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そして、B級ランク戦ROUND8。
私たち影浦隊は、昼の部で3点を獲って39点でフィニッシュ。
後は夜の部の玉狛第2の試合結果を待つだけだった。

「どうする?夜の部見に行く?」
「…いかねー」
「そっか。ゾエくんたちも?」
「うん。ゾエさんもいいかなー」
「女主人公さんはどうするの?やっぱり見に行く?」
「…ううん。私もいいや」

私は、影浦隊の作戦室で夜の部が終わるのを待つことにした。







B級ランク戦ROUND8、上位夜の部が終わった。
結果は、玉狛第2が見事に二宮隊に勝利して、6対3対2対2。

「玉狛第2が2位だね」

私たちは、作戦室で結果を見ていた。

「すごかったねー。今期デビューで2位って、なかなかできないよ」
「雨取さんたち、これで遠征行けるといいね」
「私たちも、まだいけないって決まったわけじゃないもんね」
「そうだね!個人で行ける可能性もあるわけだし、遠征選抜試験だっけ?どんなことするのかゾエさんワクワクだよ!」
「けっ…今回は負けたが、次はぜってー負けねーかんな!」
「次のシーズンは絶対勝とうね」

高校最後のランク戦が終わった。
私たち影浦隊は3位という結果で終わってしまったけど、次のシーズンでは玉狛第2にも二宮隊にも勝ってB級1位を目指したいな。



いつものようにラウンジでくつろいでいると、遠征選抜の日程が上層部から送られてきた。

「遠征選抜の事前アンケート?」
「なんだそりゃ」

私と雅人くん、荒船くんと穂刈くんの4人で、メールを確認する。

「木曜日に試験の説明会があるんだね」
「全体説明会って何すんだ?」
「この隊長面接ってのも気になるな」

メールをどんどん読み進めていく。

「隊長面接の次の日から、もう試験がスタートするんだね」
「第一試験って一週間もやんのかよ!」

雅人くんは日程を見てめんどくさそうな顔をした。

「そのあとすぐに2日間の第二試験か…。何をするのかまったくわからないな」

このメールだけだと、具体的な内容が書いていないから全然想像がつかない。

「お、事前アンケートはこれだな」

事前アンケートの質問は3つ。
1つ目、あなたは遠征への参加を希望するか、に対しての答えが”希望する””チームでなら希望する””希望しない”。
2つ目、自分の隊以外で一緒に遠征に行きたい人は誰か、5人まで。
3つ目、逆に一緒に行きたくない人は誰か、2人まで。

「なんだかとってもプライベートな質問のような気がする…」
「自分の隊以外で行きたい人と行きたくない人を選べって、試験の参考にするのか?」
「さあな」
「これは人に見せちゃだめなやつじゃない?」
「別にいいだろ」

そう言って、三人はその場で答え始めた。

「私も答えちゃおう」

私は遠征は”チームでなら希望する”にした。
雅人くんは、きっと”希望する”か”チームでなら希望する”にするだろうな。
そう思いながら雅人くんを見ると、「ほら」と画面を見せてきた。

「やっぱり」

私の思っていた通りだった。

「行きたい人って、仲良しさんを選ぶアンケートになってない?行きたくない人って…ぶれないね」
「クソ犬とはぜってー行きたくねー」
「おまえは犬飼の何が気に入らないんだ?」
「外面と刺してくる感情がちげーのが気持ち悪い」
「なるほどな」

さて、続き。
自分の隊以外で一緒に行きたい人は、私は荒船くん、鋼くん、水上くん、後は出水くんにした。
行きたくない人は特に思い浮かばないので、空欄で提出することに。

「よし」
「提出できたか?」
「うん」
「そんじゃ、俺たちは合同訓練に行ってくる」
「はーい」

荒船くんと穂刈くんが席を立って、スナイパーの訓練場に向かった。

「私たちはどうしようか?ソロランク戦しに行く?」
「今日はもうやる気でねーから帰る」
「じゃあ帰ろ」



私たちはボーダー本部を出て家を目指す。

「あ!雅人くん、あそこ寄って行かない?」
「あ?」

私が公園の近くに出ているキッチンカーを見て「クレープ食べたくなっちゃった」と雅人くんを誘った。

「さっきラウンジで食ったろ」
「甘いものは別腹だよ」

私は雅人くんの手を掴んで、クレープ屋さんのキッチンカーの前に連れて行く。

「どれにする?」
「好きなの選べよ」
「雅人くんは食べないの?」
「おめー絶対一人で食べきれねーだろ…」

お店の人にイチゴチョコのクレープを頼んでお金を払う。
できたクレープを受け取って、私たちは公園のベンチに座って食べることにした。

「寒くねーのかよ」
「寒いよー。でもだいぶ寒さが和らいできたね」

もう3月も中旬になる。
後もう少しで、私たちは大学生だ。

「大学生になったら、もっと大人になるのかなーって思ってたけど、あんまり変わらないね」
「急に変わらねーだろ」
「私、一人暮らししようかなって思ってたんだ」
「…は?」
「ここから通うのって、結構遠いじゃない?だから一人暮らししたほうがラクかなーって。でも初めての一人暮らしと、大学生活を両立させる自信がなくて、保留にしてるの」
「…勝手に決めんじゃねーよ」
「うん。ごめんね」

私はクレープを食べながら話を続ける。

「雅人くんは一人暮らししたいなーって思ったことないの?」
「ねー」
「そっか。家族大好きだもんね」
「別にそういうことじゃねーよ!」

ちょっとだけ照れている雅人くんの頭を私は撫でる。
撫でている手を雅人くんがつかむと、そのまま私を自分の方へ引き寄せた。

「…家を出るときは一緒だ」
「え?」
「だから!家を出るときは一緒に住むときにしろ!」
「それって…同棲のお誘い?」
「そーゆーこった」

雅人くんと一緒に住む。

「何それ、素敵すぎない」
「だから勝手に一人暮らしすんじゃねーぞ!」
「苗字、了解」

半分ほど食べてギブアップしたクレープを、雅人くんは「ほら見ろ」と言いながら受け取った。

「どう?」
「…あめー…」
「甘くておいしいでしょ?」
「女主人公の作る菓子のがうまい」
「…ふふふ、ありがとう」

それでもあっという間に食べ終えると、雅人くんが私の手を握る。

「さみー…さっさと帰んぞ!」
「うん!」



あっという間に3月13日、遠征選抜試験の全体説明会の日がきた。



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