02

おれは、同じ時期にボーダーに入って、高校も同じ荒船くんとすぐに仲良くなった。
まあ、おれは誰とでも仲良くなれるように気を遣ってるから、だいたい誰とでもすぐに仲良くなれるけど。
残念ながら、女主人公はおれほど頭が良くないので、高校は三門第一に通っている。

「すみくん!この前の入隊式で見かけたリーゼントくんが同じクラスだったよ!」
「リーゼントくん?名前はなんて言うの?」
「なんだっけなー、聞いたけど忘れちゃった!」
「じゃあまた聞いて、今度は覚えてあげてね」
「うん!」

なんて会話をしたなー。
女主人公と同じクラスにボーダーの人間が何人かいるみたいだ。
女主人公はおれに似てかわいいし、素直だし、友達はすぐに作れると思っていたけれど、思っていた通り、おれがいなくても毎日楽しそう。
それはそれで、お兄ちゃんとしてはちょっと寂しい気もするけどね。







「すみくーん!」

ボーダーにつくと、女主人公が大きな声でおれを呼んだ。

「女主人公、あんまり大きな声で呼ばないでね」
「え!ごめん!」

女主人公はおれのところに走ってくると、おれの腕を引っ張った。

「あのね!同じガンナーにゾエくんって男の子がいるんだけど、すごいの!同じガンナーなのに、音が違う!」
「音?使ってる武器が違うの?」
「うん!それにゾエくんってトリオン量すごいんだって。いいなー」
「女主人公はトリオンそんなに多くないもんね」
「そうなの。わたしって、もしかしたらガンナーに向いてないのかな?」

おっとっと。
女主人公が少しだけネガティブモードに入ってしまった。

「そんなことないよ。少ないっていっても6はあるんだから、工夫次第でどうにでもなるでしょ」
「工夫とかできると思う?」
「やるしかないでしょ」
「わかった!すみくんがそう言うならできそう!」

女主人公はおれの言ったことならなんでもオッケーだと思っている。
それで大丈夫かなー?と心配することもあるけど、まあおれがいればなんの問題もないか。



それからしばらくして、おれは無事に4000点を獲得したのでB級に昇格した。

「すみくんB級昇格おめでとう!」
「ありがとう。女主人公ももう少しだね」
「うん!あと500点!」

あれから女主人公は色々と試行錯誤して、ハンドガン型で近距離から撃つスタイルに落ち着いた。
アサルトライフル型やショットガン型など、ガンナートリガーには種類があったけど、女主人公の体格を考えるとハンドガン型が一番しっくりきた。
なにより、小柄で華奢な女主人公にはハンドガン型以外似合わない。

「わたしも早くB級にあがりたいなー」
「待ってるね」
「頑張る!」



そんな話をしていたけれど、女主人公はなかなかB級に上がることができなかった。
あと一歩、のところで勝ちきれないのは女主人公の優しい性格が関係しているように思えた。

「…女主人公、入るよ」

自分の部屋に閉じこもっている女主人公。

「…すみくん…」

布団を被って出てこない、おれのかわいい双子の妹。

「わたし…すみくんみたいにできない…」
「女主人公はおれみたいにならなくていいよ」
「でも…すみくんみたいになんでも上手にできるようになりたいし、なによりすみくんに置いて行かれたくない…」
「おれはいつでも女主人公のそばにいるでしょ」

おれがそう言うと、女主人公は布団から少し顔を出した。

「どんくさくてごめんねー…」
「そんなことないよ。女主人公が頑張ってるのはおれが一番よく知ってる」

ボロボロと大きな瞳から涙を流す女主人公を、おれは布団越しに抱きしめる。

「泣き虫でごめんねー」
「そんなの昔からじゃん」
「…すみくん、二宮さんから誘われてるんでしょ?」
「…なんで知ってるの?」
「この前二宮さんと話しているの聞いちゃった」
「…でもおれは女主人公と一緒にチームを組もうと思ってるよ」
「だめだよ!」

おれがそう言うと、女主人公が大きな声を出した。

「わたしのことを待ってたらもったいないよ!すみくんはわたしなんかを待っちゃだめ!」
「わたしなんかって言わないで」
「ごめん…だけど、すみくんがチームを組むことで助かる人がいるんだよ。わたしはわたしで頑張るから、すみくんは本当にすみくんのやりたいことを優先してよ!」
「女主人公…」

正直、おれも二宮さんの作る二宮隊には興味があった。
No.1シューターでトリオンお化けの二宮さんと、女性は苦手だけど弧月の腕は上位陣にも引けを取らない辻ちゃん。
そして、技術ならきっと誰にも負けない鳩原ちゃん。
この3人と同じチームになれば、きっとA級1位だって目指せる。
でも、おれは女主人公のことも大事で、大切にするって約束でボーダーに入った。

「わたしのことはいいの!わたしだって、すみくんのやりたいことを応援したいの!」
「…ありがとう」
「チームが同じじゃなくたっていいじゃない。わたしがB級になったらチーム組んで、二宮隊にも負けないよ!」

そう言って笑う女主人公の顔を見てたら、それでもいいのかなって思えてきた。

「わかった。女主人公、ありがとう」
「どういたしまして。というか、わたしのせいですみくんのやりたいことができないのは嫌だから、ちゃんと言ってくれて良かったよ」
「おれは別に我慢してるとかじゃないよ」
「わかってるよ!」



次の日、おれはすぐに二宮さんに二宮隊に入りたいと返事をした。

「おまえの妹は大丈夫なのか?」
「はい。女主人公の気持ちもわかったんで、大丈夫です」
「そうか」
「これからよろしくお願いします、犬飼先輩」
「よろしくね、辻ちゃん」
「犬飼くん、よろしく」
「うん、鳩原ちゃん」

こうして二宮隊が結成。
オペレーターはひゃみちゃんがやってくれることになった。
そして、女主人公も吹っ切れたのか、おれたちがチームを組んだ一か月後くらいにB級に昇格することができた。

「すみくん!やったよ!B級になれたよー!」
「おめでとう!そしたらお祝いしないとね!」
「わーい!わたしパフェが食べたいな!」
「いいよ。駅前のあのお店でいいの?」
「うん!」

おれたちは二人とも、高校2年になる前にB級に昇格することができた。
B級に昇格したということは、チームを組むことができるということだ。

「女主人公はチームのこと考えてる?」
「うーん…どうしようかなって思ってる」

おれが聞くと、女主人公は悩んでいるようで、ハッキリとした返事はもらえなかった。

「誰かに誘われてたりするの?」
「すみくんと違ってポンコツのわたしは誘われません」
「そういう意味で言ったんじゃないよ、怒んないで。かわいい顔が台無しだよ」
「ふん!」

おれの言葉にますます顔を膨らませる女主人公。
怒っていてもかわいいってすごくないかな?



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