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2月になり、高校最後のB級ランク戦が始まった。
毎週土曜日と水曜日に、午前と午後に分かれて行われるランク戦。
上位、中位、下位でグループ分けをされていて、その中で戦うチーム戦だ。

私たち影浦隊は、上位グループで、今は二宮隊、生駒隊、東隊、王子隊、弓場隊、そして香取隊がいる。
今期は、三雲くんが率いる玉狛第2がデビューするという話を烏丸くんから聞いていたので、少し楽しみにしていたら、ランク戦の最初の試合、ROUND1で8得点を上げたそうだ。
ちょうど、防衛任務だったので見ることができなかったから、後でログを見ようと思う。



ボーダーのラウンジでくつろいでいると、諏訪さんの大きな声が聞こえた。

「なんじゃこりゃ!大砲じゃねーか!!」

諏訪さんの声がしたテーブルを見てみると、諏訪隊のメンバーがログを見ているようだった。
私は諏訪隊のメンバーが座る机に近づいていった。

「白い子もやっぱ動きいいですね」
「どっちもちっちゃい」
「スナイパーの子はレイジさんの弟子らしいですよ」
「なにィ!?身長差がおかしなことになんだろ!!何考えてんだあの筋肉ゴリラ!!」


「ふふ…」

「あ?」

諏訪さんの言葉に思わず笑ってしまった。

「苗字じゃねーか」
「苗字、こんにちは」
「苗字さん」
「こんにちは!」

「諏訪隊のみなさん、こんにちは」

私は諏訪隊のメンバーが見ているログを後ろから覗き込んだ。

「この前のログですか?」
「おう。おめーも知ってたか?この大砲、あの筋肉ゴリラの弟子なんだってよ!」
「レイジさんは頭いい筋肉だよ」
「おサノ先輩、脱線してます」
「レイジさんが師匠ってことは、基本がしっかりしてそうですね」
「次の対戦相手って、玉狛第2ですか?」
「そうだ」

そういえば、「白い子のほうもソロで緑川に勝ったらしいです。たしか8-2」と堤さんが言った。
「8-2?!」
「私も見てましたよ。すごかったです」
「まじか!日佐人、おまえ緑川と10本ならいくつ引ける?」
「一回だけ、まぐれで4本取れました」
「…よし日佐人。白チビを2秒止めろ。俺たちが吹っ飛ばす」
「それ、オレも吹っ飛ぶやつですよね?」
「諏訪さん…笹森くんがかわいそうですよ」
「じゃぁもっとなんかいい案出せ!」

次の試合は諏訪隊と玉狛第2と、あとどこなんだろう?

「あとどこですか?」
「荒船隊だよ」
「荒船隊か」

荒船くんたちがどう戦うか、見るのが楽しみだな。
防衛任務も入ってないし、雅人くんも誘って見にいこう。







諏訪隊と分かれて、私は影浦隊の作戦室に戻った。

「戻ったよ」

作戦室には雅人くんとゾエくんがいた。

「女主人公ちゃん、おかえりー」
「どこ行ってたんだ」
「ラウンジだよ。諏訪隊のメンバーがログ見てたから一緒に見てたの」
「次のランク戦ももうすぐだもんね。次はたしか、荒船隊とだったよね」
「うん。玉狛第2のメンバーがすごくって、多分雅人くんも玉狛の空閑くんとは仲良くなれると思うよ」
「誰だそいつ」
「髪の毛が白くてちっちゃいんだけど、すっごく強いの。雅人くんは戦ったら絶対楽しいタイプだと思う」
「本当につえーなら上がってくんだろ。俺たちはそれを待つだけだ」
「そんなに強い子がいるんだね!ゾエさんもドキドキしてきちゃった」
「もう中位グループに入ったから、すぐ上位にも上がってきそうじゃない?楽しみだね」
「潰しがいがあんだろ」

うん。
思っていた通り、雅人くんは空閑くんのこと好きになりそう。

「ね、次のランク戦見に行こうよ」
「パス。めんどくせー」
「えー…」
「本当に強いんだったら、わざわざ見に行かなくてもすぐバトる機会あんだろ」
「まぁそうだけど」

