『荒船は本職のアタッカーじゃありませんが、ここで空閑を止めたことで、穂刈の援護射撃が利くようになりますよ』
武富は『さあ、B級ランク戦二日目・夜の部!徐々に形勢が傾いてきました!』と現状を伝える。
『玉狛第2、1得点ノーアウト!諏訪隊、1得点1アウト!そして荒船隊、得点なし1アウト!』
点数を見ると、荒船隊有利のはずが逆に追い詰めらる展開になっていた。
『ここで反撃に転じたのは、剣も狙撃もマスタークラス、武道派スナイパー荒船隊長!』
荒船が空閑に斬りかかるが、空閑はそれを避ける。
バッグワームを目隠しに使いながら攻撃をする荒船に「わーお!荒船くんかっこいい〜」と、犬飼が茶々を入れる。
「それっぽいことしとるけど、脚隠すためやろ?」
「ああいうことができるとできないとで、変わるよね〜」
「バレたら狙われてめんどいからな」
「だね」
穂刈の援護射撃により、荒船の弧月を受けた空閑のスコーピオンにヒビが入る。
『スコーピオンと弧月では耐久力に差があります!打ち合えば、荒船隊長が有利!』
その間、諏訪と笹森はバッグワームを着てレーダーから消える。
笹森は穂刈に追いつくと『穂刈先輩をマークしました!』と言ってバッグワームを解除する。
『諏訪隊も二手に分かれてそれぞれ得点を狙う!戦況が混沌としてきた!』
『各隊、ここが勝負所ですね。荒船隊は二人ともマークされていて、諏訪隊も犬飼隊員を含めて三人ともバラけた。これは、玉狛が当初から狙っていた状況にかなり近いはず』
東は『最大のチャンスをものにできるか。逆にそれを跳ね返せるか、あるいは自分たちのチャンスに変えられるか。荒船と空閑のエース対決を中心にして、おそらくここで決まります』と宣言した。
三雲が荒船隊の二人を狙えるいい距離に陣取っていることで、荒船と穂刈は動きづらそうにしていた。
『バッグワームを敢えて使わずレーダーに映っているので、荒船隊は三雲の攻撃にも意識をさかざるをえない。ただそこにいるだけで、荒船と穂刈を心理的に挟み撃ちしている』
「やるね〜メガネくん」
「戦ったらめんどくさそうなやつやな」
穂刈を追っている笹森に、穂刈が逃げながら話しかける。
「…おい、笹森。いいのか?諏訪さんについてなくて。…それとも外されたか?戦力的に。おまえじゃ勝てねーもんな、荒船には」
笹森は「そうすね。でも、今は穂刈先輩をおさえるのがオレの役目なんで」と落ち着いて答える。
「…こりゃ死んだな、オレ」
そう言うと、穂刈は立ち止まり、笹森の方ではなく空閑に向かってイーグレットを構える。
「…!?」
そして、空閑の腕を狙撃すると、笹森の弧月による攻撃を受けてベイルアウトした。
『穂刈隊員捨て身の狙撃!?』
『まだだよ』
空閑はバランスを崩しながらも足下にグラスホッパーを起動させる。
グラスホッパーを使って上に逃げると予測した荒船は「逃がすか!!」と言いながら距離を詰めようとする。
しかし、空閑はグラスホッパーではなく壁を蹴って前に跳び出した。
「!!」
『上手い!』
荒船の両脚をスコーピオンで斬り落とした。
「…!!」
『警告、トリオン漏出甚大』
そんな空閑を、屋根の上から諏訪が狙う。
「!!」
「片足だとバランス狂うな、くそ!」
笹森はカメレオンを起動させて空閑の後方から近づいていく。
そして、後ろから空閑を羽交い絞めにすると、空閑の動きを物理的に止めた。
空閑は背中からスコーピオンを出して笹森を刺す。
「ぐっ!!」
カメレオンが解除され、笹森の姿が現れた。
「諏訪さん!!止めました!!」
「よくやった日佐人!吹っ飛ばす!!」
諏訪が空閑に向かってダブルショットガンを構えると、そのタイミングで雨取の砲撃があたり一面の建物を吹っ飛ばした。
空閑がスコーピオンで笹森にとどめを刺すと、笹森がベイルアウトした。
「や、やっと見つけた雨取さん!」
女主人公は雨取に近づいてハンドガンで狙う。
しかし、女主人公よりも先に荒船がイーグレットで狙撃をして、雨取がベイルアウトする。
『笹森隊員と…雨取隊員がベイルアウト!狙撃の隙は逃さない!犬飼隊員が狙っていた雨取隊員を、荒船隊が奪って1点もぎ取った!』
「…悪いなおチビちゃん」
その様子を見ていた犬飼は「あー!!荒船くんが女主人公の見せ場奪った!!」と騒いだ。
