「カゲくん、ゾエくん、ユズルくんお疲れ様〜!」
「女主人公」
「女主人公ちゃんおつかれ!」
「どうも」
女主人公の所属している諏訪隊は、影浦隊と入れ替わりで防衛任務に行く。
「カゲくん、ノートよろしくね!」
「めんどくせえ…おまえの彼氏様に頼めよ」
「頼むけど、水上くんも特別早退だから途中で帰るんだよー。鋼くんも穂刈くんもいないから、カゲくんだけが頼りなの!」
「はー、なんで今日に限ってこんなシフトなんだよ…」
「寝ちゃダメだよ!」
「わーってるよ!」
影浦の返事に女主人公は満足し、諏訪隊のもとへと戻った。
影浦隊のメンバーは、そのまま学校に向かう。
「おはようさん」
「よう」
「今日は静かやなー」
「女主人公がいねーからだろ」
「そういうことやな」
「おめーも今日特別早退だろうが」
「せや。1人でも大丈夫やんな?」
「ガキじゃねーんだよ!」
今日は諏訪隊、荒船隊、鈴鳴第一が早番の防衛任務についており、C組には水上と影浦しかいない。
この2人だと、いつもより断然静かである。
あっという間に昼休みになり、影浦が村上の席に座ると、水上が後ろを向く。
「寝てへんやん」
「女主人公がちゃんとノート取れってうるせーんだよ」
「ほんま女主人公に弱い奴やな」
「逆らうとめんどくせーだけだ」
そんな話をしていると、急にボーダー本部の上空に無数のゲートが開き始めた。
「…は?」
「なんやあれ…」
チチチチチ
2人が持っているボーダー支給の端末から緊急の呼び出し音が鳴る。
「これは、ほんまにヤバいやつやんな」
「…とっとと行くぞ」
職員室に向かい、担任に呼び出されたことを伝える2人。
「結構まずいやつかもなんで、避難しといたほうがええかと思います」
「…わかった。おまえたちは?」
「あっち向かう」
「そうか。無理だけはするなよ」
「俺たちを誰だと思ってんだよ」
「ボーダーだろうが、おまえたちは大事な生徒だ」
「…うぜー」
「照れんな」
「照れてねー!」
2人はトリオン体に換装してから職員室を出て下駄箱に向かうと、王子、北添も同じように換装して外に出る準備をしていた。
「おつかれさま」
「ヤバいヤバい!本部の方真っ暗だよ!」
「ビビってんじゃねー!ゾエ、おめートリオン回復してんのか?」
「半分くらいかな?寝てないからあんまりって感じだよ」
「夜勤明けにこれはキツイね」
「とりあえず本部向かう?」
「…どーんすんだ水上?」
「ん?」
影浦に声をかけられて、ようやく反応する水上。
「ボケっとしてんな!女主人公なら大丈夫だろ!」
「そうだよ。諏訪さんがついてるよ」
「…せやな」
4人は1年と2年の教室に行き、同じチームの隠岐、仁礼、南沢と合流して本部を目指すことにした。
『すわさーん、なんかヤバいことになりそう』
「なんとかするしかねーだろ」
諏訪隊は、防衛任務中にゲートの発生を確認。
忍田から基地の東に向かうよう指示が出たので、急いで現場に向かう。
「これ、大規模侵攻ってことですよね」
「だな…」
「…気を引き締めていきましょう」
「うん」
女主人公の表情は、少し強張ってはいるがしっかり前を見ている。
「あそこだな!」
諏訪がトラップに引っかかっているトリオン兵を発見し、攻撃を開始した。
「諏訪隊現着した!ネイバーを排除する!」
諏訪が本部に伝えると、4人で戦闘を開始する。
モールモッドやバムスターなど、目に見える範囲にいるトリオン兵は4人の連携で簡単に倒すことができた。
「よし、他に移動すんぞ」
「す、諏訪さん!」
女主人公が指さした方を見ると、倒したトリオン兵の腹部からバキバキバキバキと音を立てながら二足歩行の新たなトリオン兵が出てきた。
「なんか出たぞオイ」
「新型…ですかね?」
新型トリオン兵、ラービットに向かって諏訪と堤、そして女主人公が弾丸を撃ち込む。
「クッソ!アホみてーに堅えな!!」
「日佐人!抉じ開けろ!!」
笹森は屋根の上からラービットの上に飛び乗り、首元に弧月を突き刺す。
「了解!」
そんな笹森をラービットは睨むと、背中から棘のようなものを出して放電した。
「か…!!」
「!?日佐人!!」
「日佐人くん!?」
笹森は地面の上に倒れ込んだ。
「…野郎!」
諏訪はダブルショットガンでラービットを狙うが、逆にラービットに捕らえられてしまう。
ラービットは、そのまま自分の腹部に諏訪を入れた。
「諏訪さん!!」
「諏訪さん!」
そして、笹森を抱き抱えている堤と、2人を守っている女主人公に向かって飛んでくる。
「女主人公!逃げろ!」
「逃げません!」
そう言って女主人公が武器を構えると、身体がふわっと浮いた。
「え!?」
「あれが新型?思ったより小さいですね」
「舐めてかかるなよ。見た目より手強いぞ」
「わかってますよ。もういきなり退場はこりごりだ」
女主人公たち3人は、風間隊の3人によって屋根の上に移動させられていた。
「…風間さん!」
「退がってろ諏訪隊。この新型は俺たちがやる」
「か、風間さん…!す、諏訪さんが…!」
「わかっている」
「風間さん、そろそろ女主人公先輩降ろしたら?」
女主人公は、風間に横抱きにされていることに気づくと顔を赤くした。
「わー!風間さん、すみません!わたし、重いですよね!」
「別に重くなどない」
「ひゃい」
「心音うるさー。水上先輩に浮気してたって言うよ」
「し、してないよ!」
風間は女主人公のことを降ろすと、本部に通信を繋いだ。
「本部、こちら風間隊。諏訪が新型に食われた。直ちに救助に入る」
「うわ、こっち見てる。きもちわる…」
「風間さん…オレたちもやります。オレがやられたせいで諏訪さんが…」
笹森は、顔をしかめながらそう言った。
「日佐人…」
「俺たちがやると言ったはずだぞ。アタッカーの連携はガンナーよりシビアだ。慣れないやつが入ると、逆に戦闘力が落ちる」
「でも…このままじゃ引き下がれないです…!」
「じゃあ勝手に突っ込んで死ね」
「風間さん…!」
風間は「それでおまえの役目は終わりだ」と続けた。
「…!」
「ひっこんでなよ、弱いんだから」
「おまえは堤さんと女主人公先輩と他のトリオン兵を追ってくれ。諏訪さんはオレたちが必ず助ける」
「…了解…!」
「日佐人くん、行こう」
「…はい」
諏訪を除いた3人は、風間隊に言われた通り他のトリオン兵の排除に向かった。
ある程度トリオン兵を片付けた後、諏訪隊は本部に向かう。
「とりあえず、エンジニアが総出で解析してるけど、もう少し時間がかかりそう」
「そうですか…」
「まぁ、でも最初にキューブになったのが諏訪で良かったよ。色々いじりやすい」
「寺島さん、諏訪さん元に戻りますか?」
「大丈夫だよ。絶対戻すから」
「…ありがとうございます」
寺島はそう言うと、女主人公の頭を撫でる。