01

「すみくん、すみくん」
「なあに女主人公?」
「すみくんがボーダーに入るなら、わたしも一緒に入るからね!」
「うーん…それは賛成できないな」
「なんでよ!」
「女主人公が怖い思いしないようにと思って入るのに、それじゃあおれがボーダーに入る意味なくなっちゃわない?」
「なくなっちゃわないよ!わたしもすみくんと一緒に頑張りたいの!」
「女主人公に万が一があったら、奏ちゃんと明理ちゃんに殺されちゃうんだけど」
「そんなことないよ!大丈夫!」

そんな風に言われたら、おれはこれ以上なにも言えなくなっちゃうよ。

「わかった。じゃあ少しでも危ないと思ったら辞めさせるからね」
「うん!」

おれがそう言うと、女主人公は嬉しそうに笑った。
仕方ない。
女主人公のことはおれが守らないとね。
大切なかわいいかわいい、おれの双子の妹なんだから。







おれと女主人公がボーダーに入隊したのは、高校1年生の9月。
周りにはおれたちと同じように、今日入隊したC級隊員が大勢いた。

「うわあああ!たくさんいるね!」
「そんなに興奮してると鼻血出すよ」
「もう出さないよ!」

おれの言葉に女主人公はぷんぷんという効果音が付きそうな顔で怒った。
怒っている顔もかわいい。

「これから入隊指導を始める。けどその前に、ポジションごとに分かれてもらう」

ボーダー本部長の話が終わってすぐに嵐山隊が出てきた。
本物の嵐山さんは、たしかにオーラがある。

「嵐山隊だ!」
「すごーい」
「本物だ!かっこいい!」

周りの隊員たちもこそこそと嵐山さんについて話している。

「すみくん」
「なに?」
「嵐山さんって、テレビで見るよりかっこいいね!」
「女主人公は本当に惚れっぽいんだから…」

おれの妹はいわゆるイケメン好きで、かっこいい男に目がない。
最初は歌のお兄さん、体操のお兄さん、中学まではアイドルにハマっていて、今は舞台俳優。
女主人公の好きそうな顔してるもんなー嵐山さん。

「アタッカーとガンナーを志望する者はここに残って、スナイパーを希望する者は東さんと一緒にスナイパーの訓練場に移動してくれ」

嵐山さんがそう言うと、女主人公は「嵐山さんってどこのポジションかな?わたしも嵐山さんと同じポジションがいいな」なんてこと言う。
すでに最初のトリガーはセット済み。
それなのにここにきて、なんてことを言うんだおれの妹は。

「自分の適性を考えた方がいいんじゃないの?」
「それはそうだけどさー」
「今はガンナーのトリガーセットしてるじゃん」
「あ、そうだった」
「なんで忘れるの。おれと一緒がいいからって騒いでたのに」
「そうだ!すみくんと一緒なら安心だね!」

そう言ってにっこり笑う女主人公の顔を見たらどうでもよくなってしまった。

「はいはい」

あとからポジションを変えることは可能だろうから、とりあえず、今は女主人公のやりたいようにやらせよう。

「改めて、アタッカーとガンナー組を担当する嵐山隊の嵐山准だ」

嵐山さんは、これからおれたちC級隊員がやらなくてはいけないことを簡潔に教えてくれた。

「B級の正隊員にならなければ、ランク戦や防衛任務に就くことができない。まずはB級隊員に昇格することを目標にしてほしい」

そう言うと、嵐山さんは手の甲を見せた。

「手の甲に書いてある数字、これは最初にセットしているトリガーをどれだけ扱えているかを表している。この数字を4000点まで上げることが、B級昇格の条件だ」

なるほど。

「すみくんと数字が違うね」
「仮入隊の時期の適正を見てポイントが上乗せされてるんじゃない?」

そう思ったら、嵐山さんも同じようなことを言った。
このポイントの上げ方は二つで、週2回の合同訓練でいい結果を残すか、ランク戦でポイントを奪い合うかだそう。
早くB級になりたければランク戦でポイントを奪った方が良さそうだ。

「訓練のほうを体験してもらうから、部屋を移動する」

嵐山さんのあとをみんなでついていく。

「訓練ってどんなことするんだろうね?」
「なんだろうね」
「ドキドキする〜!楽しみだね!」
「女主人公はテンションが高いね」
「うん!だって、やっとボーダーに正式入隊できたんだよ!これから楽しみ!」
「それなら良かった。でも危ないことはしないでよ」
「わかってるよ」

本当にわかっているのだろうか、心配になるくらい楽しそうな女主人公。
まぁいざとなったらおれが守るからいいんだけどね。



「ここが訓練室だ。最初の訓練は、対ネイバー戦闘訓練。仮想戦闘モードの部屋の中で、訓練用に少し小型化した大型ネイバーのバムスターと戦ってもらう。制限時間は5分間、早く倒すほど評価が高くなるから高得点を目指して頑張ってくれ!」

嵐山さんがそう言うと、名前を呼ばれた隊員がそれぞれ部屋の中に入っていく。

「うわー、これがネイバーかー」
「女主人公、大丈夫?」
「うん!でもわたしに倒せるかな」
「とりあえず、目玉が弱点っぽいから目玉に向かって撃てばいいんじゃないかな?」
「そっか!わかった!」

『4号室終了。記録45秒』

「おお!あの茶髪の人すごいね!」
「早かったね」
「あの人もかっこいい〜」
「女主人公はもう…」

女主人公の様子に少しだけあきれてしまう。
少しだけ待つと、すぐに女主人公の番がきた。

「わ!わたしの番だ!」
「いってらっしゃい。気を付けてね」
「うん!」

女主人公は1号室に入って、バムスターと向き合った。

『1号室用意、始め!』

女主人公はほとんど動かないバムスターに向かって走り、おれが教えた弱点が狙える位置に移動した。

「うわー…あれは、でかくてどうしようって思ってる顔だな」

そんな顔もかわいい。

色々試行錯誤していたみたいだけど、なんとかバムスターを倒すことができた。

『1号室終了。記録1分48秒』

女主人公が部屋から出てくる。

「おつかれさま」
「ふー。なんとか倒せたよ!」
「すごいじゃん。結構早かった」
「そうかな?あ、次すみくんじゃない?」
「いってくるね」
「気を付けてね!」

おれは呼ばれた部屋に入る。

『3号室用意』

これがバムスターか、小型化してあるって言ってたから本物はもっと大きいんだろうな。

『始め!』

でも、このくらいなら余裕だね。
襲ってくるわけでもないし、動きも遅い。
おれはアステロイドをバムスターに向かって撃ちこんでいく。

『3号室終了。記録50秒』

1分切ったし、まあまあかな。
おれが部屋から出ると、女主人公は目をキラキラさせていた。

「すみくんおつかれさま!すごい早かったね!」
「まあね」
「わたしも1分切りたかったー!」
「女主人公は意外と負けず嫌いだもんね」

これで最初の訓練が終わったようだ。

「それじゃあみんな、訓練に励んでB級昇格を目指してくれ。今後のスケジュールは端末を通じで連絡をするから、忘れることのないよう確認すること。解散!」

「楽しかったね!」
「そうだね」
「早くB級になれるように頑張ろうね!」
「うん」
「すみくんと同じチームになれたら嬉しいな」
「女主人公がB級になれたら考えてあげる」
「すみくんの意地悪!」

こうしておれと女主人公のボーダーでの生活が始まった。



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