「火起こしは穂刈くんと荒船くん担当かしらね?」
「任せろ、オレの筋肉に」
「筋肉関係あるか?」
「ないわね」
手分けしてBBQの準備を始めた。
「女主人公…自分包丁持って大丈夫なん?」
「水上くん、わたしのことバカにしてる??包丁くらい持てるよ?」
「危なっかしい…見てられへんわ。貸してや」
女主人公の持っていた包丁を受け取ると、代わりに野菜や肉を切る水上。
「み、水上くん上手だね…」
「まあたまに自炊しとるからな」
「な、なんだか女子力で負けた気分…」
「女主人公ちゃんはお菓子作りなら得意じゃん〜」
「そうだけど…」
「分担やな。お互い、得意な方がやればええやろ」
自分よりも、明らかに手慣れた様子で包丁を扱う水上を見て、女主人公は少しだけ落ち込んだ。
BBQの準備が終わり、みんなで食べていると「酒も開けるか」と言いながら太刀川がビールを持ってきた。
「あんまり飲みすぎないでくださいよ」
「大丈夫だって!俺は酒強いから心配するな!」
「本当ですか?」
「まあ…たしかに太刀川はあんまり酔ったりしないかもな」
「そうだね。酔っ払って大変なのは、加古さんかな…?」
「そんなに酔うかしら?」
「そこそこかな?」
「でも、今日はここにお泊りだから、気にしなくていいわよね」
「加古ちゃん目が怖いよ」
外でのBBQがひと段落し、別荘の庭から中に移動する。
そのタイミングで、水上は一度席を外した。
「女主人公」
「水上くん!」
水上は女主人公のことを電話で呼び出し、別荘から出て近くを散歩していた。
「楽しかったね!」
「せやな。女主人公が楽しそうで良かったわ」
「水上くんも楽しかった?」
「当たり前やん。女主人公と一緒ならどこでも楽しいで」
「それならよかった!」
水上の言葉に女主人公は笑顔になる。
「こんな風に、みんなで集まれることってなかなかないもんね」
「任務やらなんやらで、なかなかないやろな」
「ね!だからみんなで遊べて良かった〜!」
水上は、女主人公の手を握ると「みんなもええけど、今度は2人でどこか行こうや」と言った。
「お泊り?」
「そ、それは…まだ早いんやない?」
「えー!ダメかなー?」
「俺はええけど…女主人公のご両親が心配するやろ」
「すみくんもうるさそうだね」
そう言うと女主人公は肩を落とした。
「じゃあ、水上くんとの旅行は当分お預けだねー」
「行くんならちゃんと挨拶してからやないと。何かあっても、ちゃんと責任とれる歳になるまでもう少し待っとってや」
「え?」
水上は、握っていた手に少しだけ力を入れた。
「俺は…この先もずっと一緒におるつもりやけど?」
「わ…わたし料理下手だよ…?」
「関係ないやろ。さっきも言ったけど、得意な方がやればええねん」
「水上くん…」
「ずっと愛しとる」
その言葉を聞いて、女主人公は水上に抱きつく。
「わ、わたしも!水上くんのことずっとずっと大好きだよ!いつか、わたしを水上くんのお嫁さんにしてね!」
「したるからもう少し待っとってな」
「うん!」
女主人公の返事を聞いて水上はフッと微笑むと、顔を近づけて女主人公に口づけをした。
2人が別荘に戻ってくると、太刀川と加古がバタバタと音を立てながら出迎えた。
「おーう!おまえら、どこ行ってたんだよ!」
「水上くん、こんなところで狼になっちゃダメよ」
「なってませんよ、って酒くさ!!」
お酒の匂いを感じ取った水上は、嫌な予感がした。
「めっちゃ飲んでます?」
「あら、そんなに飲んでないわよ」
「加古さんたち、お酒飲まれてるんですね!」
リビングに入ると、そこにはお酒の空き缶や、ワインの空き瓶などが散乱していた。
「めっちゃ飲んでるやん…」
「おー、水上!おまえらどこ行ってたんだよ」