「しゃあないやん。早いもん勝ちや。今回は、女主人公が見失ったんが悪い」
「そうだけどさー!」
犬飼はブツブツと文句を言いながら、最終局面を見つめる。
諏訪はショットガンでなんとか空閑を捉えようとするが、空閑は囮で、三雲が屋根の上から狙っていた。
『諏訪さ…!』
空閑に気を取られていた諏訪に、三雲のアステロイドが命中し諏訪がベイルアウトした。
そして、トリオン漏出により戦闘体が活動限界を迎えた荒船もベイルアウトする。
『諏訪隊長、荒船隊長がベイルアウト!残りは諏訪隊の犬飼隊員と空閑隊員、三雲隊員だけだが…!』
女主人公は諏訪に通信を入れる。
「す、諏訪さん!わたし点獲れるタイプのガンナーじゃないんで、ベイルアウトしていいですか!?」
『その方が被害は少ないわな』
『女主人公だけじゃあ、さすがに無理だね』
『仕方ないな』
「これも作戦です!ベイルアウト!!」
武富は『おーっと、犬飼隊員が自発的にベイルアウト!ここで決着!最終スコア6対2対1!玉狛第2の勝利です!』と伝えた。
諏訪隊の作戦室に戻って来た女主人公は、ベイルアウトマットから起き上がり、恐る恐る隣の部屋に戻る。
「すわさん、女主人公、0点!つつみんとひさとは1点ずつ獲ったのに!」
「うるせー!俺が一番へこんでんだよ!」
「わ、わたしもへこんでますー。まさか、0点で終わる日がくるなんて…」
女主人公は頭を抱えていた。
「まあまあ、東さんたちの話を聞いて、次に活かそう」
「はあい…」
武富は『…さて、振り返ってみてこの試合いかがだったでしょうか?』と解説の二人に聞く。
『そうですね。終始、玉狛が作戦勝ちしていたという印象ですね』
そう言うと、東は『相手の得意な陣形を崩す。エースの空閑をうまく当てる。この二つを徹底して実行できていたことが、6点という結果につながったと思います』とわかりやすく解説する。
『ターゲットにされた荒船隊には苦しい展開でしたが、それだけ玉狛が荒船隊を警戒していたということでしょう。最後は弧月を捨てて1点獲ったのはいい判断でした』
東はそう言って荒船隊のことも褒める。
『諏訪隊は堤が落とされたのが痛かったですね。本来、諏訪と組んでの集中砲火が強みなんですが、今回は荒船隊全員をマークするためバラけざるをえなかった。これも玉狛の計算のうちだったと思います』
東の解説を聞きながら「わたしは結局何もできなかったなー」と反省した。
『犬飼隊員は、雨取隊員を捕捉する役目だったようですが、追いつく前にバッグワームで身を隠した雨取隊員を見失い、見つけることに集中しすぎましたね。堤が落とされた以上、犬飼隊員が合流して火力戦に戻すのがベストだったかと思います』
東にそう言われ「や、やっぱりそうですよね」と言う。
「そこは俺の作戦ミスだな。見失ったって言われてすぐ戻せばよかったな」
「諏訪さーん、ごめんなさい」
「まあ、反省は次に活かす!それだけだな!」
「はい!」
「今回は日佐人が良い動きをしてたんじゃないですか?」
堤がそう言うと「だな!日佐人の成長を感じた一戦だったな!」と諏訪も賛同する。
「ほ、本当ですか!」
「オウ!」
「日佐人くん、すごかったよ!」
「ありがとうございます!まだまだ頑張ります!」
「つつみんとひさとは満点!すわさんと女主人公は、もっと頑張りましょう」
「はーい!」
会場では『さて、本日の試合がすべて終了!暫定順位が更新されます!』と、現時点での暫定順位が出る。
『玉狛第2が8位に上昇!早くもB級中位のトップに立った!諏訪隊は10位、荒船隊は11位にダウン!』
「わー、10位に落ちちゃった…」
「まだまだ、これからだろ!」
ランク戦はまだ始まったばかり。
『次回の対戦の組み合わせも出ました!注目の玉狛第2の次の相手は…暫定13位那須隊と、暫定9位鈴鳴第一です!』
組み合わせを聞いて「お!玲ちゃんたちのところと鋼くんたちのところだ!」と喜んだ。
「玲ちゃんと鋼くんならきっと勝ってくれるよね!」
「おまえな、三雲に憧れてたんじゃねーのかよ」
「それはそれ、これはこれです!」
笹森は「オレたちは、また荒船隊と、あとは柿崎隊と漆間隊ですね」と、組み合わせを確認する。
「次こそは勝つぞ!」
「はい!」