影浦、辻、空閑、奥寺、小荒井のアタッカーはそれぞれの武器で近くにいる相手を狙う。
女主人公は少し離れた屋根の上からその様子を見ていた。
「迂闊に跳ぶのは危ないね…」
空閑がグラスホッパーで跳んだところを、東が狙撃して片足に命中する。
北添は、「ユズルヤバい?ヘルプ行こっか?」と絵馬に聞いた。
『どうせ逃げ切れない。カゲさんと女主人公さんの方行って。ふつうなら負けないだろうけど、今回は雪だし』
「OK、わかった!」
そう言うと、北添は影浦たちの援護に向かう。
空閑を狙う、東隊の奥寺と小荒井。
二人の動きを見ながら攻撃を受ける空閑。
そのスキをついて、辻が旋空を繰り出し、空閑は左腕も失った。
「アステロイド!」
「小荒井!」
小荒井に向かって女主人公はアステロイドを撃つが、小荒井はグラスホッパーを使って後ろに跳ぶ。
「おい!」
「やべっ!」
跳んだ先には影浦がいて、マンティスが小荒井に襲い掛かる。
『あっぶね!影浦先輩の間合いだった!』
『距離を間違えんなよ』
「チッ…ジャマくせーな…」
『やはりグラスホッパー組が乱戦のメインを張る展開。足元の悪さからか、苗字隊員のサポートもありますが、影浦隊長はいつものように踏み込めない』
東隊は、まずグラスホッパーを持っている空閑を仕留めようとしている。
ドン!!
『影浦隊絵馬隊員がここでベイルアウト!』
「ユズルくん…」
『二宮隊が1点獲って3チームが並んだ!』
「くそったれ!おいゾエ!」
『はいはい、ユズルの分も働きますよ〜』
北添は、5人のアタッカーが集まる場所にメテオラを撃つ。
しかし、それを東が狙撃する。
「!?弾に当てるとか変態でしょ…!」
東はそのまま北添を狙うが、二宮がガードに入る。
「ニノさん!?」
「俺のポイントだ」
「ですよね〜」
そう言うと、北添は二宮に撃ち獲られる前にもう一度メテオラを撃ち落とす。
ズドドドン!!
「雅人くん!」
「やっとこっち来たな」
「…!」
爆撃の衝撃に巻き込まれた奥寺が影浦に斬られる。
「奥寺!」
小荒井を狙った辻より先に、空閑が小荒井を斬った。
そして辻は爆撃によって射線が通っていたこともあり、東に撃ち落とされた。
「不覚だな…」
『北添隊員に続いて一気に3人が落ちた!どれが誰の得点だ!?』
「さぁ来いよチビ。今度こそ遊ぼうぜ!!」
『影浦隊と玉狛第2のエース対決!ザクザクとスコーピオンで削り合う!左腕と右足を失っている空閑隊員。苗字隊員の援護もあって、押され気味か!得点は3部隊が横並び。となれば当然、他の二人もこの状況を黙って観ているわけはない!』
「…!」
「シールド!」
影浦が反応を見せたことに反応し、女主人公はシールドを張った。
二宮のフルアタックハウンドが影浦と空閑に襲い掛かる。
『この火力!ソロ総合2位は伊達じゃない!』
「二宮…!」
『人数が減ったから火力差で押し込みに来たな』
『空閑隊員被弾!さすがにこれは苦しいか!?影浦隊長は苗字隊員の分のシールドもあって無傷ですが、空閑隊員はなんとか遮蔽物を使って凌ぎたいところ!』
一度、攻撃が終わり、二宮が姿を見せる。
『二宮隊長、距離を詰めて寄せにかかる!』
空閑はグラスホッパーを使って二宮まで一気に距離を詰める。
『!!空閑隊員前に出た!?ハウンドの誘導半径を見切ったか!』
『いい動きね、空閑くん。でもそのハウンドは…相手を動かすためのハウンドなのよ』
加古の言う通り、狙い通りに動いた空閑を二宮はアステロイドで撃ち落とす。
空閑は最後のトリオンを使って二宮に襲い掛かる。
「!」
「あれって!」
空閑が出した最後の技はマンティス。
影浦の考案した、スコーピオンを2本繋げる荒技だった。
[戦闘体活動限界、ベイルアウト]