「散歩やけど…荒船、おまえ飲んどらんよな?」
「はあ?飲んでるわけねえだろ。未成年だぞ」
「断れる荒船くんで良かった」
女主人公はソファーの下で寝ている二宮を見つけると「あ、あれって…二宮さん大丈夫なのかな?」と心配そうに聞いた。
「二宮さんって、お酒弱いんやな。意外や」
「二宮さんめっちゃ下戸だよ〜!いつも焼肉行ってもジンジャーエールしか飲まないからね」
「そうなんだ。二宮さんって、勝手にお酒強いイメージがあったけど飲めないんだね」
犬飼は「そんなことより」と良いながら水上に詰め寄った。
「ちょっと水上くん!女主人公のこと連れてどこに行ってたの!?」
「ちょっと外散歩しとっただけやん」
「そうだよー!」
「何もされなかった!?」
「え、っと…」
犬飼にそう聞かれ、女主人公は少しだけ顔を赤くした。
「ちょ!!水上くん!何したの!?」
「なんもしとらんわ!」
「そ、そうだよ!すみくんいちいちうるさい!」
「う、うるさいなんて、そんなこと言わないでよー!」
犬飼に抱きつかれそうになった女主人公は上手に避ける。
「な!?女主人公に避けられた!水上くん!女主人公が反抗期だよ!」
「ちゃうやろ」
「もういいでしょ!柚宇ちゃん結花ちゃんー!」
そう言うと、女主人公は国近と今が座っているソファーに逃げた。
「おかえりなさい」
「女主人公ちゃんおかえり〜!水上くんとのデートは楽しかったかい」
「デートって、ちょっと外を散歩してただけだよ」
「それを人はデートと呼ぶんだよ」
「水上くんって、付き合うとどんな感じなの?」
「詳しく聞きたいー!」
「知りたい?」
みんなの前で話だそうとする女主人公を水上は慌てて止める。
「いや、ここではアカンやろ」
「じゃあ後でこっそり2人には教えるね!」
「それもホンマはやめてほしいけどな」
「えー!いいじゃん、わたしたちの仲じゃん〜」
「どんな仲やねん」
そんなやり取りを聞いていた影浦たちは「いいじゃねーか、ここで話ちまえば」とニヤニヤしながらそう言った。
「人の恋愛話聞いて何が楽しいねん」
「おめーのだから楽しいんだろ」
「女主人公、水上はやさしくしてくれてんのか?」
「やめてー!おれも聞きたくないんだけど!」
「クソ犬黙らせろ!」
穂刈は立ち上がると、犬飼の横に立ち「まあまあ、気になるだろおまえも」と言う。
「いや、全然!」
「オレは興味あるな」
「鋼くんまで…面白がってるやろ…」
国近は、隣に座る女主人公にもう一度質問した。
「それで、どうなのかね?水上くんとのお付き合いは?」
「えー、っとね、ふふふ、とっても幸せだよ!わたしにたくさんのことを教えてくれて、いっぱい愛をくれる水上くんが大好き!」
幸せそうな笑顔で答える女主人公に、逆に周りの人間が恥ずかしくなる。
「ラブラブじゃねえか」
「…うっさいわ、ええことやろ」
「ダメとは言ってねえだろ」
「女主人公ちゃんそこまで言い切るなんて、そうとうね水上くん」
「大好きじゃんね〜お互い」
「もう勘弁してや…」
幸せそうな女主人公とは違い、恥ずかしさで死にそうな顔をしている水上。
「2人を見てると恋したくなるわね」
「本当だね〜結婚式には呼んでよ!スピーチしてあげるから」
「気が早いな。余興は俺たちに任せろ!」
「おめーもだろ」
「いいな!何するか考えるの楽しいな!」
「ノリノリだな、全員」
そんな風に盛り上がっている18歳組の中で、1人だけ何も言わずにいた犬飼が机を叩いて立ち上がった。
「結婚なんて、まだはやーーーい!!」
「すみくんがお父さんみたいなセリフ言わないでよ!」
「女主人公のお父さんよりもこいつが一番手強そうやな」
その様子を来馬と堤は、お酒を片手に笑顔で見守っていた。