02

リビングに入ってきた黒髪の少年がソファーに座っている3人に気づくと「…おっ、この3人、迅さんが言ってた新人すか?」と言った。

「新人…!?」

その言葉に反応したのは小南だった。

「あたしそんな話聞いてないわよ!なんでウチに新人なんか来るわけ!?迅!!」
「まだ言ってなかったけど実は…この3人おれの弟と妹なんだ」

迅は三人が座るソファーに手をつくと、目をキランと輝かせながらそう言った。

「…!?」
「?」
「えっ、そうなの?」

誰もが嘘だと気づく話を本気にする小南。

「迅に兄弟なんかいたんだ…!とりまる、あんた知ってた?!」
「もちろんですよ。小南先輩、知らなかったんですか?」

烏丸にそう言われ、小南は空閑の顔をじーっと見つめる。

「言われてみれば、迅に似ているような…。レイジさんと男主人公も知ってたの!?」
「よく知ってるよ。迅が一人っ子だってことを」
「小南さんはもう少し疑うことを覚えましょう」
「…!??」

「このすぐダマされちゃう子が小南桐絵、17歳」

宇佐美は3人に玉狛支部のメンバーを紹介し始めた。

「だましたの!?」
「いやー、まさか信じるとは。さすが小南」

「こっちのもさもさした男前が烏丸京介、16歳」
「もさもさした男前です。よろしく」
「こっちの落ち着いた筋肉が木崎レイジ、21歳」
「落ち着いた筋肉…?それ人間か?」
「こっちの貴族のような王子さまが男主人公・クローニン、19歳」
「そんな大層な人間ではありませんが…よろしくお願いいたします」

全員の紹介が終わると、迅が話し始めた。

「さて、全員揃ったところで本題だ。こっちの3人はわけあってA級を目指してる。正式入隊日までの約三週間を使って、新人3人を鍛えようと思う。具体的には、レイジさんたちの中から3人、それぞれメガネくんたち3人の師匠になってもらってマンツーマンで指導してもらう」
「はあ?!ちょっと勝手に決めないでよ!あたしまだこの子たちの入隊なんて認めて…」
「小南、これはボスの命令でもある」
「…ボスの!?」
「林藤さんの命令じゃ仕方ないな」
「そうっすね、仕方ないっすね」
「…わかったわ、やればいいんでしょ。でもそのかわり、こいつはあたしがもらうから」

そう言うと、小南は空閑を指名した。

「見た感じ、あんたがいちばん強いんでしょ?あたし、弱いやつはキライなの」
「ほほう、お目が高い」
「じゃぁ千佳ちゃんは、レイジさんか男主人公さんか、どっちがいいかな?スナイパー経験があるの2人だけだから」
「レイジさん、お願いします」
「俺か?まぁいいけど」
「よ、よろしくお願いします…」
「よろしく」
「…となると俺か男主人公さんか…」
「京介、君なら大丈夫ですよ」
「…俺はまだ師匠って感じじゃないんすけど」
「人に教えることも必要なことです。巡り巡って自分に返ってくるので、これも経験ですよ」
「…わかりました。三雲、よろしく」
「…よろしくお願いします」

それぞれの師匠弟子のコンビが決まり、これから三週間の特訓が始まる。

「そういえば、迅さんはコーチやらないの?」
「ん?おれ?おれは今回は抜けさせてもらうよ。いろいろやることがあるからな。男主人公にも手伝ってもらうから」
「やっぱり俺が指導を」
「はいはい、もう決まったことなんだから」

迅の言葉に男主人公は嫌な予感がしたので、三雲の指導に回ろうとしたが迅に止められた。

「大丈夫!そんな難しいことじゃないから」
「あなたがそう言うと不安しかないのですが…」
「まあまあ、もう少し待っててよ」







早速3人の指導が始まった。

「どうなってるんですか?これ…」

三雲は玉狛支部の地下にいた。

「トリガーで空間を創ってるんだ。レイジさんたちスナイパー組の方に容量使ってるから、こっちは殺風景だけどな」
「トリガーで空間を…!?」
「トリガーは単なる武器じゃない。ネイバー文明の根幹を支える”テクノロジー”なんだ。って、昔林藤支部長が言ってた」
「はぁ…」
「…さて、じゃぁとりあえず、どれくらいやれるのかを見せてもらおうか。本気でかかってこい」
「…はい!」

烏丸と三雲の訓練風景を宇佐美のオペレーターデスクで見ている男主人公。

「男主人公さんは、指導しなくていいの?」
「そうですね。必要があれば助言はしますけど、まぁ京介なら大丈夫でしょう」
「男主人公さんの弟子だもんね」
「彼は賢いですからね。きっといい師匠になりますよ」

1時間ほど経ち、烏丸と三雲が訓練室から出てきた。

「三雲…おまえ弱いな。ほんとにB級か?」
「おつかれ〜」

ソファーには疲れ果てた三雲が寝そべっていた。
その姿を水筒を片手に見ている烏丸。

「大丈夫ですか?」

男主人公は水筒を持って三雲に近づくと「水分補給はちゃんとしてくださいね」と水筒を手渡した。

「あ…ありがとうございます」
「男主人公さん、どうでした?俺?」
「まだ始まったばかりなのでなんとも。これからですね」
「そうすか」

ゴウーン

2号室の扉が開くと、そこにはショックを受けた様子の小南の姿があった。
顔を真っ青にしてフラフラと訓練室から出てきた小南。

「ありえない…あたしが…」
「…?」

その後すぐに空閑が出てきた。
髪の毛をプスプスと爆発させて、面白い形になっているが「…勝った」と誇らしげにしていた。

「…?!」
「小南先輩、負けたんすか?!」
「まっ負けてないわよ!!」
「10回勝負して最後に1回勝っただけだよ。トータル9対1」

空閑はそう言いながら、爆発した髪の毛を整えた。

「そうよ9対1!あたのほうが全然上なんだからね!」
「今のところはね。でもこなみ先輩の戦い方はつかんできたから、次はもっと勝てるな」
「調子に乗んないでよね遊真。さっきのがあんたの最初で最後の勝ち星だから」

そう言うと、二人はまた訓練室の中に入っていった。

「おーやる気満々だな」
「…」
「おまえはどうする?まだやれるか?」
「やれます!」
「あまり無理をしすぎないようにしてくださいね」
「あ、はい!」

烏丸と三雲も訓練室に入った。

「男主人公さんはどうする?」
「そうですね。もう少し見たら、夕飯の準備を始めますね」
「今日は男主人公さんの番か!楽しみ〜!」



7時前、防衛任務に出た木崎が戻ってきた。

「ただいま」
「レイジさん、おかえりなさい」
「今日は男主人公が晩飯当番が」
「えぇ。レイジさんのように手際は良くないですが、だいぶ美味しく作れるようになりましたよ」
「おまえは元々器用だからな。なんでもある程度できるだろ」
「レイジさんに教えてもらっているおかげです」
「まだみんなやってるのか?」
「はい。もう終わるので、呼びに行ってもらえますか?」
「あぁ」

木崎は訓練室に向かう。

「レイジさんおつかれさま〜」
「雨取はどこ行った?もう家に帰ったのか?」
「千佳ちゃんですか?そういえばまだ出てきてないですけど」
「…!?」

宇佐美にそう言われ、木崎は急いでスナイパーの訓練室に入った。

「おい雨取…!!」
「あっ…木崎さん。もしかして、もうここ閉める時間ですか?」
「(朝からずっと撃ち続けてたのか…?一体どんなトリオン量してやがんだ)」
「?」
「いや、もう飯の時間だ。上がれ」
「はい!わかりました」



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