か自信に満ちた面持ちで周助が不敵に笑っている。…これは精市にも言える事だけれど、格好良い人はどんな表情をしても格好良いから困る。私の顔にかかった前髪をそっと払いながら彼は私を窘めた。

「こら、余所見しちゃ、だめでしょ…?はっ」
「ひゃあっ!あっ、あん!だ、だって」
「大丈夫。僕は幸村に叩きのめされるほどヤワじゃないから安心して?…ねぇ、幸村?」
「はは。地獄耳って俺、嫌いなんだよね」

周助が挿入を繰り返しながら切れ長の瞳で鋭く精市を一瞥すると、精市もまた周助の事を煩わしそうに睨み返すものだから再度頭上で激しく火花が散る。それからカチャカチャとズボンのベルトを緩めて精市は硬くなった自身のペニスを取り出し、ベッドに両膝を突いて私の頬に亀頭をぐりぐりと押し付けながら有無を言わせぬ口調で言った。

「舐めて」
「くす…我慢できないほど盛ってたんだ?立海の部長さんてば」
「ふふ、青学の天才がヤること遅いから待ち切れなくてね」

ぐちゅぐちゅ

「んっ、あ…!はむっ」

周助の挿入により思考回路がろくな役割を果たさない今、くたりと横たわる愛玩人形の如く精市に言われるままにちろりと舌を出して先端を舐めてみると、彼はふと愛おしげに上から私を見つめる。その視線に気付いて精市を見上げた瞬間、ぐっと頭を鷲掴まれ喉の奥まで太過ぎるペニスを強引に突っ込まれた。咥内いっぱいに咥えた質量のあるそれにうえっと吐き気を覚える。苦しさに目尻に大粒の涙を浮かべて必死で歯を立てないように気を遣っていると、精市は少しだけ上擦った声で私に言った。

「んっ…舌、使って…根元から、先端までゆっくり裏筋を舐めるんだよ。わかるかい?…いい子だ」
「んん…!」

心許ない舌遣いで献身的に彼の言葉を試みると、精市は時折ピクリと肩を震わせて苦し気に眉を顰めるので感じてくれているのかなぁなんて思う。フェラチオで酸素不足の私は次第に激しくなる周助のピストンも相まっていよいよ意識が朦朧とし始めた。考えられることは、咥えたものに舌を這わせ続ける事と、子宮まで突き続けて欲しいという事だけだ。ふ、と目を虚ろにして二人のペニスに与えられる快感にただただ咽び泣いていると、不意に彼らの声が遠くから聞こえた気がした。

「俺の咥えながらそんなエロい顔して…」
「あー、僕もうイきそうかも… 」
「さっさとイってくれないかい?待ってるんだけど俺」

ぐちゅぐちゅぐちゅ!

周助が執拗に最奥を狙って捻じ込んで来る。愛液の纏わり付く膨張したペニスに内壁を擦られる言い知れぬ気持ち良さに私の興奮は最高潮に達した。絶頂を目前にした私を見て、周助は目下己に組み敷かれる女を品定めでもするような厭わしい目付きでペロリと舌舐めずりすると、親指でクリトリスをぐちゅりと押し潰しながら子宮口まで勢い良く突き上げる。

「ん、あ、しゅーすけ!イくう!」
「んっ、きっつ…!出すよ…!」
「ひあああんっ!!」

ドクン、と全身に馳せる快楽の波にペニスを咥えたまま頂点に達しそうになった瞬間、精市は私の髪を乱暴に引っ張って自分に良く見えるよう無理矢理顔を上げさせる。そうしてビクンビクンと痙攣して大胆に果てる私の表情をその目に焼き付けるようにまじまじと見つめてくるからすごく意地悪だ。ああ、私の中の大切な何かがそこでプツンと途切れる音がする。精市の視姦地味た淫猥な視線にうっとりとしながら子宮に勢い良く注がれる周助の熱い精液を感じていると、膣と口、同時にペニスが引き抜かれ、膣口から収まり切らない白濁がドロリと溢れ出る。

「俺のペニス咥えながら他の男の名前呼んでイくとか許されないよね」
「うわぁ、幸村、こわーい」
「覚悟しなよ、名前」

周助に代わって精市の熱いものが密肉にあてがわれ、愛液だか精液だかで塗れた周助のペニスが独特の匂いを放ちながら唇に押し付けられる。

『君を、愛してる』

ああ、まだまだ、彼らの愛撫は終わってくれそうもない。


end.