雅人くんらしいといえばらしい。

「じゃぁ私は見に行ってくるね」
「おー。せいぜい荒船が負けねーように応援してやれよ」
「そんな簡単に負けないと思うけどね」



次の日、教室荒船くんに声をかけた。

「おはよう。明後日のランク戦、諏訪隊と玉狛第2だね」
「おう」
「どう?」
「基地の外壁ぶち破ってた、あのおチビちゃんがいるところだろ」
「そうそう」
「威力はやべーけど一発撃ってくれりゃあ、二発目撃つ前に補足できる。だからこの子はいいとして、問題は他の二人だな」
「他の二人って言うと、三雲くんと空閑くんか」
「あぁ。三雲も空閑も、データが少なくて読めないな」
「たしかにね」
「とりあえず、あるデータ全部見て動きの癖を頭に叩き込んでる。あとは、どこを選んでくるかだな…」

荒船くんはそう言うと、少し考える素振りを見せた。

「まぁ、俺たち相手に開けた場所が多いステージを選んでくることはないと思うけどな」
「そうね」
「どう動いてくるかが楽しみだ」
「本当、楽しそう」
「おまえたちはどうなんだよ?」
「初戦は勝ったよ」
「つえーな」
「私というか、雅人くんがだけどね」
「早く上位に上がりたいぜ」
「待ってるね」

そう言うと、チャイムが鳴って先生が教室に入ってきた。





2月5日(水)B級ランク戦ROUND2、夜の部が始まった。

『B級ランク戦新シーズン!二日目夜の部がまもなく始まります!』

今日は実況が武富さん。
解説席には東さんと緑川くんが座っていた。

『今回の注目は、なんと言っても前回完全試合で8点をあげた玉狛第2!注目度の高さからか、会場にもちらほらと非番のA級の姿が見られます!』

私も席を探そう。
階段を降りていると、米屋くんに声をかけられた。

「苗字さん、来てたんですね!ここ空いてますよ!」

見てみると、古寺くんと黒江さんと三人で座っていた。

「私もお邪魔していいかしら?」
「もちろん、どうぞ!」
「どうぞ」
「ありがとう」

そう言って、私は黒江さんの隣に座った。

『さて東さん、一試合で8点というのは、あまりお目にかかれませんが』
『いや、すごいですね。それだけ玉狛第2が新人離れをしているってことでしょう』
『遊真先輩は強いよ。あっという間にB級に上がってたし』
『緑川くんは玉狛の空閑隊員と、ソロで戦ったというウワサが…』
『うわ、その話ここでする?8-2で負けました!ボッコボコでした!』

緑川くんの言葉を聞いて、黒江さんが「駿が負けたんですか?8-2で?」と言った。
「いい勝負だったぜ」

『玉狛第2の今日の相手は、接近戦の諏訪隊に長距離戦の荒船隊。スタイルが明確な部隊です!』
『順位が低い玉狛第2はステージ選択権があるので、まずは地形で有利を取りたいところですね』

『…さぁステージが決定されました!』

武富さんの言葉通り、画面にステージ決定の文字が出た。

『玉狛第2が選んだステージは…”市街地C”!坂道と高低差のある住宅地ですね!』

「え?市街地C?」
「荒船隊相手にすげーとこ選ぶな」
「本当に。玉狛第2は大胆だね」

『これは、スナイパー有利なステージに見えますが?』
『スナイパー有利ですね…道路を間にはさんで階段状の宅地が斜面に沿って続く地形です。登るにはどこかで道路を横切る必要があるので、スナイパーが高い位置を取るとかなり有利です』

東さんが、今回のステージのポイントを解説している。
東さんの言う通り、このステージは射程のあるスナイパーが有利なステージなので、どう考えても荒船隊の有利なマップだ。
これは、どんな作戦でくるのか楽しみだな。


『B級ランク戦、転送開始!』



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