第9話 人類初勝利

アルミンは赤い煙弾を確認した後、エレンの下へと急いだ。
エレンの姿を見つけ、アルミンは困惑した。

なぜ、エレンは座り込んでいるのか。

「エレン…何をしているんだ!?」
アルミンはエレンに飛び乗った。





「アーサー!後ろ!」
「はい!」

キュンキュン!

パシュッ

ギィイイイイイイ
ドオ!!

エリアスとアーサーは、壊された扉から入ってくる巨人に集中していて、その後ろでは、イアン班やミタビ班、そしてミカサが巨人と戦っていた。

「どんどん入ってくる…」
「まずいですね。どうにかして、イェーガーの意識を戻さないと厳しい状況です」
「…きっと彼がなんとかしてくれる…」

パシュッ
エリアスはアンカーを刺し、巨人に近づいていった。
アーサーもエリアスの後を追うようにアンカーを刺した。

「エレン…早く目を覚ますんだ…」







「エレン!!起きてくれよ!このままここにいたら、巨人に殺される!」

アルミンは必死にエレンに叫び続けた。

「…エレン、僕たちはいつか…外の世界を探検するんだろう?」
アルミンはエレンとした、夢の話をした。

「この壁の外の、ずっと遠くには…炎の水や、氷の大地、砂の雪原が広がっている…」
アルミンは必死に話し続けた。

「忘れたのかと思ってたけど、この話をしなくなったのは…僕を調査兵団に行かせたくなかったからだろ?」

「…外の世界…?」
エレンの意識が、次第にハッキリしてきた。

「エレン…答えてくれ」
アルミンはハッキリ言った。

「壁から一歩外に出れば、そこは時刻の世界なのに、どうしてエレンは、外の世界に行きたいと思ったの?」


「…どうしてだって…?そんなの…決まってる…オレが!!この世に生まれたからだ!!」





リコ版は、班長のリコと1人の兵士以外全て巨人に食われてしまった。
「班長…ここまでです!もう私達しか残ってない!!」
「…!!一旦岩まで退く!」


ズシン

ズシン

「!?」




「エリアス分隊長!巨人が5体、扉から来ます!」
「…よし…と言いたいところだけど…傷が開いちゃったみたい…」
エリアスは青い顔をしていた。
「エリアス分隊長!!」
「…一旦下がろう。エレンの状況を見たい」

ズシン

スジン


「…え?」

エリアスとアーサーは目を疑った。

ズシン

ズシン

そこには岩を持ち上げて、壊された穴へと歩み進める巨人がいたのだ。

「エレン…!!」
「後方から巨人、多数接近!!」

ミカサの下に、アルミンが降りてきた。
「ミカサ!エレンが勝ったんだ!」
「アルミン!」
「今、自分の責任を果たそうとして…!エレンを扉まで援護すれば!!僕らの勝ちだ!!」


「…!!死守せよ!」
イアンはアルミンの言葉を聞き、最後の指示を出した。

「我々の命と引き換えにしてでも、エレンを扉まで守れ!!」

そこに、エリアスとアーサーが合流した。

「イアン!」
「エリアスさん!」
「エレンの正気が戻ったのかい?」
「そうです!何がなんでもエレンを守ってください!!」

エリアスは笑った。
「任せてくれ」

「お前たち2人はエレンの下へ向かえ!これは命令だ!!」
「え?!」
「わかったか!?」
「…了解!」

イアンは巨人に向かおうと地上を見た。
そこにはありえない光景が広がっていた。
ミタビ班の兵士が、地上に降りて巨人を追いかけていたのだった。

「!?ミタビ班!?何を!?」

「巨人どもが俺らに食いつかないんだ!食いつかれるまで接近するしかない!!」

「やめろ!!」
エリアスは叫んだ。

「こっち向けコラ!」
「こっち向かねぇとそのくせぇケツに刃ぶち込んで殺すぞ!!」

「おい!お前ら!!地上に上がれ!」
エリアスは必死で叫んだが、ミタビ班の兵士たちは耳を貸そうとはしなかった。
兵士の叫びに2体の巨人が気づき、兵士たちに近づいてきた。

