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ROUND3昼の部が終わった。
私たち影浦隊は順調に点数を獲っていて、B級2位をキープしている。
同じ昼の部の中位グループで戦っていた鋼くんたちの試合結果を端末で見てみると、まさかの4対3対2で玉狛第2が勝っていた。
鋼くんたち鈴鳴第一は2点。

夜の部の結果次第だけど、玉狛第2が上位グループに入ってくる可能性が出てきた。

「本当、すごいね玉狛第2」
「今期デビューなのに、もう上位見えてるんだね!」
「次、戦う可能性が出てきたね」
「は!本当につえーやつならいつか戦うことになんだろ」
「そうだね」



その日の夜の部が終わって、次の試合の対戦相手が発表された。
想像通り、玉狛第2が上位グループに入ってきたようだ。
次の私たちの相手は、二宮隊、東隊、そして玉狛第2。
どんな試合になるか、今から楽しみだな。







「おはよう苗字ちゃん!」
「犬飼くん、おはよう」
「ね、次の対戦相手見た?」
「見たよ。よろしくね」
「うん!それに玉狛第2が上がってきたねー」
「本当、あっという間に上位入りってすごいね」
「どんな感じで戦うのか、今から楽しみだね」

学校の入り口で犬飼くんに会って、そのまま教室まで話をしながら向かう。

「荒船くんも鋼くんも空閑くんって子に負けちゃったから、リベンジしないとね」
「空閑くんはたしかに強いけど、雅人くんの敵じゃないわ」
「そこは自分じゃないのね」
「あの子はエースだもの。私なんかじゃ戦いにならないよ」
「おれたちはサポーターだもんね」

そんな話をしていると、教室についてしまった。

「じゃぁまたね!お互い次の試合は頑張ろう!」
「うん」

教室に入ると、すでに荒船くんが席に座っていた。

「おう」
「おはよう」
「次、玉狛第2とだな」
「さっきも犬飼くんとその話してたよ」
「リベンジしてくれるんだろ?」
「私じゃなくて雅人くんがね」
「楽しみにしてるぜ」



影浦隊の作戦室に行くと、ヒカリちゃん以外だれもいなかった。

「あれ?みんなまだ来てないの?」
「ユズルは合同訓練行ったぞー。カゲとゾエは知らねー」
「そっか」

今日は私が日直だったので、ボーダーに来るのが少し遅かった。
もしかして、ランク戦してるのかな?

「ランク戦してくるね」
「おう!いってらー!アタシはこたつで寝てる」
「風邪ひくからほどほどにね」

ヒカリちゃんにそう言って、私はC級ブースに向かった。



「いない?誰かと戦ってるのかな?」

私はあたりを見回した。

「女主人公!」
「鋼くん。それから空閑くんも」
「苗字さん、こんにちは」
「こんにちは。二人でランク戦してたの?」
「ああ。本当はカゲも呼んでたんだけどな」
「雅人くんここにいないの?」
「さっき作戦室に帰るって言って出て行った」
「そうなの?そしたら入れ違いか」

「苗字さんって、影浦隊だったよね?」
「そうよ」
「かげうら先輩ってどんな人?」
「自分に厳しくて他人にも厳しい。でも気に入った人にはとことん甘くて面倒見がいい優しい人だよ」
「ふーん、ウソじゃないね」

空閑くんは私のことをじっと見ながらそう言った。

「それって、もしかして空閑くんのサイドエフェクト?」
「うん。苗字さんって、かげうら先輩と仲良いの?」
「そうね。仲良しよ」

「こないだの試合で空閑と戦ったとき、なんとなく雰囲気がカゲに似てるって思ったんだ」
「あー、たしかに。似てると言えば似てるかも」
「だから仲良くなれそうだなって」
「そっか。空閑くん、もしよかったら雅人くんと仲良くしてね」
「わかった」


私は影浦隊の作戦室に戻った。


「いた」

雅人くんは作戦室のソファーに座っていた。

「あ?」
「さっきC級ブースに行ったの。雅人くんと入れ違いになっちゃったみたい」

雅人くんの隣に座る。

「何かあった?」
「…」

なんだか雅人くんの様子がおかしい。
少しピリピリしているというか、なんというか。

「…うぜーC級斬った」
「え?」
「ムカつくやつがいたから斬った!」
「…まったくもう。また降格とか減点処分になるかもしれないわよ」
「一回我慢したんだよ」
「まったく…」

