此処らでひっそりと鬱の感情をだだ漏らす。

神の子と呼ばれたところで俺には何の才も無い。凄いだの、偉いだのと周囲に持て囃されて育った俺が得たものは歪なプライドと危うい精神世界だった。

期待を圧迫と捉える俺はそもそも神の子の器では無かったのだ。どうにか裏切らないように、失望されないようにと取り繕って生きてきた結果がこの有様だ。確かに俺はテニスが人より強いかもしれないけれど、それを自ら誇示するつもりはない。幸村精市が神の子で、強くて負け知らずで次もその次も必ず負けないと、信じた周囲の勝手な主張が次第に俺に下手くそでつまらない意識を持たせ始める。もうやめてくれ、そういうのは、もういらないんだと、そうやってたまに来る苦しくて苦しくて溺れ死にそうなる心の荒波を鎮めてくれるはずの彼女の存在に、俺は必死に縋り付いたのだ。

「…っん…は…動くなよ…」

名前を俺の家に招き入れて早々、ベッドに乱暴に組み敷くとネクタイを解いて彼女の手首を頭上で一纏めに縛り上げた。名前は純な瞳を僅かに揺らがすけれどすぐに長い睫毛を伏せてそれから何も言わない、多分、全部わかってるのだろう。大人しく俺に身を捧げてくれる献身的なその姿にゾクゾクする俺は心底腐り切ってるし、名前の優しさに甘えるだけのクズそのものだと、ああ、まぁそれもどうでもいい。

俺の宝物にそっと手を添えて口付けると彼女は少し苦しげに身を捩った。ブラウスのボタンを上から一つずつ解いてやれば、しなやかな肢体が意図も簡単に暴き出される。俺しか知らない身体は穢れなくいつまでも美しいままで、愛の鬱血を刻むのにも躊躇われる程の真っ白な柔肌にくらりと恍惚とした目眩を覚えた。

「…抵抗しないね?これから酷く抱くつもりなんだけど」
「…」
「フッ、だんまりかい?俺のことなんてどうでもいい?君が大人しく抱かれれば済む話だしね?でもね、俺は君を一生離すつもりはないよ…縛り付けて絡み付けて雁字搦めにして、何処へも行かないように」

言いながらネクタイで括られた彼女の手首を上からぐっと鷲掴み、力尽くでベッドに押し付けながら耳元で低く唸る。

「こうやって…汚いやり方で一生君を束縛してやる。可愛い俺だけのモノ…君の心も身体も全て、俺のものだろ…!?んっ」
「…っは、あぅ…!」

ブラをずり下ろしてピンク色の可愛い胸の飾りにむしゃぶりつけば堪らず零れた彼女の嬌声に俺の男根が疼いた。唾液を含ませた咥内でねっとりと控えめな乳輪を舐め回して、突起が赤く腫れ上がる頃にちゅぱっと音を立てて唇を離す。そうして唾液に濡れた己の唇を手の甲で拭いながら、目下ビクビクと快楽に打ち震える淫らな雌を吐き捨てるような嘲笑と共に見下した。愛しくて愛しくて死んでしまいそうなくらい愛してる人の隠された醜い部分は極上のご褒美だ…剥き出しの加虐心が煽られて、ああ、もっともっと俺の前に曝け出して欲しい。

「乳首弄られて気持ちいい?ハッ!変態だな、監禁されたいの?」
「…っ、…」
「それでも構わないし、むしろ大歓迎だけど…じゃ、毎日俺とセックスして気持ちいいことしようか」

くすくす嗤いながら名前の太腿に手を伸ばすとスカートを捲り上げて下着越しに秘部を軽く突つく。指先で確認した、しっとり湿った薄い布地には得も言われぬ優越感が湧き上がって、本能のまま彼女の首に噛み付いた。むしゃくしゃする気持ちをこのか細い身体にぶつけて彼女が壊れやしないかと思う反面、俺で壊れるならそれもいいと思う。下着をずらして直に秘肉に触れた途端どろりと溢れ出る温かな愛液に口元を歪ませながら、彼女の顔の輪郭をねっとりと舌で舐め上げて肌を濡らした。中指を肉壁にぐちゅりと埋めれば窮屈に締め付けてきて、早く挿れて、動いて、子宮まで犯したい衝動に駆られるけれど、名前の頑なな無言には少々苛立つ。

「…さっきから何も言わないね?俺が可哀想かい?神の子と呼ばれ散々周りにチヤホヤされながら、実はプレッシャーに押し潰されそうで、影で君に八つ当たる、こんな駄目な俺が」
「……っ、ん、…っはぁ」
「仕方ない…だって名前は俺に愛されてしまったんだから…愛される素質のある君が悪いだろ?こんなに可愛くて」

細く柔らかな髪に鼻先を押し付けて匂いを嗅ぎ、身体中を満たしながらぐちゅぐちゅと音を鳴らして指をピストンさせる。

「綺麗で、真っさらで、…汚れていない…」
「んっ、……っ…!!」

爪先で内壁を引っ掻きながら激しくかき回せば、ぐっと唇を噛み締めた名前の身体が数秒硬直した後にどさりとベッドに沈み込む。イッたのか。前戯にも関わらず辺りに飛び散った愛液は俺の手首まで汚して、なんて厭らしくはしたない雌まんこなんだろうね?名前の身体は知り尽くしてるし指一本で何度だってイカせてやれるだろう、涙混じりに嬌声を我慢する名前にまだ苛立ちは残るけれど、もう少し前戯を続けようか。彼女が自ら沈黙を破って懇願する頃合いに突き刺すのがベストだと、疼く下半身の自身を掌で包み込みマスターベーションしながら彼女への責め立てを再開する。

「俺の苦悩、全部受け止めてくれるんだろ…?はぁっ…ねぇ」
「んっ、はぁん、…っ…!」
「愛してる、愛してるよ俺の名前ッ…、ずっとずっと愛してる、…はぁっ…」

ああ、でもどうして。闇の連鎖が止まらない。


end.
−−−−
病みの連鎖が止まらない。