チアガールのパフォーマンスから始まり、次は部活対抗リレーだ。
三門第一ではボーダーも部活として認められているため、ボーダー隊員たちも部活対抗リレーに出場する。
今回出るのは、各学年から2人ずつの計6人だ。
『部活対抗リレーが始まります。選手のみなさんはテント下に集まってください』
放送部のアナウンスが流れ、部活対抗リレーの準備が始まる。
「行ってくる、部活対抗リレーに」
「行ってらっしゃい!穂刈くん、カゲくん、頑張ってね!」
「鋼くんやないの意外やな」
「オレは持久力はあるけど瞬発力はそこまでだからな。短距離ならカゲたちに負けるよ」
「さよか」
3年からは影浦と穂刈が出場する。
「あ、来た来た!影浦さん!穂刈さん!」
2人がテントの下に行くと、米屋と隠岐が待っていた。
「勝ちましょうね!」
「負けねーだろ」
「陸上部は手強いですよー」
ボーダーは陸上部、野球部などの運動部と一緒に走ることになっている。
4人が話していると、烏丸と小荒井もやってきた。
「どうもっす!」
「ども」
「よっし、揃った!走る順番はどうします?」
「オレがやろう、アンカーは」
「じゃあ穂刈先輩がアンカーで!」
「さっさと終わらしてーから俺が1番」
「了解っす!」
走る順番は、影浦、米屋、小荒井、隠岐、烏丸、穂刈に決まった。
『選手のみなさんは、位置についてください』
「頑張りましょうね!」
「やるからには1位目指そうぜ!」
『位置について、よーい、ドン!』
部活対抗リレーが始まった。
影浦、米屋、小荒井は、いい位置でバトンを渡し、隠岐は1つ順位を落としたが3位で烏丸にバトンを渡した。
「ごめんなー」
「これくらいなら大丈夫す」
烏丸がバトンを受け取ると、女子から歓声が上がる。
「烏丸くーん!」
「頑張ってー!」
そんな烏丸は2位に上がって穂刈にバトンを渡した。
「穂刈先輩」
「任せろ、後は」
穂刈は前を走る陸上部を追う。
ゴール手前で穂刈は陸上部に追いつくと、そのまま追い抜かして1位でゴール。
『ゴール!部活対抗リレー第一レースは、ボーダーが1位!2位は僅差で陸上部です!』
「穂刈やりよったな」
「すごかったな!」
「白熱してたね〜!みんなすごい!」
ゴールのところで穂刈がピースをしているのを見つけ、女主人公も同じようにピースを返す。
「部活対抗リレーの次は借り人競争だな」
「水上くんの出番だー!」
「…嫌やなー」
部活対抗リレーが終わり、休憩をはさんでから借り人競争が始まる。
『次は、借り人競争です。選手のみなさんはテント下に集まってください』
「水上くん、頑張ってね!」
「ほどほどに頑張るわ」
「1位狙えよ!」
水上は重い足取りでテント下に向かう。
「水上先輩」
「烏丸」
テントに向かう途中、烏丸に声をかけられた。
「約束、守りますから」
「期待しとるで」
「はい。奢り、忘れないでくださいよ」
「わかっとるわ」
このイケメンは意外とがめついんやな、と水上は心の中で思った。
『さあ!始まります、借り人競争!今年はどんなお題が入っているのでしょうか、楽しみですね!』
無駄にテンションの高い実況係にバトンタッチをして、借り人競争が始まる。
『ルールは簡単!紙に書かれたお題に当てはまる人物を連れて、一緒にゴールするだけです!もし連れてくることができなかったら棄権もできますが、その場合は罰ゲームで一発芸を披露してもらいます!』
実況がルール説明をした。
『第一レースの注目は、なんといっても1年の烏丸くんですね!学校一イケメンと名高い烏丸くんの引くお題に、全校生徒が注目しています』
その言葉通り、全校生徒の注目が烏丸に集まる。
といっても、どのようなお題が出ても、水上との約束で女主人公を借りに行くだけなので、烏丸は特に気にしていない。
『位置について、よーい、ドン!』
烏丸のいる第一レースが始まった。
お題の紙が置いてある場所まで走り、烏丸は適当な紙を1枚選んで中を確認する。
「…」
いつもは表情を崩さないポーカーフェイスの烏丸が、少し困った顔をした。
「…?なんや?」
それを待機列で見ている水上。
