空は青かった。

地平線まで澄み渡る景色に何度心打たれ、何度写真に収めたことだろう。ホールドするカメラの重みを腕に感じながら、狙った一枚がブレないように、逃さないようにと、シャッターを切る度に緊張する。夏の炎天下、僕はひたすらに恋していたのかもしれない。レンズ越しの世界に憧憬し、想いを募らせていたのかもしれない。ジリジリと焼け付く日差しにとっくに渇き切った喉を鳴らし、半覚醒の朦朧とした意識の中でも、シャッターチャンスを一人追い続けていた。伝う汗が目に入ったとしても、呼吸が浅く速かったとしても、瞬きも惜しい程にその先を見つめ続けたい。

ほら、カメラは覗き込めば好きなものだけ見えて、周りは良く見えないだろう。それって少し狂気じみていて、何処か盲目的な恋愛に似てはいないかと、向こうからは決して見えないファインダーに隠された瞳を細める。愛せるもののあまり多くないこの世界は、今まで退屈だと思っていたけれど案外そんなこともなかったんだ。

ねぇ、僕は、透き通るような君の瞳に囚われながら、またシャッターを切ろうとしている。

そんな暑い夏の日だった。

「ん…は、暑…ァ……」
「名前、可愛い」

パシャ。

一歩外に出れば、直射日光に晒された高熱を帯びるコンクリートの上に陽炎が現れ、十歩も歩けばくらりと立ち眩むような猛暑日に、彼女と二人きりなら普通は何をする?デートなら、プールに行ったり、流行りの冷たいスイーツを食べに行ったり、とか。最低限、空調の効いた環境であれば割と何でもいいのかもしれないし、そもそも僕は君が笑って喜んでくれれば何でもいいけれど、それじゃ、セックスなら?

どんなセックスを君は望む?締め切られた部屋に風は無い。

パシャ、パシャ

「はぁっ…あっ、周助、暑い…はぁ、クーラー…」
「ダメだよ、くすくす…」
「なら、窓開けてぇ…んああ!」
「窓開けたら、声、外に漏れちゃうよね…?あ、でも、君がいいなら開けるよ?」

ギシリと軋むベッドの上で、僕と名前は裸で互いに絡み合う。名前の可愛いお願いを悪怯れない笑顔で躱しながら、大きく開脚させた中心の膣に僕のペニスを奥まで突き刺していた。彼女の言う通り、空調を一切効かせない上に窓に鍵を閉めた僕の部屋は蒸せ返る程に暑く、身じろぐのも億劫な程に易々と二人の体力を奪っていく。僕はテニスで日頃から鍛えているし言うほどでもないけれど、果たして名前の方はどうか。全身真っ白な肌を赤く火照らせて、まるで水を被ったように髪までびっしょり汗を掻いている。サウナ状態の室内では呼吸も苦しく、自ずと思考速度も遅くなる。

「あっあん!あひァ…!」

いつも清潔なベッドシーツは汗と唾液と愛液で表面がぬるぬるとしていて、あぁ、家族が帰ってくる前に洗濯し直さないとなぁ、なんてどうでもいいことを考えながらカメラのフォーカスを君に合わせた。

「はぁっ、あっ、周助っいや、撮らないでぇ…あん!あっ、そこ!そこきもひい…!」
「…被写体がいいと、撮り甲斐があるんだよね。それに名前ってば興奮してる?僕もね…興奮するよ」

ずちゅずちゅ!

両手にカメラを構えたまま覗き窓から名前の事を一心に見つめる。なんて美しい構図なんだろう。

下腹部に感じる蕩けそうな甘い蜜壷に、挿入したペニスを激しくピストンしてやれば淫乱な名前は舌を出して喘ぎ悦んだ。僕が処女の身体に色々仕込んできたのだけれど、元より淫乱の天才の素質は充分あった様子で、今となっては歓喜して僕を包み込んでくれる。子宮の入り口に先端を捩込む度、キツく締め付ける肉壁の感触に、ペニスの付け根から這い上がる興奮を抑えきれない。あぁ僕は君が好きだ、愛してる。

