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ピッ
ゴウーン

作戦室で勉強をしていると、扉が開いた。

「どうぞ」
「へぇー作戦室ってこんな感じになってんだ」
「おじゃまします…」

「こんにちは」
「こんにちは!」

玉狛第2の雨取さんと、もう一人の女の子は誰だろう?

「…んお?ユズルかぁ〜?」

ヒカリちゃんがこたつから出てきた。


「…のぁ!?女子じゃんか!ユズルが女子連れてきた!」
「おじゃましてます」
「どもっす」
「ヒカリちゃん、少し落ち着いてね」
「お客が来るなら言えよ〜!ゾエとカゲも呼ぶか?」
「いいよ呼ばなくて」
「コタツ入ってみかん食う?」
「かまわなくていいってば。トレーニングルーム使いたいだけだから」
「…さっきチカ子のこと助けるみたいに言ってたけどなにすんの?チカ子の弱点直せるってこと?」
「…いや、それはオレにも無理だよ…でも試してほしいトリガーがあるんだ」
「試してほしい?」

それだけ話して、ユズルくんたちはトレーニングルームに入っていった。

「ユズルくんに友達、しかも女の子って珍しいね」
「だなぁ!春がきたか!?」







あの後、私は作戦室を出てC級ブースに向かった。
ユズルくんの春を邪魔しないようにしなくては。

「雅人くん」
「女主人公」
「一人で何してるの?ソロランク戦は?」
「空閑のやろー、全然来やがらねぇ!」
「もしかして迷子かな?探しに行く?」

私と雅人くんは、空閑くんを探しに行くことにした。
少し歩いていると人が集まっていたので、近づいてみると、加古先輩と柿崎さん、そして空閑くんが3人で話をしていた。

「おいコラ空閑ァ!」
「おっと」
「いつまで待たせんだてめー!八つ裂きにすんぞ!」
「雅人くん物騒…」
「カゲ、それに苗字」
「あら影浦くんと女主人公ちゃん」
「ザキさん、ファントムばばあ」
「雅人くん失礼だよ」

雅人くんの加古先輩の呼び名、なんとかならないのかしら。

「第3の”K”…」
「あァ?」
「影浦くんと待ち合わせしてたの?」
「すまんねかげうら先輩。道に迷った」
「やっぱり迷子だったんだね」
「遅れんなら遅れるって連絡入れろボケ!おら、さっさと来やがれ!」

雅人くんはそう言うと、空閑くんの胸倉をつかんだ。

「あら、まだ話終わってないのよ」

空閑くんを連れて行こうとすると、加古先輩が空閑くんの首をつかんだ。

「待った待った!子どもを引っ張るな!」

柿崎さんが一人で焦っている。

ムームー

「…お?二人とももうしわけない。リーダーからの帰還命令だ」

空閑くんは携帯を取り出すと、そう言ってきた道を戻って行った。

「あらら、さすがに三雲くんには負けちゃうね」
「あの野郎…」
「もう。影浦くんが邪魔するから帰っちゃったじゃない」
「加古先輩、すみません」
「女主人公ちゃんが謝る必要はないわ」
「俺のせいじゃねーだろ」

言い争っている二人は置いておいて、私は柿崎さんに声をかけた。

「次、玉狛第2と対戦ですよね?」
「ああ。ログで見てるけど、手強そうな相手だな」
「頑張ってくださいね」
「おう」



そしてあっという間にROUND5の当日。

「荒船くん、なんだか今日は落ち着きがないわね?」
「そうか?」

朝、学校で会った荒船くんは、なんだかソワソワしていた。

「どうしたの?」
「別にどうもしない」
「ふーん…」
「なんだよ」
「別に。それでいつも通りを装ってるのかなって思っただけ」
「…今はまだ言えないけど、ちゃんと終わったら教えてやる」
「何か理由があるんだね」
「そういうこった」
「了解」



ROUND5が終わると、私たち影浦隊は順位変わらず。
そして、玉狛第2が4位になっていた。

「ここにきて大量得点!すごいね」
「本当にね。ユズルくんが雨取さんに何か教えてたみたいだけど、それが活かされた感じかな?」
「どうだろう。あとで録画見てみる」

ユズルくんが少し嬉しそうな顔をしていた。

「なんだー。ユズル、おめー玉狛のチビに気があんのか?」
「そういうんじゃないよ」
「ユズルにも春が来たんだね〜ゾエさん嬉しいよー!」
「違うって言ってるでしょ」

そんな話をしていると、私の携帯が鳴った。

「雅人くん、荒船くんがかげうら行こうって」
「またかよ。あいつ週に何回お好み焼き食ってんだよ」
「今日、荒船くんの様子がいつもと違ってたから、その話かも」
「あ?別にいいけどよ」



荒船くんと鋼くんも合流して、私と雅人くんはかげうらに向かった。

「秘密の迎撃作戦があった??」
「なんだそりゃ」

今日、ランク戦夜の部が始まる前に、ガロプラという惑星国家がやってきて、ボーダー本部に侵入してきたらしい。
A級と、荒船くんたちB級の人たちが協力をして防衛作戦を行っていたということだった。

「おまえたちはランク戦があったから参加できなかったってことだ」
「なるほどね。だから今日もソワソワしてたのね」
「そろそろって話だったからな」
「鋼くんは人型と戦ったんでしょ?ケガがなくて良かったよ」
「片腕は吹っ飛んだけどな」

お疲れ様の意味を込めて、焼けたお好み焼きを鋼くんに取り分けた。

「ありがとう」
「んなめんどくせーことになってたのかよ」
「全然気づかなかったね」
「気づかせないようにやってたからな」

とりあえず、無事に防衛作戦は成功したらしい。

「それじゃぁ遠征艇は無事なんだね?」
「ああ。大砲で撃たれたときは終わったって思ったけどな」
「ブラックトリガーかな?」
「あの威力はそうだろうな」
「他の国にも、まだまだ知らないブラックトリガーがたくさんあるんだね」

そう考えると、少し怖くなった。

「カゲたちは今回も遠征は希望しないのか?」
「まだ試合がすべて終わったわけじゃないしね」
「俺たちは遠征なんてどーでもいい」
「それに遠征先って敵だらけじゃない。そんなところに雅人くんを行かせたくないっていうのが本音…」

雅人くんのサイドエフェクトのことを考えると、上層部は使えると判断するだろう。
見えていなくても感情で相手の居場所がわかる。
けど、遠征ということは周りは全員敵。
そんな中で雅人くんに向けられる感情は、絶対善ではない。
それだけは確実に分かる。
だからこそ、そんなところに雅人くんを連れて行って、苦しませたくない。

「元々遠征なんて興味ねーかんな」
「それもそうか」
「あと3試合か…」
「高校最後のランク戦ももうすぐ終わりだな」
「なんかあっという間だったね」

私たちの高校生活も、あと残りわずか。



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