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「よく足止めしたな諏訪隊。ご苦労だったな」
「イヤイヤ、まだ死んでないスよ」
「鬼怒田さん、悪いが壁を修復してくれ。こいつを逃すわけにはいかないからな」

忍田が鬼怒田に通信を繋げてそう言うと「…ああ?誰が逃げるって?」とエネドラが反応した。

「この程度でオレに勝てる気でいんのか!?ザコトリガーが!!」
「当然だ。貴様のようなやつを倒すために、我々は牙を研いできた」

エネドラは、ガスブレードで忍田を攻撃しようとする。

『トリオン展開!気体攻撃です!』

風間隊の三上から通信が繋がると「堤!」と忍田が呼ぶ。

『了解です。空調を全開にします!』

訓練室の空調を全開にして、気体化されたブレードを押し戻す。

「やつの弱点の位置情報をくれ」
『ダミーも同時に映ってしまいますが…』
「構わん。何れにしろ、全て斬る」

そう言うと、忍田はマークされた反応を全部斬った。

「うぜえな、クソザコが!」

エネドラが展開する広範囲の攻撃を、忍田と諏訪隊の3人は避ける。

「貴様のトリガーは火力よりもその特殊性が武器だ。ネタが割れれば強みを失う。貴様の敗因は、我々の前ではしゃぎすぎたことだ」

忍田は、エネドラのダミー含む弱点を全て斬った。

「が…!!」
「マジで全部斬った!本部長やべえな!」
「援護するヒマなかったですね」

エネドラを倒した、と思ったが次の瞬間、忍田をエネドラの攻撃が襲う。
忍田は間一髪でエネドラの攻撃を避ける。
倒したはずのエネドラが女主人公の後ろに現れると、女主人公の両腕を後ろで掴んでそのまま訓練室の階段の上に移動した。

「女主人公先輩!」
「あぁ!?なんで生きてやがる!?女主人公を返せ!」
「チッ、うるせーなザコが!」
「放して!」

忍田に斬られる前に、エネドラは弱点をカバーから外していた。

「さすがよく避けたなぁ…けど、気をつけろよ。今はこっちが風上だせ」
「!!」

そう言うと、忍田にガスブレードの攻撃が刺さる。

「あ?即死しねぇな。小癪にも体ん中にシールド張ったか?けど手応えはあったぜ」
「忍田本部長!」
「伝達系はズタズタのはずだ。もうまともに動けねーだろ?あ?」

笹森は、エネドラにわからないようにカメレオンを発動する。

「敗因がどうのとか言ってたなぁボスザルさんよ。教えてくれよ、オレの敗因ってやつを」
「…いいだろう。すぐにわかる。私の仕事はもう終わった」

忍田がそう言うと諏訪が「女主人公!シールド!」と叫び、女主人公がシールドを展開する。
そして、諏訪と堤がエネドラに向かって攻撃をする。

「こいつらがオレに勝てるってのか?ザコだけで何ができる!!」
『おサノ!』
『了解!スタアメーカーオン!』

小佐野はガンナー・シューター用のオプショントリガー、スタアメーカーを起動させた。

『これでもうダミーはムダだぜ!日佐人!!』

カメレオンで姿を消している笹森がエネドラを狙う。
が、エネドラは前の風間隊戦でカメレオンを見ていたため対応する。

「消えるトリガーはもう見た。気付かねーとでも思ったか?クソガキ」
「…」
『戦闘体活動限界。ベイルアウト』

笹森がベイルアウトし、諏訪と堤が引き続きエネドラに撃ち込む。

「弾を集中させろ!!女主人公!堪えろよ!」
「はい!」
「トロいぜ!!」

「そっちがね」

エネドラの背後から、カメレオンで姿を消していた菊地原と歌川がスタアメーカーで目印がついていた弱点を攻撃した。

「(こいつらは…尻尾巻いて逃げたチビども…!!最初から姿を消してやがったのか…!)」
「伝達脳と供給機関を破壊。任務完了」
「サルども…が…!!!」

エネドラの換装が解ける。

「ダミーが一度ゼロになった時点でステルス組が決める形は整っていた。我々の勝ちだ」
「トドメ刺したのは風間隊ってことでよろしく」
「おいてめぇ菊地原!」
『諏訪、笹森に伝えろ。”いい陽動だった”…以上だ』
「だとよ、日佐人」
『…!はい…!ありがとうございます…!』

