今日は、期末テストの試験勉強で学校の図書室にいる。
自習の時間なので、教室でもよかったのだけど、やっぱり図書室の方が集中できる。
荒船くんと一緒に図書室に向かうと、途中で犬飼くんとも会った。
「二人とも図書室?」
「うん」
「じゃぁおれも行っていい?英語で分からないところがあってさー」
「もちろん。でも英語なら荒船くんの方が得意かな」
「映画で鍛えられてるからな」
「心強い!」
そうして私たち三人が勉強をしていると、外の一部が暗くなった。
「え?」
見覚えのある黒いゲートが空に現れた。
[緊急警報、緊急警報、ゲートが市街地に発生します。市民の皆様は直ちに避難してください]
「な!なんでここにゲートが」
[繰り返します。市民の皆様は直ちに避難してください]
「生徒のみんな!!シェルターに避難してください!」
図書室の先生が大きな声でそう言った。
「緊急事態だ。女主人公」
「うん」
「犬飼」
「オッケー」
「行くぞ」
「「「トリガーオン!」」」
ゲートから出てきたのは、モールモッド。
戦闘用のトリオン兵なので、それなりの強さがある。
ただ、私たちはモールモッドとは何度も戦っているので苦戦をすることはほとんどない。
「女主人公!お前は右側のモールモッドだ」
「苗字、了解」
ここは市街地なので、あまり被害を大きくしたくない。
アステロイドは使わず、スコーピオンで対応することにした。
「こっちに来るぞ!」
「逃げろ!」
逃げ遅れた人たちに向かって走っていくモールモッドを追って、一気に加速する。
「あなたの相手はこっちよ」
弱点の目を攻撃して一気に倒す。
「大丈夫?」
「あぁ…ありがとう」
「苗字さん、ありがとう」
「ここは危険だから、早く避難してね」
そう言うと、私はもう一体のモールモッドに向かっていく。
左側を見ると、荒船くんが弧月でモールモッドを倒していた。
犬飼くんは、なるべく市街地に被害が出ないように上手にアステロイドを撃ち込んでいる。
「お待たせしました」
「辻ちゃん!」
「おいおめェーらァ!大丈夫か!」
「弓場さん」
そこに弓場さんと辻くんが合流した。
「遅くなったな」
「大丈夫?」
蔵内くんと神田くんも到着した。
これで学校にいるボーダー隊員はほとんど集合した。
「あと3体だから、これだけ人数いれば余裕だね」
「だな」
「最後まで油断すんじゃねーぞコラァ!」
「顔が怖いよ弓場さん!」
残ったモールモッドを弓場さんと辻くんが倒してくれて、ほとんど被害が出ずに終わった。
「よかった」
「皆さん、お疲れ様です」
「綾辻さん」
そこに、嵐山隊のオペレーター、綾辻さんがやってきた。
「ありがとうございました。本部には私たちが連絡を入れておきました」
校舎の方を見ると、宇佐美さん、氷見さん、三上さん、そしてスナイパーの奈良坂くんがいた。
「今、嵐山隊と本部の人間がこちらに向かっているそうです。モールモッドの回収はそちらに任せる形になりますので、安心してください」
「綾辻さん、ありがとう」
さすが嵐山隊のオペレーター、仕事が早い。
「助かったよ、みんな」
「さすがボーダー隊員!ありがとう!」
避難をしていた生徒たちが、一斉に集まってきた。
「実際に戦うところを見たのは初めてだったけど、みんなかっこよかった!」
「服装が同じ人もいれば、違う人もいるんだね」
「所属しているチームが違うから、隊服が違うんだよね」
私は影浦隊なのでミリタリージャケットにカーゴパンツにブーツだけど、それぞれみんな隊服がある。
荒船くんはシンプルなジャージに近い形だけど、犬飼くんと辻くんはスーツだし、弓場さんと神田くんは白のライダース。
蔵内くんは、軍服のようなデザインでかっこいい。