「(あいつホンマに約束忘れてないやろな?)」
なかなか走り出さない烏丸だったが、軽く息を吐くと女主人公のもとへ向かう。
「犬飼先輩!一緒に来てください!」
「おれと一緒に来てほしいです!」
「犬飼先輩、僕と!」
女主人公の周りにはすでに何人かの男子が集まっていた。
「おめーは早く断れ!」
「え、でも、理由もなしに断っていいの?」
「大丈夫だよ」
「断らないでくださいー!」
女主人公たちがワチャワチャしていると、烏丸がやってきた。
「女主人公先輩」
「烏丸くん!」
『おおーっと烏丸くんは犬飼さんのところに向かったー!』
「女主人公先輩、一緒に来てください」
「わたし?」
「はい」
「か、烏丸…大丈夫か?」
「大丈夫す。水上先輩に頼まれてるだけなんで」
「なるほどな」
「水上くんに頼まれたの?」
「はい。女主人公先輩はアホだから他の男に借りられる前に借りてくれって頼まれました」
「本当にそう言ってたの?水上くんひどい!」
「確かにちげーねー」
「カゲくん!」
「現に断り切れない雰囲気だったじゃねーか」
烏丸は女主人公に手を差し出すと「ということなんで、俺と一緒に来てください」と言った。
「わかった!」
『犬飼さんも烏丸くんの手を握ったー!女子が悲鳴のような声を上げていますが、烏丸くんは何も気にしていない様子です!』
烏丸と女主人公は1位でゴールをした。
『烏丸くん1位です!お題はなんでしたか?』
烏丸は持っていた紙を放送部に渡した。
『えー、烏丸くんのお題は”一言物申したい異性”です!』
「なにそれ!?」
「俺も最初見た時そう思いました」
『では烏丸くん!犬飼さんに一言どうぞ!』
「…」
烏丸は放送部からマイクを受け取ると『水上先輩とラブラブなのはいいんですけど、こういうことに巻き込まないように言っておいてください』と言った。
「ご、ご迷惑をおかけしました…」
烏丸の言葉に全校生徒が水上を見る。
「(…絶対奢らん…)」
『はい、借りられた人は全レースが終わるまでこちらで待機していてください!一度借りられた人は、もう借りることができません』
烏丸と女主人公は1位の待機列に座った。
「烏丸くん、ごめんね」
「別にいいっすよ。水上先輩にもかわいいところがあるんだなって知れて良かったっす」
「良かったの?」
「ネタになります」
「そっか?」
2年のレースには出水と若村が出ていて、出水は”仲の良い女友達”、若村は”色んな意味で尊敬している異性”というお題で、それぞれ該当する子に声をかけていた。
若村は冷や汗をかきながら香取を連れて行ったが、ゴールでお題を知った香取に「色んな意味って何よ!?」と言って殴られた。
そして、3年のレースが始まる。
「3年生が始まりますね」
「本当だ!」
水上がスタート位置につく。
烏丸によって女主人公が借りられたため、恋愛系以外のお題が出てほしいと思っている水上。
恋愛系以外であれば、細井を連れて行けば万事解決すると思っていた。
『さあ、3年生の第一レースが始まります!位置について、よーい、ドン!』
水上は走り出すと、落ちているお題の紙を1枚拾う。
そして、中身を見ると固まった。
「な…なんでやねん!」
水上のお題は、シンプルに”彼女”だった。
水上はそのままゴールに走ると、「棄権や!」と言ってお題の紙を渡した。
『おおーっと水上くん、棄権宣言です!お題を確認してみましょう。”彼女”!残念!水上くんが余計なことをしたばっかりに』
「うっさいわ!」
そんなやり取りを見ていた女主人公は「わたしのことをアホだって決めつけた罰だね」と笑っていた。
「…水上先輩と女主人公先輩って、似た者同士ですね」
「え!?そうかな?」
「はい」
水上のことを見て3Cの3人も笑っていた。
「アホすぎる!」
「信じてれば借りられたのにな、女主人公を」
「なんだかかわいそうだな…」
借り人競争では棄権すると、一発芸をしなくてはいけないので、水上は全力でモノマネをして無事にスベッた。
「もう一生やらん…!」
最後に紅白リレーが行われ、今年の体育祭は紅組の勝利で幕を閉じた。