エネドラのそばで座り込んでいる女主人公に、諏訪は声をかける。

「女主人公!大丈夫か?」
「は、はい!大丈夫です!」
「どうします?こいつ。さっき通信室でこいつに何人か殺されてますよね?」
「…」

その言葉に、女主人公はエネドラを睨む。

「…捕獲しろ。捕虜として扱う。相手は生身だ、無茶はするな。だが、気は抜くなよ」
「ちぇっ」
「了解」

エネドラは立ち上がると女主人公に駆け寄り、後ろから拘束する。

「こっち来んじゃねー!こいつを殺すぞ!」
「いやいや、女主人公先輩もトリオン体だから」
「生身で勝てるわけねーだろ」
「本当ですよ!」

そう言うと、女主人公は自分の首に回っているエネドラの腕を掴む。
女主人公がエネドラを投げ飛ばそうとした瞬間、空間に穴が空いてミラが現れた。

「!!」
「人型ネイバー!」
「回収に来たわエネドラ。派手にやられたようね」
「チッ…!おせえんだよ」

そう言うと、エネドラはミラに手を伸ばす。

「その女は?」
「連れて行く」
「はあ!?絶対やだ!」
「黙れ!」
「勝手なことしないでエネドラ」
「関係ねーだろ」
「女主人公を放せ!」
「とっとと行くぞ」

ミラはため息をつくと、自分のトリガーを起動させた。

「ごめんなさいね」

そして、エネドラの腕を斬り落とした。

「!!」
「あ!?」
「なっ…!!?」
「回収を命令されたのはブラックトリガーだけなの」
「…っぐあああああ!!てめえ…どういう…ミラ…!!」
「ひぃ!」

腕を斬り落とされて血が溢れ出ているエネドラを見て女主人公が怯える。
エネドラは女主人公を突き飛ばすと、斬り落とされた腕を掴んで止血しようとするが、何の意味もない。
ミラは再度攻撃をしてエネドラを串刺しにすると、そのまま開かれた空間の中に戻って行った。

「き、きゃああ!」
「女主人公!」

エネドラはその場に倒れる。
諏訪は女主人公に駆け寄って死体が見えないように抱き寄せると「なんてこった…仲間を殺りやがった」と言った。

「…救護班を呼べ。人型ネイバーを収容する」
「…いっ!?こいつを…!?もう死んでますよ本部長!」
「かまわん」

忍田の命令で風間隊はエネドラの死体を調べ、救護班を呼んだ。

「女主人公…大丈夫か?」
「は、はい…」

諏訪は震えている女主人公を抱きしめながら、頭を撫でる。

「大丈夫だ」
「はい…」
「風間隊、諏訪隊、新型が屋上に現れた。屋上にいるスナイパーたちと連携して新型を撃破してくれ」

忍田の言葉に、諏訪は「女主人公…行けるか?」と聞いた。

「足手まといになるだけじゃないの?」
「おい菊地原」
「…大丈夫です!わたしだって、ボーダー隊員です!」

そう言って女主人公は立ち上がる。

「わかった。行くぞ」
「はい!」







諏訪、堤、女主人公は、風間隊の菊地原と歌川と一緒に屋上に向かう。
屋上では当真、奈良坂、古寺の3人がラービットと戦っていた。

「当真!」
「諏訪さんじゃねーの」
「大丈夫か!?」
「大丈夫です」
「新型をぶっ倒すぞ!」
「はい!」

風間隊の2人とスナイパー3人と連携を取りながら、屋上にいたラービットを撃破した諏訪隊。

「本部、こちら諏訪隊。屋上にいた新型を撃破」
『ご苦労。迅の予知では、もう追加はないそうだ。外のトリオン兵は今出ている部隊が片付ける。おまえたちは中に戻ってきてくれ』
「了解」

諏訪は全員に聞こえるように「聞いたな。おめーら、これで終わりだ。下に戻るぞ」と言った。

「お疲れ様でした」
「…終わったんですね」
「おう」
「…良かった」

女主人公はホッとすると、エネドラにされたことと殺された時のことを思い出して吐き気を催した。

「…うっ…」
「女主人公!大丈夫か?」
「…吐きそう…です…」
「ちょっと待て!」

諏訪は女主人公を連れて下のフロアに戻る。
途中、小佐野に通信を繋げてトイレに来るように伝えた。

「え、何?どうしたの?」
「…多分、さっきのことを思い出したんじゃないか?」
「さっきって、あの人型が殺された時のこと?」
「それもある」
「…あぁ、キスされてたこと?でもあれ、攻撃でしょ」
「女主人公は女の子だしな。何より水上と付き合ってるんだ。好きでもない男にされたら嫌だろう」
「…ふーん、そういうもん?」
「まあ…嫌だろうな」
「気にしなくていいのに」
「そうはいかないだろ」

堤はそう言うと、諏訪たちの後を追うように下のフロアに移動した。



「おサノ!」
「はいはい」

諏訪は小佐野と合流すると、女主人公を小佐野に預けた。

「付き添ってやってくれ」
「了解だよ。女主人公、トイレ行こ」
「…うん」

女主人公は口元をおさえながら、トイレの手洗い場に行き、そこで競り上がってくる物を吐いた。
そんな女主人公の様子を見て、諏訪は「…大丈夫かよ…」と心配した。



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