みんなそれぞれ個性が出てる。
「苗字さんの服もかっこいいね!」
「ありがとう。私も気に入っているの」
その後、嵐山隊と本部の人たちが来て、破壊したモールモッドの回収と被害状況を確認していた。
「みんなが迅速に動いてくれたおかげで助かった!」
「嵐山さんもお疲れ様です」
今日はそのまま下校となり、私たちはボーダー本部に向かうことにした。
「なんか最近、イレギュラーなゲートが結構開いてるよね」
「ボーダーの誘導装置が効いてないのか?」
「どうなんだろうね。でも怖いよね」
こんな市街地にゲートが開くなんて、何かあるのかなと不安になる。
「原因が分かればいいんだけどね」
「その辺は鬼怒田さんがなんとか頑張ってんだろ」
それもそうか。
とりあえず、私たちにできることはなさそうなので、ボーダーに着いたら勉強の続きをしよう。
「どうする?ラウンジで勉強する?」
「そうだな」
今日はまだ授業中ということもあって、ラウンジはガラガラ。
近くの席に座って準備をしていると、忍田さんがやってきた。
「今日は助かった」
「忍田さん。お疲れ様です」
「お前たちのおかげで被害もほとんどなく片付いた。感謝する」
「ボーダー隊員として、当然のことをしたまでですよー!」
「頼もしいな。今後も、この調子で頼む」
「はい」
忍田さんは、相変わらず渋くてかっこいい。
「忍田さん、かっこいいね」
「苗字ちゃんって忍田さんみたいな人がタイプなの?」
「そうね」
「そうなんだ!烏丸くんと付き合ってるって噂があったから、てっきりああいう系がタイプなのかと思ってた」
「それ、デマだから」
犬飼くんも知ってたのね。
「やっぱり?烏丸くんだと、カゲと全然似てないしとは思ってたんだよね」
「なんで犬飼くんは知ってるの」
「この前香取ちゃんがラウンジで発狂してるのを聞いちゃった」
「香取さん…」
あの烏丸くんのファンの子か。
「香取さんには本当に申し訳ないわ」
「今度見かけたら嘘だって言っておくね」
「うん」
こんな話をしていたら、あっという間にいつもボーダーに来ている時間になった。
あまり勉強が進まなかったなー、なんて笑っている犬飼くんを横目に、私と荒船くんは勉強を進めた。
「おめーらまた勉強か」
「またって、学生の本分は勉強でしょ」
雅人くんやゾエくんたち普通校組もボーダーに着いたようだ。
「おつかれさん。今日は大変やったみたいやな」
「おう。いきなり学校にイレギュラーゲートだからな」
「ねー!連絡が来て、ゾエさんびっくりしたよ。みんな無事でよかったよー!」
「こいつらが揃っててやれられるわけねーだろ」
雅人くんたちは隣の空いているテーブルに座った。
「六頴館にもボーダー隊員は結構いるからな」
「面白そうだな、三門第一と六頴館でランク戦をしたら」
「穂刈、おめー面白いこと言うじゃねーか」
穂刈くんの一言で、話題は一気に仮想ランク戦の話になった。
「荒船、女主人公、犬飼、蔵内、神田か。ただ3年にはオペがいないな」
鋼くんもノリノリである。
「オペはひゃみちゃんに頼んでみようか?」
「2年にならオペの子も結構いるもんね」
「こっちは、オレ、カゲ、穂刈、水上、ゾエ、当真、王子、あと鳩原か」
「これはそっちの方が有利じゃない?」
「んなことねーだろ」
「それぞれ2チーム作って、4つ巴にするか」
「じゃぁこっちは弓場さんか、辻を入れさせろ」
「普通校の方が、ポジションのバランスも良くない?こっちが不利すぎない?」
六頴館にはスナイパーが誰もいない。
「どっちにしても、カゲに狙撃はきかないからな」
「奈良坂くんも巻き込もうか!」
あまりにもみんながノリノリで、本当に実現しそうだから怖い。