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「女主人公さーん、もうすぐ京介が玉狛に行っちゃうんですよー」
「もうすぐなんだね」
「京介だからよかったのに、代わりに入るのがただのお荷物くんなんですよ」
「お荷物くん?」
「スポンサーの息子らしいす」
「あー、なるほど」

ここは太刀川隊の作戦室。
影浦隊の私が、なぜ太刀川隊の作戦室にいるかというと、出水くんに合成弾を習っているからだ。
出水くんが作り出した合成弾を教えてほしい、と頼んだことがきっかけで、ついでに色々と見てもらっている。
「これで女主人公さんの師匠はおれで決まりですね!」
と嬉しそうに言っていた。
私の師匠は出水くんに決まったみたいだ。

「女主人公ちゃん〜。わたしと一緒にゲームしよ」
「柚宇さんはさみしくないんですか!」
「さみしいけど、変わることのない事実なんだから仕方ない〜」
「それはそうなんですけど!」

あらら、出水くんがご乱心だ。

「すぐに会える距離ですし、出水先輩が呼んでくれたら飛んできますよ」
「本当か」
「まぁ嘘ですけど」
「嘘かよ!」

今日も仲が良い太刀川隊だ。
そう思っていたら、作戦室の扉が開いた。

「なんだなんだ、出水のやつは何を騒いでるんだ」
「太刀川さーん!京介のやつが!」
「太刀川さん、お邪魔してます」
「よお、苗字。今日も頑張ってるな」
「はい。出水くんから教えてもらうようになって、だいぶ腕が上がりました」
「ウチの出水は天才だからな!」

そう言うと、太刀川さんは訓練室に向かった。

「よし、苗字。少し見てやるから訓練室に入れ」
「わかりました」
「女主人公さん。次は俺とやりましょう」
「うん」







相変わらず、太刀川さんは強くて、傷を一つつけるだけでも大変だった。
だけどやっぱり強い人と戦うのは勉強になる。

「女主人公さんお疲れ様ー!」
訓練室から出ると、出水くんが元気よく出迎えてくれた。

「結構動き良くなってましたよ!」
「ありがとう。師匠にそう言ってもらえると嬉しいな」
「いや〜それほどでも」
「出水先輩。バカっぽいからその顔やめたほうがいいすよ」
「ハッキリ言うな京介!」

出水くんと烏丸くんの、このやり取りがあんまり見れなくなってしまうのは、なかなかさみしいな。

「おれ、これから槍バカとソロランク戦するんですけど、女主人公さんも来ますか?」
「槍バカって米屋くんだっけ」
「です。京介も来るだろ?」
「いいすよ」
「多分雅人くんたちもいるだろうから行こうかな」
「相変わらず仲が良いですよね!」
「本当にね」
「お、なら俺も行くか」
「柚宇さんはどうする?」
「わたしはゲームしてるから大丈夫」

私、太刀川さん、出水くん、烏丸くんの4人は作戦室を出てC級ブースに向かった。

「よーっす弾バカ!」
「うるせーよ槍バカ」

そこには出水くんと待ち合わせをしていた米屋くんがいた。

「太刀川隊勢ぞろいじゃん」
「さっきまでうちの訓練室で訓練してたんだよ」
「なるほどな。太刀川さん、苗字さん、こんにちは。京介、ちーす」
「よぉ米屋」
「こんにちは米屋くん」
「米屋先輩、ども」

さてさて、雅人くんたちはどこにいるのかな。
と、周りを見渡していると、見覚えのある隊服を着た女の子がこちらを見ていた。

「あの子って…」
「ん?あぁ木虎」

烏丸くんに木虎、と呼ばれた女の子は顔を赤くしながらこちらにやってきた。

「烏丸先輩、こんにちは!」
「あぁ。女主人公さん、木虎です。最近嵐山隊に入った」
「こんにちは。苗字女主人公です」
「木虎藍です。よろしくお願いします」

木虎さんはとても可愛い女の子で、さすが嵐山隊と感心した。
広報部隊なのに女の子がいないのはもったいないと思っていたので、木虎さんが入ってちょっと嬉しい。

「烏丸先輩!よければ稽古をつけてください!」
「お前もう十分強いだろ」
「いえ、私なんてまだまだです!」
「わかった。そしたら10本やるか」
「はい!よろしくお願いします!」
「それじゃぁ女主人公さん、俺たちはブース入りますね」
「うん」
「それでは」

烏丸くんと木虎さんがブースに入り、出水くんと米屋くんも、いつのまにかブースに入っていた。


「なぁ苗字。影浦や荒船はいないのか?」
「多分どこかでやってると思うんですけど」

と言いかけたところで、雅人くん、荒船くん、鋼くんの三人を発見した。

「あそこにいました」
「お!」

太刀川さんに気付いた雅人くんと荒船くんは、あからさまに嫌そうな顔をした。

「お前らー顔に出てるぞ!」
「太刀川さんとやると長いからつい」
「いいからやるぞ!どっちでもいいから相手してくれ!」

鋼くんがこそっと私に話しかけてきた。

「そんなにすごい人なのか?」
「うん。ボーダーのNo.1アタッカーだよ」
「そうなのか」
「見かけない顔だな?新入りか?」
「はい。村上鋼です」
「まだC級か。Bに上がったらお前も俺と勝負しような」
「ぜひ!」

雅人くんと荒船くんがじゃんけんをして、どちらが太刀川さんと勝負をするか決めていた。

「よっしゃ!勝った!」
「カゲふざけんな!」
「行ってこい生贄!」
「よし荒船だな。ブースに入れ!」
「俺のポイントー!もうすぐマスターになれたのに!」
「残念だったな!」

荒船くんは太刀川さんに引きずられていった。
ご愁傷様です。

「今日はどうだったんだ?」
「うん。出水くんに合成弾の合成のポイントとか色々教えてもらえてよかったよ」
「なら良かったな」
「烏丸くんが玉狛支部に移動しちゃうから、さみしがってたよ」
「そうなのか」

三人でお喋りをしていると、ようやく荒船くんと太刀川さんの10本勝負が終わった。
荒船くんはポイントをしっかり取られてしまったようで「これでマスターになるまでもうしばらくかかる」と泣いていた。



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