だからもっと見たくなる。

「ん…すごい汗だね」

この密室の中で二人溶けてしまえたらいいのに…彼女の額にリップ音を鳴らして軽く口付けてから、汗塗れの身体を彼女の身体に重ね密着させた。互いの体温を確かめ合うように上下に動けば、柔らかな乳房が巧みに形を変えて僕の胸元から腹筋にかけて擦れる感覚がたまらず、思わず下衆な半笑いを浮かべる。彼女の耳朶を甘噛みしたり耳の裏を舐め上げたり弄ぶと、顎を伝う大粒の汗が、彼女の顔にぽたりと零れ落ちた。

「…ねぇ、暑いね…?僕たち、こんなにぬるぬるしてる。名前もココ、気持ちいいんでしょ…?」
「あっあっ、ひああ!んっんっ…きもひいい、周助ぇ…しゅうすけ」
「名前、可愛いよ。僕に酷く犯されて、撮られながらイキたいんだろ…?」

ワントーン低めの声で鼓膜に直接問い掛けると、名前は性に堕ちた、無抵抗の甘えた表情で舌ったらずに答える。

「あ、あぅ…名前はぁ…しゅうすけにエッチされながら…撮られながら…おまんこきもひよくなりたぁ…ひああぁん!」
「そう、いい子だね?可愛い」

ぐちゅう!

「あっ!あん!あ"ぅ、周助、それっ激し…いやぁっ気持ひいいいい…!!」

名前の言葉に満足した僕はにっこりと笑って、挿れ易い体勢を整えるとギリギリまで引き抜いた熱いペニスを根元まで一気に挿入する。腰を前後に動かして亀頭の先で子宮を愛でれば、結合部から半透明の液体が辺りに飛び散った。

程良い中の締め付けと尻の肉感に恍惚としつつ、空気の止まった部屋にむわりと漂う体液の匂いは想像以上に色濃い。

「はぁっ、はぁ、あん!!」
「名前、名前…イイよ、…ほらこっち向いて…!」

互いの荒い吐息に包まれて、外界から遮断された僕たちに届くのはただただ厭らしい粘着質な音と、呼吸音と、痛々しく軋むスプリング音だけだ。視界には愛しい君しか映らず、今にも達しそうな止まらない性的快楽にまともな思考などもう無理だと、乱れる名前に今一度焦点を合わせてシャッターを切る。肉棒と擦れ合う濡れそぼった内壁が一層収縮し、ペニスから白濁を搾り取ろうとしている。

「ハッ、…くすくす、淫乱なモデルさんだね…たまらないよ、…ねぇ、イく時は僕の名前を呼んで」
「あっあっしゅうすけ、周助、イく、イく……っ!!」
「いいよ、イきなよ…!僕も、そろそろイく…ッ」

睾丸が吊り上がり、ペニスが大きく膨れ上がる。尿道から這い上がる熱い精液を感じながら、射精直前のタイミングで思い切り名前の最奥を貫いた。太い肉塊が容赦無く身体にめり込む。

ぐちゅう!!

「イくっ周助、あっ!!しゅうすけ、しゅうすけ…あっイっ…ひあ"ぁああぁーー!!!」
「…く、名前……ッ!」

パシャ!パシャ!

瞬間、眼下に向けて僕は夢中で連写する。絶頂を迎えた名前の膣内はペニスに頑なに絡み付いて離さなかった。余りの心地良さに、数度の痙攣を経て全て射精し終えると白濁塗れの膣内からソレを引き抜けば、入り口からドロリと滴り落ちる液体が、純白のベッドシーツを汚すのを回らない頭でぼうと眺める。

「……。」

力を使い果たしたらしい名前がぐったりと眠りにつくその隣で、カメラを置き、気怠い身体を起こしてベッドから降りると空調のリモコンを手に取った。

ピッ。

「冷房、風速全開…と。…意地悪してごめんね、名前」

小さな機械音の後、開いた風口から冷風が部屋全体に吹き抜けていく。穏やかな表情の眠り姫の傍に戻ると、最後に一枚、涼しい風に揺られて心地良さそうな君を撮った。


end.
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50万打一発目遅刻してすみません!(土下座)不二先輩好きだー!