そんな中、ラウンジには香取隊が揃ってご飯を食べていた。
「香取、香取ー!」
そこに宇井真登華がやってきた。
「何よ、騒々しいわね」
「ちょっと聞いた!香取!烏丸くんのこと!」
「烏丸くん!?」
香取は席を立つと、宇井に詰め寄った。
「何!?烏丸くんに何があったの!」
「実は」
宇井は香取の耳元で「烏丸くんに彼女がいる疑惑が出てるよ」と言った。
「…はぁ!??!!」
「葉子、うるさい」
「どどどどどど、どういうこと!?」
「ヨーコちゃんどうしたの?」
「うるせーぞヨーコ。周りの迷惑を考えろ」
「のんびりしてる場合じゃないわ!真相を確かめる!」
「おぉ香取のやる気すごい」
「宇井、華!一緒についてきて」
「めんどくさいから、葉子一人で行って」
「華さん…」
「じゃぁ麓郎!雄太!一緒に来て!!」
C級ブースに向かった香取たち一行は、まずは情報収集を開始した。
「で、誰からの情報なのよ、それ」
「烏丸くんに彼女がいるって、聞いたことないけどな」
「オレもだ。デマなんじゃないのか?」
「あたしもそう思ったんだけど、烏丸くん本人が言ってたみたいよ?」
「なにそれ!絶対嘘よ!烏丸くんのいつもの冗談でしょ!」
「まぁまぁヨーコちゃん。落ち着いて」
三浦は周りを見渡した。
「とりあえず、烏丸くんに近しい人に聞いてみようか」
「そうだな。その方が早そうだ」
香取たちは手分けして知ってそうな人間に話を聞きに行った。
「佐鳥くん」
三浦は佐鳥に話しかけた。
「三浦先輩!どうしたんですか?」
「実はさ、烏丸くんのことで聞きたいことがあって」
「とりまるの?何でしょう?」
「烏丸くんに付き合ってる人がいるって聞いたんだけど、本当?」
「とりまるに!?うーん、とりまるからはそんな話聞いてないですけど」
「そうなんだ」
佐鳥は烏丸と同い年で、比較的仲が良いはず。
その佐鳥が知らないということは、やっぱり烏丸に付き合っている人間はいないのではと思った三浦は少し安心した。
「ありがとう。変なこと聞いてごめんね」
「いえいえ、お役に立てずすみません」
「ううん、ありがとう!」
「時枝くん!」
宇井は時枝に話しかけた。
「宇井さん。どうしたの?」
「実は烏丸くんのことで聞きたいことがあるんだけど」
「なんだろう」
「烏丸くんに付き合ってる人がいるって噂で聞いたんだけど、どうなのかな?」
「あぁ、その話」
「何か知ってるの??」
「うーん、おれも詳しくは知らないけど、そういう話もあるみたいだね」
「そっかー。やっぱり本人に聞くのが一番早いかー」
宇井は時枝にお礼を伝えると、香取たちの待つC級ブースに戻った。
「麓郎、あんた出水先輩に聞いてきなさいよ!」
「聞けるかバカ!あんまり仲良くねーよ!」
宇井がブースに戻ると、香取と若村が言い争いをしていた。
「ただいまー。やっぱり時枝くんも詳細は知らないって」
「もー!なんなのよ!」
「やっぱり本人に聞くのが一番早いんじゃないのか?」
「それができたら苦労しないわよ!」
香取は頭を抱えた。
「もうこうなったら本人に聞いてみようか?」
宇井がそう言うと、「待って!心の準備ができてない!」と香取は騒いだ。
「いい加減にしろよヨーコ。ハッキリさせるしかねーだろ」
「ハッキリさせたいけど、心が邪魔するのよ!」
「若村くんは乙女心が分かってないねー」
「な!」
香取隊+宇井がC級ブースで騒いでいると、そこに出水と米屋がやってきた。
「なんか騒がしいな」
「騒がしいのはあの一角だけだろ」
「あー香取ちゃんたちか」
それに気づいた三浦が「ヨーコちゃん出水くんたちがいるよ!聞いてみようか」と言った。
「雄太頼んだ」
三浦は出水と米屋に駆け寄ると声をかけた。
「出水くん!今大丈夫?」
「三浦か。どうした?」
「あの、烏丸くんのことで聞きたいことがあるんだけど」
「なんだ?京介のこと?」
「うん!あの…烏丸くんって付き合ってる人がいるのかな?」
「はあ???」
「え、京介って彼女いんの?」
三浦が出水にそう聞くと、出水は頭にはてなマークを浮かべた。
「結構噂になっているみたいで。ヨーコちゃんが真相を知りたいって、いろんな人に聞いて回ってるんだ」
「付き合ってる人??そんな話聞いたこと…あっ」
出水は思い出した。
「何か心当たりがある?」
「いやー…これは」
烏丸京介という男は、嘘つきであること。
「何してるんすか」
と、そこにご本人が登場した。
「か、烏丸くん!」
「京介ー…お前の話だよ」
「俺の?」
出水はあきれたような顔をした。
「お前が適当なことばっか言うから、変な噂が広がってるっぽいぞ」
「どんな噂すか?」
「お前に彼女がいるって」
「ぎゃー!!出水先輩、そんなハッキリ聞かないで!」
「あぁ…」
烏丸も心当たりがあるようだ。
「これっすか」
そう言って烏丸が取り出したのは、携帯電話だったのだが、そこに設定されている待受画面が問題だ。
「苗字さんとのツーショットじゃん」
「そうっす。綺麗に撮れてません?」
待受画面は、以前太刀川隊を抜ける前に撮った女主人公と烏丸のツーショット写真だった。
二人とも無表情なのだが、顔面偏差値が高く、無駄にキラキラしていた。
「この人が…烏丸くんの彼女…」
「…ヨーコ、あきらめろ。さすがにお前じゃ勝てねーわ」
「うっさいわね!」
「あれ、でも苗字さんって荒船さんと付き合ってるんじゃ?」
「何よそれ!烏丸くんというものがありながら二股してるの!?」
「いや、よくは知らないけど!」
出水は烏丸に「お前!なんとかしろよ!」と言ったが「どうすればいいんすか」と烏丸は答えた。
「収拾がつかなくなってきたな」
「結局、烏丸くんと付き合ってるのかな?」
「…」
「お前、面白いから黙っておこう、みたいな顔すんな!」
烏丸は香取の前に行くと「香取」と呼んだ。
騒いでいた香取はピタッと黙ると、烏丸の次の言葉を待った。
「悪いな。俺には心に決めた人がいるんだ」
その言葉に香取は固まった。
「嘘だけどな」
固まった香取には、烏丸のその言葉は届いていなかった。
「か…からすまくんに…かのじょ…」
「あ!ヨーコちゃん!」
「ヨーコ!勝手に行くな!」
「出水先輩、米屋先輩、お騒がせしましたー!」
フラフラと去っていく香取を追って、若村、三浦、宇井がC級ブースを後にした。
「…京介、最後の言葉絶対香取ちゃんには届いてなかったぞ」
「まじすか。まぁ他の三人が聞いてたんで、なんとかなるんじゃないすか」
「他力本願か!女主人公さんにも迷惑がかかるんだから、こういう嘘はやめろよ!」
「確かに。でも女主人公さんなら笑って許してくれそうじゃないすか?」
「女主人公さんはいいけど、影浦さんに怒られるぞ」
「オレは面白いからいいけどなー」
「まぁ…そん時はそん時ですね」