『ここで空閑隊員がベイルアウト!最後の刃は届かず!』
玉狛第2が全員ベイルアウトした後は、東、二宮、そして影浦と女主人公はバッグワームを起動して距離を取った。
『さぁ試合は一転して静かな展開。全員がバッグワームを使って距離をとりました。これはどういうことでしょうか?』
『狙える駒がいなくなったということだな。普通ならアタッカーが的にされるところだが、影浦には不意打ちが決まりにくい。東さんが完全に姿を晦ましているから、他の三人は下手に動けば即死もあり得る。普段なら噛み付きに行く影浦も、雪マップじゃ、いくら苗字がいようといつものようにはいかないだろう』
影浦には、チームの全員から動くなと指示が出ている。
『絶対行くなよ!東さんに殺されるだけだからな!』
『ニノさんも狙ってくるしね。女主人公ちゃんのフォローがあっても今回は厳しいよ』
『2点獲ったんだから好きにさせれば?』
『いやいやいや』
「…チッ…つまんねーことになったぜ」
「まぁ仕方ないわね。今回は雪のせいでうまく暴れられなかったね」
「不完全燃焼だな」
同じように二宮隊もチーム内で話をしていた。
『東さんから先に落とすってのはなしなんです?そのあとでカゲと苗字ちゃんを落とせば…』
「東さんが待ちに徹するつもりなら探しても無駄だ。特にこの雪じゃな」
そして東隊。
『今回はこのままタイムアップ待ちですか?』
「二宮と影浦、苗字が派手に動かない限りはそうだな」
『結局オレら、点獲れなくてすいません』
「いや、今回は北添を抑え損ねた俺が悪い。雪マップは割とうまく作用してたんじゃないか?」
『そうっすよね!』
『褒めちゃだめですよ、東さん』
解説席でも同じような話になっていた。
『試合はもう終わりね。東さんは完全に撤退モードだわ。二宮くんもそれはわかってるだろうから、リスクを冒してまで攻める気はないでしょ』
『さぁまもなくタイムアップ。試合終了!最終スコア、3対2対2対1、二宮隊の勝利です!そして、本日の試合がすべて終了!暫定順位が更新されます』
今回の試合で、二宮隊、影浦隊、東隊は順位が変わらず、玉狛第2は8位にダウンした。
『それでは時間も押してきてますので、ざっくりと総評をお願いします』
『…今回は、全ての得点を各部隊のエースが上げているが、重要だったのはエース以外の動きだ。エース以外の隊員の能力差が、そのまま得点差に現れたと言える』
『そうね。影浦くんなんかは雪でいつもより動きが鈍かったけど、ゾエくんとユズルくんのアシストで2点獲れてるし、女主人公ちゃんのフォローで無傷だったわね。早めに犬飼くんを落とせたのも大きかったわ』
『たしかに…東隊の二人も、マップを使ってチャンスを作り、二宮隊の二人は積極的に動いて隊長をフリーにした…』
影浦隊作戦室。
「今回は厳しかったなー。まさか雪で来るとは思わなかったな」
「本当だよね。やっぱりカゲさんがログ見たせいじゃない」
「俺のせいじゃねーだろ!」
「いつもと違うことするからだよー」
「まぁでも今回も2点獲れたし良かったよ」
影浦は頭を掻いた。
「クソが。次はぜってー勝つ!」
「空閑くんはどうだった?」
「あ?まあまあじゃねーの?」
「空閑くん強かったねー」
「あいつ面白れぇな。攻撃すんぞっつー殺意が全く感じられなかったわ」
「え?そうなの?」
「おう」
影浦は、サイドエフェクトに反応しないで攻撃を繰り出してきた空閑を気に入ったようだった。
「こんなやつなかなかいねーからな」
「カゲさん嬉しそう」
「わかんねーほうがスリルあんだろ!」
「空閑くんのこと気に入ったみたいね」
「そうだね。カゲの友達が増えて、ゾエさん嬉しいよ」
こうしてROUND4夜の部までの試合がすべて終了した。