「スコーピオンにすんのか?」
「うん。弧月は重たいし、動きやすいスコーピオンにしようと思う」
「ま、それが正解だわな」
無事にアステロイドが6000ポイントを超えたので、オールラウンダーになるべくアタッカー用のトリガーを解禁しようと思う。
マスタークラスまで目指そうかなと思ったりもしたけれど、マスターになるには8000ポイントが必要で、そこまでいくには後一年はかかりそうなのであきらめた。
ゆくゆくはマスタークラスにもなりたいと思っているけれど、今はチームのことを考えて、できることを増やしたい。
「とりあえず、一回訓練室でスコーピオン使いたいから付き合って」
「いいぜ」
訓練室に入ると、スコーピオンを出した。
「こいつは軽いし、どこからでも出せるから色々使えて便利だ」
「雅人くんみたいにつなげたりもできるしね」
「俺のクソ能力のおかげだけどな」
私には雅人くんみたいな身体能力はないけれど、サイドエフェクトがあるから接近戦もそこそこいける気がする。
「一回やるか」
「うん。お願いします」
何回か見てもらい、なんとなくだけどスコーピオンの使い方が分かってきた。
「女主人公は軽いから、その身軽さを活かしながら使えば武器になんじゃねーか」
「なるほど」
「弾も一緒に使えば、シールド壊してスコーピオンで刺せんだろ」
簡単に言ってくれる。
「わかった!やってみる」
雅人くんにもらったアドバイス通り、まずはアステロイドやハウンドで相手の防御を崩してから、グラスホッパーで相手の懐まで一気に入ってスコーピオンで仕留める、というやり方だと戦いやすかった。
この感じなら、スコーピオンで6000ポイントは取れそうだなと思った。
「いいじゃねーか。スコーピオン向いてんじゃねーの」
「本当?」
よしよし。
この感じを忘れないうちに誰かとソロランク戦がしたいな。
「苗字ちゃん」
「水上くん」
C級のブースに来てみたら、水上くんがいた。
「あれ、隊服になってる」
「せや。あの後シュータートリガーにしてから、一気にポイント取れたわ」
「そうなんだ!おめでとう」
「苗字ちゃんのおかげや」
「隠岐、あの子めっちゃ可愛いな」
「ほんまですね」
「あんな可愛い子と普通に話してる水上なんなん?」
「なんなんでしょうね」
水上くんと話していると、水上くんと同じ隊服を着たゴーグルをつけたオールバックの人と、サンバイザーで泣きぼくろの人がこちらを見ていた。
「うちの隊の」
「前に水上くんが話してた、スカウト組の」
「イコさん、隠岐ー」
水上くんが二人を呼ぶと、こちらにやってきた。
「こんにちは。苗字女主人公です」
「隠岐孝二です」
「なぁ、俺、喋ってええ?こんな可愛い子と喋っても罪にならへん?」
「なりませんて」
「ほんまか」
「うちの隊長、可愛い子に弱いねん」
「そうなんだ」
「イコさんは誰にでも可愛い可愛い言いますやん」
「そんなことないで。可愛い子にしか言わん」
「女の子はみんな可愛いってことですね。わかります」
「苗字ちゃんわかってるやん」
うん、面白いメンバーだ。
「それで、隊長さんのお名前は?」
「言うてへんかったっけ?」
「言ってませんね」
「イコさんや」
「イコさん」
「みーんなイコさんって呼ぶから苗字ちゃんも安心してイコさんって呼んでや」
「はい」
イコさんはだいぶ顔とキャラが濃い。
今まで周りにいなかったタイプで、面白い。
「隠岐くんは、同い年?」
「多分年下ですね。苗字さんは水上先輩と同い年ですよね」
「うん。じゃぁ年下か」
「一個やから、そんな変わらんよ」
「確かに」
イコさん隊は、多分イコさんがアタッカーで隠岐くんがスナイパーだろうな。
「苗字ちゃんは何してるん?」
「誰かとソロランク戦がしたくて」
「ほんなら俺とやる?」
「いいの?」
「ええで。今日はこの後作戦室でダラダラする予定やっただけやし」
「それならありがたい。10本やろ」
「ほなイコさん、行ってきます」
「おう」
私と水上くんがブースに向かっている後ろで、イコさんと隠岐くんが
「なぁ水上って苗字ちゃんのことが好きなんやろか?」
「どうですかね」
「めっちゃスマートやったやんな」
なんて会話をしていたらしい。
[個人ランク戦10本勝負、始め]
「苗字ちゃんがソロランク戦したいって、めずらしない?」
「そうかな。意外と頑張ってるよ」
水上くんがトリオンキューブを出した。
「アステロイド!」
といいながら出した弾はハウンドだった。
「シールド!」
「あらら、防がれてもうた」
「こっちも反撃!アステロイド!」
お返しにアステロイドを撃ち込んだ。
ガードに徹している水上くんのカードを崩すべく、メテオラを出す。
「メテオラ!」
「めっちゃやる気やん」
「そりゃあもちろん」
何回もメテオラを撃ち込んでいたらシールドが割れた。
後ろ手にグラスホッパーを出して、一気に水上くんの懐に飛び込んだ。
「な!」
スコーピオンを出すと水上くんは驚きながらもシールドを張ろうとした。
けれど、今回は私の方が一歩早かった。
[トリオン供給器官破損。ベイルアウト]
『スコーピオンかい』
「ふふふ、驚いた?」
『まさかすぎたわ。なんや、アタッカーに転向か?』
「ううん。オールラウンダー目指してるから、次はスコーピオン6,000ポイント目指すの」
『そういうことかい』
スコーピオンを使うこともバレてしまったので、次の勝負からはなかなかの接戦だったけれど、思っていた以上にスコーピオンが扱いやすく、結果は7対3で私の勝ち。
初めてのスコーピオンが上手くいって良かった。
「おつかれさん」
「お疲れ様」
「スコーピオンええ感じやん。俺が弱かっただけやったりする?」
「水上くんは普通に強いよー。スコーピオンもすぐに対応してきたじゃん」
「簡単にはやられん」
水上くんも意外と負けず嫌いだな。いいことだ。
「えぇ調子やな。影浦隊も、A級6位やろ?」
「うん。チームメンバーのおかげだけどね」
「えぇやん。うちもがんばらなあかんな」
「イコさんも強そうだし、隠岐くんも一癖ありそうな感じで、侮れないよね。イコさん隊」
「イコさん隊て。生駒隊やな」
「イコさんって生駒っていうんだね」
「おん。えぇ人やで。あの人がいれば、うちも絶対強うなれる」
「いいね。信頼関係できてるね」
「苗字ちゃんとカゲほどやないけどな」
「あら、うちの雅人くんをご存知?」
「クラスはちゃうけどな、たまに見かけんで」
「根はいい子だから、仲良くしてあげてね」
「オカンみたいやな」
それじゃぁ、と水上くんと分かれて今日の結果を雅人くんに報告した。
オールラウンダーになるまで、先は長いけどこの調子で頑張ろう。