加古先輩や二宮さんが卒業してしまうので、少し寂しい気持ちになった。
「せっかく女主人公ちゃんと仲良くなれたのに、もう卒業だなんてさみしいわ」
「加古先輩、私もさみしいです」
「ボーダーで会えるだろ」
「そうだけど、学校で会うのとはまた違うじゃない」
「苗字、最近動きがよくなってきているが、まだまだ甘いところもある」
「はい。二宮さん、今度また練習に付き合ってください」
「あぁ」
「なんだか二宮くんが女主人公ちゃんの師匠みたいで面白くないわ」
「師匠みたい、じゃない」
「本当に師匠なの?それはなおさら面白くないわ。女主人公ちゃんは私の弟子よ」
私はいつから二人の弟子になったのだろうか。
でももっと強くなるのには、誰かの弟子になって、しっかり教えてもらうのも良さそう。
「加古先輩、二宮さん、ご卒業おめでとうございます。これからもボーダーでよろしくお願いします」
「ありがとう。もちろんよ」
「あぁ」
そして、私たちは2年生になった。
「荒船くん、また隣の席ね」
「本当だな。ま、よろしく頼むわ」
2年生も、私たちはB組で、犬飼くんはD組。
そしてこの学年には、他にもボーダーの人がいることが分かった。
蔵内くんと神田くん、まだ会ったことがなかったけどどんな人たちなんだろう。
「そういえば、犬飼がチームメンバーを紹介したいから、今度昼飯一緒に食おうって」
「犬飼くんのってことは、二宮隊のメンバーか。強そうだね」
「どんなやつらか楽しみだな!」
次の日、さっそく犬飼くんからお誘いがあったので、私と荒船くんは食堂に向かった。
「やっほー!こっちだよ!」
犬飼くんはすでに席に座っていて、他に二人、男の子と女の子が座っていた。
「こんにちは」
「よう」
私たちも空いている席に座った。
「うちのチームメンバーを紹介するね!辻ちゃんとひゃみちゃん」
「初めまして。苗字女主人公です」
「荒船だ」
「あ…は…ひぃ」
「あ、あ、あの氷見…亜季で、です!」
ん?
これは。
「ごめんねー!辻ちゃんは女の子が苦手で、ひゃみちゃんはあがり症なんだよね」
「大丈夫なのか、このチーム」
荒船くんがあきれたように笑った。
「辻ちゃんは男相手なら大丈夫!ひゃみちゃんはわかんない!」
「でもオペレーターとはちゃんと会話できないとまずいだろ?ランク戦とか任務中はどうしてんだ?」
「そ、それは慣れてきました…。さすがにチームメンバーなので」
なるほど。
ということは、辻くんが話ができないのは私のせいか。
と考えていると、氷見さんが犬飼くんに小さな声で話しかけていた。
「い、犬飼先輩!話には聞いていましたけど苗字先輩ってこんなに綺麗な方なんですか!」
「そうだよー」
「私面食いなんですよ!こんなに綺麗な人だと、余計緊張しちゃうんですけど!」
「あれーそれで言うと、なんでおれは大丈夫なのかな?」
「ふざけないでください!」
小さい声で話しているはずなのに、全部聞こえちゃっている。
「そ、そしたら私は別の席でご飯食べようかな」
と言って、私が席を立とうとすると
「あ!苗字先輩!ま、待ってください!」
氷見さんに呼び止めれた。
「わ、私と仲良くしてください!」
「それはもちろん。嬉しいよ」
そう言ってほほ笑むと、氷見さんが固まった。
ついでに隣の辻くんも固まっていた。
「あーあ、苗字ちゃん、だめだよ。こんな至近距離でレアな笑顔見せたら固まるでしょ」
「私はメデューサなの?」
「とりあえず、こいつらは放っておいて飯食うか」
荒船くんは、こんな時でもマイペースでうらやましい。
そろそろお昼の時間が終わるかな、というころにようやく氷見さんと辻くんが復活して、二人は急いでご飯を食べていた。
「苗字先輩!また!」
「うん、またね氷見さん」
そう言って1年生の二人と分かれて、三人で2年の教室に向かう。
「面白いでしょーうちのメンバー」
「面白いけど大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫!もう一人普通校に通ってるメンバーもいるんだけど、そっちもなかなか個性的でね!でも楽しいメンバーだよ」
犬飼くんは笑いながらそう言った。
「まぁどこもそんな感じか。うちのオペもかなり個性的だからな」
「荒船くんのところのオペって、確か加賀美さんだっけ?」
「あぁ、あいつも変わってる」
「ある程度個性がないと、ボーダーではやっていけないのかな?」
うちのメンバーもなかなかだしな、と勝手に納得した。
「二人は今日もボーダーに行くの?」
「今日は行かないよ。雅人くんの家のお手伝いしに行くの」
「なんだ、じゃぁ送るついでにかげうらで飯食ってくかな」
「いいなー!おれも行きたいけど、今日は二宮隊のミーティングがあるから行けないや」
「また今度食べに来てね」
「うん!」
クラスの前に着いたので、犬飼くんと分かれて、私たちは席に戻った。
「手伝いって何するんだ?」
「んー、お皿洗ったり、注文聞いたり、色々するよ。今日いつも来てるバイトさんが風邪で休みなんだって。だからその代わりに」
「なるほどなー。確かに女主人公は昔も手伝ってたもんな」
「うん。ボーダーに入ってからは、なかなかお手伝いできなかったから久しぶりだよ」
「カゲも手伝うのか?」
「私だけ手伝って、雅人くんが部屋でぐーたらしてたらおばさんからのげんこつが飛んでくるからね」
「それもそうか」
お手伝いが終わったら、おばさんはいつも好きなお好み焼きをご馳走してくれる。
好きなお好み焼きを選んで、それを雅人くんが焼いてくれて、全部食べ切れなくて、結局残りは雅人くんが全部食べることになる、というのがいつものパターンだ。
今日は何のお好み焼きにしようかな。