「あっ!…んん…っ!」

拝啓、純白の君。なんて、ベッドシーツにしなやかな肢体を組み敷けば、まるで夜空に映る満月のように君の形がくっきりと浮かび上がった。産まれたままの姿の曲線美に見惚れながら頭の片隅で考える。

彼女が俺に身体を開く理由は果たして単なる同情なのか、身分違いの消し去れぬ畏怖なのか、悲しくも恋愛感情とは程遠いところにあるのか。

募る虚しさと、後を引く淡い期待で心が葛藤していた。…本当は俺は、名前に愛してると言って欲しい。求め、求められる関係を築き上げたい崇高な理想と、高望みの醜い現実が交錯する。あぁ、柄でもない恋煩いにそろそろ息が詰まりそうなんだ。ギリリと奥歯を強く噛み締め、嫌な事を忘れるように何度も名前に深く口付けていった。柔らかな舌を絡め取り、歯列を舌先で擽りながら徐々に咥内を犯していけば、彼女は息継ぎの間に苦しげに酸素を求める。

「ん、ふ…!は…!」
「名前…此方を向いて…まだ足りない」
「せ、…精、市…」

不意に濡れた唇の隙間から遠慮がちに零れた名前の響きに鳥肌立つ。鈴の音が鳴るような声は、一瞬で俺の脳裏に焼き付いた。

明かりの点いたままの部屋で無粋に唇を貪りながら、礼装用の白手袋をつけたまま名前の下半身を思うままに弄る。質感の頑丈な布地が肌を滑る感触が違和感なのか、彼女が涙ながらに小さく肩を震わせて此方をじっと見つめてきたので、俺はクスリと微笑してそれに応えた。

確認犯の瞳が、可笑しげに三日月型して嗤う。

「…どうしたのかな?」
「…あ、の…て、ぶくろが」
「あぁ、これがどうしたというのかな。軍人には欠かせないものなのだけれど」

膝裏から太腿にかけての肉感を愉しむように敢えてゆっくりとなぞり、やがて足の付け根に行き着くと、下着越しの敏感な部分に人差し指の腹を押し当てた。手袋に阻まれてもわかる蕩けた肉の柔らかさが堪らずくにゅり、くにゅりと何度も刺激する内に中から愛液が溢れ出てくる。透明で粘り気のあるそれらが薄手の下着をしっとり湿らせ、重みで収まり切らぬ分が隙間から滴り落ちるのを目でしっかり捉えながら、何でもない面持ちで言葉を続けた。

「これを身に付けて刀や銃を握るし、人を殺す」
「…っ…は、ぁん…!あっ…だめ」
「そう簡単に汚されては困るのだが、…もう遅いか。いやらしい娘だね」

秘部を弄る内に手袋に愛液がべっとり付着するのを確認すると、一旦手を止めて己の口元にその手を持っていった。不安気に此方を見上げる彼女に対し獲物を仕留めるように散瞳しながら、前歯で手袋の布の端を噛むとそのまま一気に外す。咥えた手袋を脱いだ軍帽の方へ投げ捨て、同様にもう片方の手袋も外し終えると、寝転ぶ名前の足元にするりと身を滑り込ませた。恥じらう彼女を包み隠す邪魔な下着を取り去り、中心部に顔を埋めるとぐっと舌を伸ばす。

くちゅり。

「あっ、なに…?っあ、らめ、そこは…幸村様ぁあ……っ!!」
「ん…、…甘い…」
「な、舐め…、はっ…んぅっ、ひあぁあ…ッ!」

くちゅ、くちゅり。

甘い蜜の湧き出る奥深くまで舌を挿入すると、名前はいやいやと首を横に振りながら一際大きく鳴いた。ざらついた内壁を舌先で緩急つけて擽り、陰唇に唇を押し当てて唾液を膣の中に流し込む。意思を持って蠢く異物に、一番敏感な部分を蹂躙される気持ち良さは底無しなのだろう。はぁはぁと息を荒げ、快楽を知ってしまった彼女の最後の些細な抵抗か、払い除けようと俺の頭に置かれた手は力が抜け切っていて何の役目も果たせていない。

