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期末試験も終わって、私たちは夏休み真っただ中。
今まで以上に、ボーダーにいる時間が増えていた。
嵐山隊が広報部隊になって活動をしてるからか、どんどんボーターには新しい隊員が入隊していた。

そんな中、私たち影浦隊と犬飼くんの所属する二宮隊が次回のランク戦からA級に昇格することになった。

「やったな!さすがアタシたちのチームだ!」
「本当だね。ヒカリちゃんのおかげだよ」
「ね〜!まさかこんなに早くA級になれるとは思わなかったよ。ゾエさん嬉しい!」
「普通にやってりゃ俺たちに勝てるチームのが少ねーだろ!」

雅人くんも嬉しそうで、私も表情が緩む。

「あ!女主人公が笑ってる!」
「おぉ〜!女主人公ちゃんが笑うといいことありそう」
「私の笑顔は何?ご利益でもあるの?」

そう言いながらも可笑しくてもっと笑ってしまった。
「女主人公、おめーはもっと笑え!」
「雅人くんまでそう言う」
「カゲも嬉しいんだよー!女主人公ちゃんの笑顔はレアだから!」
「本当だよな!女主人公はもっと笑え!せっかく可愛いのにもったいねー!」
「ふふふ、ありがとうヒカリちゃん」







今日もC級ブースでソロランク戦をしに来た雅人くんと荒船くん。
二人はもうすぐマスタークラスになるくらいポイントを稼いでいて、あまりの成長の早さについていけなくなってしまった。

私は休憩中のゾエくんと、ロビーで座りながらお喋りをしていた。
なんでも、次の入隊式には、スカウト組がスカウトしてきた地方から来た隊員が何人か来るらしい。

「スカウト組ってすごいね」
「だねー。やっぱりスカウトされるくらいだからできる人たちなんだろうね」
「私のポイントなんか、あっという間に抜かされちゃいそう」
「そんなことないでしょー!女主人公ちゃんだって、ポイント高い方だと思うよ」
「ありがとう。マスタークラスまであと少しのゾエくんに言われても嬉しくなーい」
「あらら、拗ねちゃった」

ゾエくんとゆるゆるお喋りをしていると、ソロランク戦が終わった二人が戻ってきた。

「ねぇねぇ、今度スカウト組の人たちが来るんだって」
「そうなのか?それは楽しみだな」
「どんなやつだろーと、バトって楽しけりゃなんでもいい!」
「カゲはそう言うと思ったよー」





二学期が始まって、ボーダーでもスカウト組を含めた新しい隊員の入隊式が行われた。
そして、同じころに鈴鳴支部という新しい支部が設立され、玉狛支部という旧本部が独立して活動することになった。
たまたまラウンジで会った烏丸くんに「そういえば俺、太刀川隊を辞めて玉狛支部に異動するんです」と言われてびっくりした。
「え、そうなの?」
「玉狛支部の方が、何かと調整がしやすいんで」
「そっか。じゃぁ太刀川隊の隊服を着ている烏丸くんにはもう会えないんだね」
「写真撮ります?撮りましょう」
何も言っていないのに、烏丸くんは私の隣に移動してカメラを起動してツーショットを撮った。
まぁいっか。



影浦隊の作戦室に行こうと、ボーダーの廊下を歩いていると珍しい人に話しかけられた。

「よー!苗字ちゃん」
「迅さん。こんにちは」

あまり本部でも見かけない迅さん。

「なんだか珍しいですね。どうしたんですか?」
「ちょっと苗字ちゃんにお願いがあってきたんだ」
「お願いですか?迅さんのお役に立てるでしょうか?」
「大丈夫、大丈夫!ちょーっとばかし、悩める男の子を救ってほしいだけだから」
「?」
それは責任重大なのでは?と思いつつ、迅さんの話を聞く。

「今回、スカウトで関西から来た仲間がいるんだけど、そのうちの一人が色々悩んでるみたいでね。苗字ちゃんが話を聞いてあげるだけで未来が変わるから、お願いしたいんだ」
「私なんかでいいんですか?もっと適任者が別にいそうな気がするのですが…」
「苗字ちゃんじゃないと意味がないんだよね」
「それなら分かりました」
「大丈夫。苗字ちゃんは、ただ話を聞いて、思ったことを伝えるだけでいい。おれのサイドエフェクトがそう言ってる」
「迅さんがそう言うなら大丈夫ですね。その相手の名前とかって教えてもらえますか?」
「それは知らなくても大丈夫かな。苗字ちゃんの思ったように過ごしていれば、いずれ会えるから」
「なるほど」
「じゃよろしくね!」

そう言うと、迅さんは歩いて行ってしまった。
やることは分かったけど、肝心の誰かなのは教えてもらえなかった。
けど、とりあえず自分の思うように過ごしていればいいのかな?
やっぱり迅さんは不思議な人だ。


影浦隊の作戦室に入ると、雅人くんはおらず、ゾエくんとヒカリちゃんがいた。

「あれ?雅人くんは?」
「ランク戦しに行ってるよ!この前入ったC級の子で、すごい強い子がいるんだって。最近毎日その子と荒船くんとランク戦してるよー」
「そうなんだ。確かに、最近の雅人くんはご機嫌よね」

新しく入った人の中に、雅人くんと仲良くしてくれる人がいたみたいで安心した。

「アタシも一人気になるやつがいたんだよなー」
こたつでゴロゴロしているヒカリちゃんがそう言った。

「そうなの?」
「このチーム、スナイパーいねーだろ?だから一人くらいいてもいいかなーって思ってんだけど、すげー優秀なスナイパーがいるみたいなんだよな!」
「そうなんだ。どんな子?」
「アタシも詳しくは知らねーけど、まだ中学生だって言ってたな」
「そうなんだ。それなのにすごいね」
「カゲに聞いてOKだったらチームに勧誘してもいいか?」
「私はいいよ」
「ゾエさんもOKだよー」
「よっしゃ!そんじゃ後はカゲに交渉だな!」

新しい人がどんどん入ってきて、私よりもすごい人がどんどん増えている。
私も自分にできることを頑張ろう。

まずは、迅さんに頼まれたことを頑張ろう。



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