まずは、嵐山隊と私の集合写真を撮ってから、次に二組に分かれての撮影。
「どう分かれましょうか」
「オレは苗字さんの横に並ぶ勇気はありません!」
「まあ、苗字さんの横が務まるのは嵐山さんだけですよね」
「そうか?充でも賢でもいいじゃなか」
「私は誰でもいいですよ」
「じゃあ嵐山さんと苗字さんでいきましょう!」
「わかった!苗字、よろしくな!」
「はい」
そうして私と嵐山さん、時枝くんと佐鳥くんの二組に分かれることになった。
先に私たちが撮影をする。
「そしたら、二人とも背中合わせで立ってくれるかな」
「いいねー!二人とも素敵!」
「美男美女だわー、売上あがっちゃう!」
カメラマンさんやスタッフさんが気分を上げる言葉をかけてくれるので、緊張せずに撮影をすることができた。
「もっと撮りたくなっちゃったわ!もう少しツーショット撮らせてね!」
「はい!」
「はーい」
時間がかかりそうだ。
そんな二人の撮影を、影浦は時枝、佐鳥、そして綾辻と見ていた。
「苗字さん、本当に綺麗ですね」
「ですね。嵐山さんと並ぶとオーラがすごいです」
「やっぱりあの二人にして正解でしたねー!」
「…本当だな…」
そんな二人を見ている影浦の表情は、少しだけ暗い。
「…だからこそ、苗字さんの恋人が影浦先輩でよかったですね」
「あ?」
「苗字さんの外見だけじゃなくて、内面も含めて愛されてるじゃないですか」
「…」
「外見にだけ釣られる人って、勝手なイメージを押し付けてくるんで大変なんですよ」
「おめーもツラがいいから苦労してんだな」
綾辻の言葉に、影浦は少し安心したような表情になった。
「苗字さんと影浦先輩は、本当にお似合いだと思います」
「うるせー」
「おれもそう思います。苗字さんは影浦先輩と出会えて幸せですね」
「…ちげーよ」
「え?」
「…女主人公と出会えて、俺が幸せなんだよ」
女主人公を見る影浦の目は優しく、綾辻たちは微笑ましそうにその姿を見ていた。
「終わった…」
「苗字、おつかれ!」
嵐山と女主人公の撮影が終わり、次は時枝と佐鳥の撮影が始まった。
二人の撮影が終わると、次はインタビューが始まる。
インタビューは、ボーダーのことや隊員の活動内容、隊について、そして今回は女主人公がいるので、影浦隊やB級についてもより詳しく聞かれた。
「はい、これでインタビューは終了です。ありがとうございました!」
「ありがとうございました」
インタビューが終わり、お昼休憩をはさんで次はショッピングモールに移動する。
「苗字、大丈夫か?」
「はい」
「疲れたら遠慮なく言ってくださいね」
「大丈夫だよ、ありがとう」
「無理すんなよ」
「雅人くんもありがとう。今日一日付き合わせちゃってごめんね」
「俺は別になんもしてねーからな」
車での移動になるので、あっという間にショッピングモールについた。
車を降りると、担当の社員が待っていて、そのまま従業員入り口から嵐山隊の控室に通される。
「いやー、今回はよろしくお願いします!みんな、嵐山隊のみなさんに会えるのを楽しみにしていますよ!」
「ありがとうございます!」
「今日は木虎隊員がお休みとのことで」
「そうなんです。代わりに影浦隊の苗字隊員が手伝ってくれることになりました」
「よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
挨拶をすませ、イベントが始まるまで少し待つことに。
「どんなイベントなんですか?」
「ボーダー隊員のトークショーみたいな感じだな。さっきのインタビューを、公開でやるみたいなイメージだ」
「なるほど」
「その後、隊員との触れ合い、ということで握手会がある!」
「握手会…」
「アイドルみてーだな…」
「まあ、ほとんどは子どもが相手だから、気負わずにな!」
「わかりました」
そんな話をしていると、時間になったためスタッフが呼びに来た。
「そしたら嵐山さん、時枝さん、佐鳥さん、苗字さん、こちらにお願いします」
「いってくるね」
「おー」
影浦と綾辻はイベントを舞台の後ろから見守る。
『みなさんこんにちはー!本日は嵐山隊の嵐山さん、時枝さん、佐鳥さん、そして影浦隊の苗字さんにお越しいただきました!よろしくお願いします!』
『よろしくお願いします!』
『えー、今日は嵐山隊の木虎さんが風邪でお休みということで、代わりに影浦隊の苗字さんに来ていただきましたが、今回が初めてですか?』
『はい、緊張していますが、よろしくお願いします』
『初々しいですねー!早速ですが、みなさんに質問をしていきたいと思います!』
イベントは滞りなく進んでいき、あっという間に最後の質問に。
『次が最後の質問です。最後の質問は会場のお友達に聞いてみましょう。誰か質問ある方いますか?』
スタッフがそう聞くと、小学校6年生くらいの女の子が手をあげた。
『はい、じゃあそこの女の子』
「ボーダー内の恋愛は禁止ですか?」
『おおーこれは女の子らしい質問ですね!どうなんでしょう?』
『いえ、特に禁止ではないです。現に、ボーダー内で付き合ってる人もいますし、仲が良いですよ』
『そうなんですね!嵐山さん、ありがとうございました!』
最後の質問が終わり、握手会に移る。
嵐山隊の三人、そして女主人公が机の奥に並び、順番に一人ずつと握手をしていくスタイルだ。
『隊員たちとの交流希望の方は、こちらに一列に並んでくださーい!』
基本的には子どもや女性が多く、たまにいる男性も特に問題を起こすことはなく握手会は順調に進んでいった。
「嵐山さん!応援してます!これからも頑張ってください!」
「ありがとう!期待に応えられるように頑張るな」
嵐山は、一人ひとりに丁寧に対応した。
「じょ…女性でも戦えるんですね…!」
「はい。意外と女性の隊員も多いですよ」
「かっこいい…」
「興味があれば、ぜひ入隊試験を受けにきてくださいね」
「はい!」
嵐山に習うように、女主人公も対応をする。
最後の方に並んでいた男の番が来ると「おまえらはいいからそこのねーちゃんとだけ握手させろよ」と言った。
「お客様、それはちょっと…」
「あ?客の言うことが聞けねーのか!?」
こういうやっかいな客もたまにいる。
嵐山は女主人公を自分の背中に隠すと「すみませんが、そういう対応はしていないので、お引き取りください」と言った。
「生意気だな!誰のおかげでボーダーが活動できてると思ってんだ!」
「少なくとも、あなたではないことは確かです」
「あ!?」
男が嵐山に向かってこぶしを振り上げる。
「嵐山さん!」
時枝と佐鳥が間に入ろうとしたところに、影浦が裏から出てきて男のこぶしを受け止めた。
「おいおっさん…」
「な、なんだよ!」
「殴られたくなかったらさっさと消えろ…」
「…チッ!」
男は何も言わずにその場から逃げ出した。
「影浦!大丈夫か?」
「なんともねーよ」
「雅人くんケガはない?」
女主人公は影浦の腕を掴んでケガがないか確認をした。
「なんともねーって言ってんだろ」
「もう…心配させないでよ…」
「それはこっちのセリフだボケ」
影浦は女主人公の頭を撫でると、「もういいだろ?」と嵐山に聞いた。
「ああ。もうイベントは終わりだな」
嵐山の言葉を合図に、スタッフはイベントの終わりを告げて、全員で控室に戻った。