そう言うと、村上は共有に成績表を入れた。
「諏訪隊に抜かされたな」
「4位になっちゃったね」
「今日の諏訪隊は絶好調だったからな」
1位と2位の水上隊と古寺隊はそのままで、諏訪隊が3位に浮上した。
「でも点差を見ればまだ数十点の差だからな」
「それもそうだね」
「ただ、やっぱり戦闘シミュのあともう1勝が難しいな」
「みんな慣れてくると、次は新しい作戦を考えて実行してくるからな」
村上はパソコンを閉じると「お疲れ様。そしたら夕飯にするか」と言った。
「うん。今日はユニットの数も多くて大変だったと思うから、みんな座ってて」
「苗字先輩、手伝いますよ」
「氷見さんありがとう」
女主人公と氷見はキッチンに向かった。
「あっという間に4日目も終わりましたね」
「本当だね。明日からは戦闘シミュが特殊になるみたいだけど、どんな感じになるんだろうね」
「変なルールの追加とかだったら嫌ですね」
「せっかく覚えたルールがパァになるのは嫌だなー」
そんな話をしながらも、2人はちゃちゃっと夕飯を作った。
柿崎3番隊。
「こりゃもうだめっす…おしまいっすわ…」
別役がわかりやすく落ち込んでいた。
「おれのせいでドベ2っすわ…腹切っておわびする所存っす…」
「なにわけわかんねーこと言ってんだ太一」
「今日、特別課題もなかったし…上層部はおれのこと嫌ってるんすよ…」
「いやいや、特別課題が出てたらきつかっただろ。戦闘シミュのユニット多すぎだし」
落ち込む別役を柿崎がフォローする。
「おめーのせいじゃねーよ太一。…俺が課題で足引っ張ってんだよ。戦闘シミュはそんな低くもねーだろ」
影浦はそう言うと、「…悪りーなザキさん」と柿崎に謝った。
「おいおい2人ともへこみすぎだろ。今日だけで言や昨日より順位いいんだぞ?」
2人の落ち込みっぷりを見て、柿崎は慌ててフォローをする。
「それに、初日も言ったけど、俺は戦闘試験重視でメンバー選んでんだから、デスクワークまで完璧にこなせとは言わねーよ」
「そうは言ってもよ…」
「おれは選ばれてないんで関係ない話っすね…」
「大丈夫だって。太一はアイデアマンだから、絶対役に立つタイミングがある。…って来馬先輩も言ってたし」
「来馬先輩は優しすぎて現実が見えてないんすよ…」
別役の落ち込みっぷりに、藤丸は後ろから別役の頬をつぶしながら「くるセンの期待をおめーが現実にするんだよ!」と物理的に励ました。
「まあ今更ジタバタしても仕方ないでしょ。頭脳労働はこっちに任せて、その分バトルで挽回すればいいんじゃないの?」
「あァ?馬鹿にしてんのか?」
「善意100%なんだけど…伝わんない?このやさしさ」
「…チッ…」
犬飼の言葉は、本当に善意100%だったので影浦は何も言うことができなかった。
「ウチはもう、バトルだけで食ってくわけにゃいかねーんだよ…」
「…」
「ま、とりあえず一息つこうぜ!今日は1日ハードだったからな!」
「うめえメシ作ってやっから待ってろ!」
そうして藤丸がキッチンに向かうと、犬飼は先ほど気になったことを影浦に伝えた。
「…あんまり考えすぎてると、この前のランク戦みたいになるよ」
「うるせーな」
「カゲって本当に遠征目指してるんだね?」
「おめーに関係ねーだろ」
「オレには関係ないけど、苗字ちゃんには関係あるでしょ」
「…」
「カゲが遠征目指すのは別にいいけど、あんまり苗字ちゃんに心配かけないようにしなよね」
「…余計なお世話だ」
閉鎖環境試験5日目。
「おはよう」
「おはよう」
今日は女主人公がカプセルベッドの日だった。
「カプセルベッドの寝心地はどうだった?」
「意外と寝られたね」
女主人公と蔵内はキッチンで朝ご飯の準備を始めた。
「蔵内くんも、もう少しゆっくり寝てていいんだよ?」
「苗字が朝から動いてくれてるのに、寝てられないからな」
