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[緊急警報、緊急警報、ゲートが市街地に発生します。市民の皆様は直ちに避難してください]

12月になると、今まで以上にイレギュラーなゲートが市街地に発生する回数が増えた。
今日は、私と雅人くんでお出かけをしていたのに、緊急警報が鳴ったため、換装して急いで現場に向かった。

「こんなところで開くんじゃねーよ」
「本当にね」

休日のショッピングモールなので、それなりに人がいる。
モールの店員さんたちも避難を誘導しているけれど、パニックになっている人が多い。

「落ち着いて避難してください!」
「こちらです!ゆっくり!押さないでください!」


「あそこだな!」

視線の先にはモールモッドが5体。
それからバムスターもいた。

「きゃー!!助けて!」

「死ね!」

雅人くんはバムスターに飛び掛かり、マンティスでバムスターの弱点を一気に攻撃した。
捕まっていた人を抱えて、雅人くんは地上に着地した。

「大丈夫ですか?」
「はい…ありがとうございます」
「ここは危ないので、みなさんと一緒に逃げてください」

近くにいた人に任せると、私はモールモッドと向き合う。

「女主人公!おめーはそっちの2体をやれ」
「苗字、了解」

まずは目の前の1体をアステロイドで攻撃したけれど、弱点には当たらず、モールモッドは私に向かってブレードを振り下ろしてきた。
それを難なく避けて、今度はスコーピオンで弱点を狙う。

「こんなところで暴れないでよ」

まずは1体。
もう1体に攻撃をしようとしたところで、「バイパー!」という声が聞こえた。

「三輪くん!」

そこには三輪くん、米屋くん、そして奈良坂くんがいた。

「苗字さん、大丈夫ですか?」
「うん」
「陽介!あっちだ!」
「オッケー!」

米屋くんと三輪くんは雅人くんの方に加勢しに行った。

「影浦さん、オレも混ぜてくださいよ!」
「ああ!?」
「加勢します」

三人が残りのモールモッドをあっという間に倒したので、私は本部に通信を繋げた。

「こちら苗字。市街地にイレギュラーゲートが発生したため、影浦、三輪、米屋、奈良坂の計5名で対応しました」
『ご苦労。被害状況は?』
「モール内に少し被害が出ましたが、怪我人はいません」
『わかった。それでは回収班を向かわせる。それまでその場に待機していてくれ』
「苗字、了解」







「いやーびっくりしましたね」

本部の回収班が来るまで、私たちはその場で待機になった。

「本当にね。三人も遊びに来てたんだ」
「そうなんですよ。最近試験勉強ばっかだったんで、息抜きがてら遊びに来てたんです。苗字さんたちもですか?」
「うん。久しぶりに完全オフだったから」
「相変わらず仲良いっすね」
「うるせーな。おめーらもだろ」
「俺は巻き込まれただけです」
「俺もです」
「えー、2人ともひでー」
「出水くんは?」
「あいつは今遠征中です」
「そっか。だから最近見ないんだね」

「そうだ」と言って米屋くんはこちらを見る。

「苗字さん、今度勉強教えてもらえませんか?」
「私でよければ教えるよ」
「ありがとうございます!」
「おまえは俺たちが教えてるだろう」
「秀次も奈良坂もおっかねーじゃん」
「それはおまえが真面目に勉強をしないからだろ!苗字さんに迷惑をかけるな」
「迷惑じゃないよ。もしよければみんなで勉強する?荒船くんとかも誘って」
「いいっすね!」
「雅人くんも」

さっきから黙っている雅人くんに声をかけると「勉強なんかしなくても生きていけんだろ」と、勉強会から逃げようとしている。

「まったくもう。少しは勉強しないとダメよ。わかると面白いのに」
「勉強が面白いわけあるか!」
「前に風間さんが言ってたじゃない。このまま勉強しないと、太刀川さんみたいになるぞーって」
「風間さんなら言いそー。でもたしかにそれは嫌だな」



そんな話をしていると、本部から回収班の人たちがやってきた。
状況を簡単に説明して、私たちの仕事は終わった。

「じゃぁまた連絡しますね!」
「うん。三人とも、楽しんでね」
「はい!苗字さんと影浦さんも!」
「おー」

米屋くんたちと分かれて、私たちも帰宅することにした。

「せっかくのお休みだったのに、休んだ気がしないね」
「また来りゃいーだろ」
「うん」

歩き出そうとすると、雅人くんは私の手を握った。
前にも思ったけど、恋人同士になってから、雅人くんからのスキンシップが増えたように思える。
意外と甘えん坊なんだな、と思うと少し嬉しくなってしまった。

「何にやけてんだよ」
「ううん。雅人くんが可愛いなって思って」
「はあ?それはおめーだろ」
「何が?」
「言わなくてもわかんだろ」
「言ってほしいのになー」

私が雅人くんの顔を見つめていると「っ!そーゆーとこだよ!」と言いながら顔を逸らした。
よく見ると耳が赤くなっているから、照れている。

「雅人くん可愛いね」
「うるせ」

私がもう一度言うと、雅人くんはそっぽを向いた。

「…かわいい…」
「え?」

「だから、可愛い!っつってんだろ!」

雅人くんは顔を赤くしながらそう言った。

「ありがとう!」
「うるせーもう言わねー」
「私の感情はわかるだろうけど、雅人くんの感情はわからないのよ。だから言葉にしてくれると嬉しいな」
「おめーの感情もわかりづれーよ」
「じゃぁ私ももっとわかりやすく感情表現していくね」
「そうしてくれ」

私たちは手を繋いで電車に乗った。
外を見ていると、肩に重さを感じた。
どうやら雅人くんが寝てしまったようで、雅人くんの頭が私の肩に乗っていた。
こんなところで寝るなんて、珍しい。
そう思って、優しく頭を撫でた。
かたそうに見えて、意外とやわらかいふわふわの髪の毛を触る。
今日も幸せだな。



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