「は、ぁん!あっ、…ゆき、むらさ……」
「そうじゃないだろ?」
「…せ、い…精市ィ……あっ、んっ…ッ…せいいちぃい……ッ!!」

じゅるじゅる!と下品な音を立てて愛液を啜り彼女の興奮を煽ると、目に見て取れる程に潤う膣を収縮させながら潮を噴いて頂点に達した。

「っーー……ッッ!」

魚のようにしなやかに背を仰け反らせた直後、強張った身体が跳ねる度、撒き散らされる水滴がびっしょりと俺の服を、髪を、顔を濡らしていく。睫毛に乗った無味無臭の雫を手の甲で大雑把に拭いながらふと顔を上げると、すこぶる顔色を悪くした彼女が先に此方を見遣っていた。大粒の涙を赤い頬に流しながら送られる視線には、濡れた前髪を後ろにざっと掻き上げながら無言で応える。その目の理由は何となく、わかっているさ。

「はぁ、はぁ…ぐす、…今な、にか…出てしまって……あの、…本当に申し訳ございませ…ひっく」
「…」
「あ、の、…わたし…どんな、…ば、罰も、…ん、!」

だから。

「名前。この部屋では対等でいさせてくれと言っただろう?罰?どうして、そんなにも君が泣いて謝る必要があるのか、教えて欲しい」
「…っ、ん、で、でも」
「…随分、聞き分けのない子だね。ならばお望み通り、この手で君を貫いてあげようか」

言葉を遮るように口付けても震えの止まらない名前を前に、腰に忍ばせている護身用の拳銃を手にすると、冷たい銃口を彼女のこめかみに軽く押し付けた。

「…それが本望なんだろう?」

無論、間違っても撃つつもりなどない。むしろ命に代えて護るべき対象だと、名前が鉄の温度に大きく目を見開いたと同時に、握った拳銃を床に乱雑に放り捨てると、次の瞬間、弾かれたように彼女の身体を強く抱き竦めていた。既に固く勃ち上がった昂りをドロドロの膣口に当てがいながら、性急に互いに身に纏う衣を脱ぎ去る。

鈴口から滲む先走りの汁を親指で掬い、露わになった可愛らしい乳首に塗り付けては、下半身から這い上がる興奮に思わず息を乱した。

「…君の身体も、心も、この俺が貫かせて頂く…ッ」
「…っぁああ…!!やっ、な、中…は、入っ…んん!」

ずぷっ、ぐちゅっ、と粘着質な音を立てて狭い膣に肉棒を挿入していく。うねるような熱い内壁に今にも精液を搾り取られそうで、擦れる亀頭と竿の快感を堪えて唇を噛んだ。柔らかな尻や腰を両手で鷲掴み、先端を強引に捩じ込み子宮口をしつこく愛撫すれば、悲鳴にも似た甲高い嬌声が下から上がり余計に俺の雄が嘶いた。激しいピストンに肌と肌がぶつかり合い、体液に塗れながらぐちゅぐちゅと中を掻き回していく。

はち切れんばかりに膨張した肉棒が根元からキツく締め付けられるのが気持ち良くて、無我夢中で腰を振りながら恍惚として君を見つめた。絶頂は近く、睾丸が尿道へ熱い精液を送り出そうとピクリピクリと小刻みに震えている。射精のタイミングを伺いながら、打ち付ける腰は止めない。

ぐちゅぐちゅ!

「はっ、あんっ!あんっ!ひぁっ、き、ぎもち…あっ精市!せぇいち……も、イくッ…!!精市ぃ……ッ」
「…ハッ…!いいよ、名前…俺も、もう…っ…」
「あっ、…も……あっ!!イクッ!!イ、…ッひあ"ぁああんッ!!!」

伸ばした爪先をつんと張り名前が鳴きながら絶頂に達した直後、収縮する膣に促されるまま濃い白濁を子宮にドクンドクンと注ぎ込む。溜まりに溜まった精液の射精は数秒に渡り、最後の一滴まで搾り尽くされた肉棒を引き抜く頃には、性交後の気怠い余韻にぼんやりと天井を仰ぐ彼女がそこにいた。だらしなく開脚された足の間、膣口から時間差でドロリと大量の白濁が滴り落ちるのを、俺もまた回らない頭で見ていた。

まだ、空は日の目を見ないらしい。

ならば、時間の許される限り、俺は。


end.
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裏に続いた軍服幸村様でした
ありがとう50万打!