「私は毎日お弁当作りしてたから、このくらいに起きるのが習慣なの」
「そうだったな。王子が、苗字の弁当を食べてみたいって言ってたな」
「王子くんならもっと高級な物食べ慣れてるでしょう」
「どういうイメージなんだ」
二人が話していると、眠そうな村上と堤が部屋に入って来た。
「おはよう…」
「おはよう!2人とも相変わらず早いな」
「堤さんも、朝から元気ですね」
「それに比べて村上は…ちゃんと起きてるのか?」
眠そうな村上を見て、蔵内は笑った。
「15分とかの仮眠ならパッと寝てパッと起きられるのに、朝はこんな感じなの面白いよね」
「だな」
村上は眠そうにしながら席に座る。
「聞こえてるぞ…」
「こうしてると、年相応って感じだよね」
「ランク戦の時とは違うよな」
「だな」
オペ室から出てきた氷見は、「おはようございます。村上先輩は、相変わらずですね」と言った。
「みんなそう思うよな」
朝ごはんを食べ終わるころには、村上の目も覚めた。
「毎朝毎朝すまん…」
「いいよ、慣れたよ」
「朝の村上は使い物にならないって知れたのは大きいな」
そして、9時になり全員がパソコンを開く。
「それじゃあやるか」
「はい」
「了解」
「今日は、分担課題を進めればいいか?」
共通課題は終わったので、今日から分担課題を進めることになった村上隊。
「とりあえず、特殊戦闘シミュの連絡が来るまでは、このまま課題を中心に進めて行こう」
「そうだね」
「…!ちょっと待った。上から特別課題がきた」
「え?もう?」
「特殊戦闘シミュ関係ですか?」
共有に入れられた特別課題を全員が確認する。
今回の特別課題は、添付された専用ソフトを使って、オリジナルのトリオン兵を各隊員1体以上作成しなさい。というものだった。
「トリオン兵って作れたんだね」
「それを使ってやるから特殊戦闘シミュなんだな」
「まずはソフトを確認するか」
トリオン兵つくーる、というソフト開くと作成画面が現れた。
5つの項目から設定を選んでいくと、オリジナルのトリオン兵を作ることができる仕組みになっている。
「適当に作ってみるか」
「その方がわかりやすいですね」
「だな」
1番:本体設定
ここでは大きさと移動タイプを選択することが可能。
大きさの最低値は1から最大値は5。
移動タイプは、2足、4足(獣)or(虫)、6足(虫)、飛行の5タイプから選べる。
2番:装甲・装飾
ここでは装甲と装飾を選択することが可能。
装甲密度の最低値は1から最大値は10。
装飾ボタンを押すと、装甲の形を変えることが可能。
3番:能力値
ここでは各項目の能力値を設定することが可能。
行動力、攻撃、防御、回避、援護、技術の項目があり、それぞれ最低は1。
(足のタイプによって能力ボーナスがついてくる)
大きさと装甲密度が大きいと、トリオン兵の”耐久値”が増えて、”行動力”が減る。
4番:センサー
ここではセンサー性能を設定することができる。
トリオンセンサー、光学センサー、音響センサーの3種類があり、最低値は0。
光学センサーは射程範囲と視覚に影響し、音響センサーは射程範囲と音響探知に影響する。
トリオンセンサーで得た探知情報は、全ユニットで共有される。
5番:武装・スキル
ここでは武装とスキルを設定することができる。
武装はブレード、シールド、アステロイド、メテオラなどの武器。
スキルはレーダーステルスやジャミング、光学ステレスなどの8種類から選ぶことが可能。
武装なし、スキルなしも可能。
なお、作成コストは作る人間のトリオン量で決まっている。
「なるほどな…とりあえず、コスト管理が大事だな」
「これだけ自由度が高いと、相手チームがどんなトリオン兵を作ってくるか、まったくわからないね」
「そうだな」
「威力や射程、弾を使うなら段数にもコストがかかるのか」
「厄介だな」