私は雅人くんの前に立ち、雅人くんを抱きしめた。

「一回我慢したのはえらいけど、ちゃんと考えて行動してって言ったでしょ」
「…」
「反省してください」
「わりぃ…」

そう言うと、雅人くんは私の腰に腕を回した。

「空閑くんに会ったんでしょ?」
「おう」
「どうだった?」
「生意気な白チビ」
「どういう感想」
「ま、鋼と荒船が負けたやつだからな。楽しみではある」
「じゃあ一緒にログ見よ」

雅人くんと一緒にログを見ていると、ゾエくんとユズルくんが作戦室に戻ってきた。

「お…!?カゲがログ見てる!珍しい!」
「雪でも降るんじゃないの?」
「うるせー!」
「やっとやる気になったのね。ゾエさんうれしいよ」
「荒船と鋼の負けっぷりを堪能してただけだボケ!」

「女主人公さん、オレも見たい」
「いいよ。一緒に見よ」

ユズルくんはそう言うと、ソファーに座った。

「あっという間に次の試合だね」
「そうだね」
「そういえば女主人公さん。試合の前日だけど、今年もバレンタイン作るの?」
「もちろん。毎年作ってるから、そろそろネタ切れだけど、今年も楽しみにしててね」
「でもいいの?今年はカゲさんっていう本命がいるのに」
「雅人くんには別で用意するから大丈夫」
「そっか。カゲさんがいいならいいけど」
「いつもお世話になってる意味も込めてだから大丈夫だよ」



バレンタイン当日。
私はいつもお世話になっている人たちに、義理チョコならぬ義理クッキーを作って配ろうとボーダー内を歩いていた。

「あ!女主人公さん!」
「出水くん」
「もしかしておれが一番乗り?」
「残念、すでに学校で荒船くんと犬飼くん、さっき入り口で緑川くんに会って渡しちゃった」
「えー!残念!」

持っている袋からクッキーの包みを一つ取り出して出水くんに渡す。

「はい」
「ありがとうございます!毎年女主人公さんからはもらえるってわかってるから心に余裕があります!」
「出水くんもモテるでしょ?学校でたくさんもらわなかったの?」
「もらいますけど、そんなに。京介がいるんで、大体みんな京介にいくんですよね」

出水くんは少し悔しそうな顔をした。

「でもおれにとって女主人公さんからのバレンタインのが意味あるんで!」
「そう言ってもらえてよかったよ」
「じゃぁおれ戻りますね!」
「うん」
「明日の試合楽しみにしてます!」
「ありがとう」

出水くんと分かれて、次はラウンジに向かう。

「あ、いた」

お目当てのオレンジ頭を発見。

「だーれだ」
「…この声は苗字ちゃんやな」
「正解」

水上くんは生駒隊のメンバーと一緒にいた。

「苗字さんや。こんにちは」
「隠岐くん、こんにちは」
「苗字さん、こんにちは!」
「南沢くんもこんにちは」
「なー、今のなんなん?カップルなん?え、二人って付き合ってたん?」
「あははー残念ながら友達です。はい、水上くん」
「おおきに」

水上くんにクッキーを渡すと、イコさんがさらに衝撃を受けた顔をした。

「うらやましい!!」
「全力のうらやましいをありがとうございます」
「え、苗字ちゃん俺らの分はないん?」
「ありますよ。でもいりますか?」
「めっちゃいるし!隠岐はいらんけど、俺はいるで!」
「なんでですか。おれも欲しいですよ」
「隠岐くんはモテそうだから、たしかに必要なさそうですね」
「苗字さんからのは別ですよー」
「オレも欲しいっす!」
「はい、どーぞ」

イコさんと南沢くんにクッキーを渡し、隠岐くんにも渡そうとする。
と、それを水上くんが奪う。

「水上先輩、ひどいやないですか」
「隠岐に渡したら、また変な噂たちそうやん」
「じゃぁ後で水上くんから渡しておいて」
「それもそれで変やろ」
「もう。いいから返して」

水上くんからクッキーを奪い返すと隠岐くんに渡した。

「はい。義理なんだから誰も気にしないでしょ」
「そうですよー水上先輩の考えすぎですやん。苗字さんには影浦先輩という立派な彼氏さんがおるんですから」
「そうそう」
「え!?そうやったん!?苗字ちゃんとカゲって付き合ってたん?」
「イコさんいまさらですか?」


生駒隊と話をしていると、あっという間に時間が過ぎてしまう。

「まだ配り終えてないから、もう行くね」
「おん」
「またね」

「ええなー。美女の作ったクッキー」
「イコさんももろてますやん」
「家宝にしよか」
「はいはい」



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