「走れ!建物まで走れ!!」

「そんな…!!地上に降りるなんて自殺行為だ!!」
「…いや…もう…」
ドクン
「あれしかない…」
ドクン

ミタビ班だけではなく、イアン班の兵士たちも悟った。
もう、この方法でしか、エレンを守ることはできない。


「ミタビ班に続け!!無理やり接近してでも、目標を俺たちに引きつけろ!!」


「ちっ!!」
エリアスは急いでミタビ班の下へ向かった。

「(死なせない…)」
「エリアス分隊長!!」
「(絶対…これ以上…俺の前では…)」

エリアスも地上に降り、巨人の後ろからアンカーを刺し、ガスを蒸せて一気に飛んだ。
そして、うなじを削ぎ落とす。

「アーサー!!動きを止めろ!俺がうなじを削ぐ!」
「はい!」

エリアスとアーサーは2人で協力して、懸命に戦った。
しかし、それでも目の前で巨人に掴まれ死んでいく兵士たちがいる。

「やめろ…これ以上…」
エリアスは集中していた。
余計なことは何も考えず、目の前の巨人だけに集中していた。

助ける。

エリアスの頭のなかには、それだけしかなかった。

その後ろを巨人化したエレンが通って行った。
エレンは地上に降りているミカサやアルミン、そしてエリアスたちを認識していた。
グチャグチャになりそうな身体を、エレンは必死に動かしていた。
自分の任せられた使命をまっとうするために、必死で進んでいた。


オレ達は皆


「アーサー!援護!!」
「はい!」


生まれた時から自由だ


「走れ!アンカーを刺して飛べ!」
「エリアス分隊長!!後ろ!!」


それを拒むものがどれだけ強くても


「エリアスさん!!エレンを守ってください!!」
「イアン!?」


関係無い


「俺達は大丈夫です!」
「任せて下さい!エリアスさん!」


炎の水でも氷の大地でも何でもいい


「…馬鹿野郎…」
「俺達の希望を…守ってください!」


それを見た者は


「くそ!!」
「エリアス分隊長!イェーガーの前方から巨人が来ます!」


この世界で一番の自由を手に入れた物だ


「援護する!」
「はい!!」


戦え!!

そのためなら命なんか惜しくない

どれだけ世界が恐ろしくても関係ない

どれだけ世界が残酷でも関係ない

戦え!!

戦え!!



エレンは穴まで辿り着いた。

「い…いっけええええエレン!!!」

戦え!!!


ドオオオオオオ

エレンの運んだ岩は、しっかりと穴を塞いだ。


「…皆…死んだ甲斐があったな…」
リコはその場に座り込み、涙目になった。
「人類が今日…初めて…勝ったよ…」

バシュッ





「黄色の煙弾確認…作戦が…成功したようです!」
おおおおお
「直ちに増援を遅れ!精鋭班を救出せよ!!」





「残った巨人が来る!壁を登るぞ!!」
「エレンを回収した後、離脱します!」

ミカサの後にエリアスも続いた。
アルミンはエレンを引っ張りだそうと苦戦していた。

「アルミン!エレンは!?」
「信じられないくらい高熱だ!急いで壁を登らないと…!」
エリアスもミカサの後を追い、アルミンの下へとたどり着いた。

「身体の一部が一体化しかけてるね…」
「切るしかない!」
リコはブレードを取り出した。
「ま、待ってください!!」
ミカサは慌てて止めた。
しかしリコは、ためらいなく一体化していた部分を切り離した。
その拍子に、アルミンはエレンと転がり落ちた。

ドサッ
「…」
バッ
「あ…」
アルミンが振り向くと、そこには2体の巨人が居た。

「!!」
「エレン!アルミン!!」

パシュッ

エリアスはいち早く巨人に気づき、アンカーを刺した。
そして、1体の巨人の後ろに回り込み、うなじを切り落とそうとした。

「っ…!!」
しかし、傷口が開いてしまった痛みのためか、急所を外してしまった。
「エリアス分隊長!!」

1体はエレンたちを、もう1体はエリアスに向かって手を伸ばした。


その時−

ヒュッ


ドオオ
ドオオ


小さな人影が現れたと思ったら、一瞬にして2体の巨人のうなじを削ぎ落した。

「!!」
その人影は、エレンとアルミンの近くに着地した。


「ミカサ!?」
スタッ
送れてミカサが2人の下へと降りてきた。

「え?」
「あれは…」
「(自由の…翼…)」

その人物が、ゆっくりと三人に振り返った。

「オイ…ガキ共…これは…どういう状況だ?」



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