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遠征選抜試験、全体説明会の会場。
ここには遠征選抜試験を受ける対象になっている、B級中位以上の隊員が集まっていた。
その中には、古寺、木虎、菊地原、歌川のA級の隊員もいた。

最後に会場に入ってきた玉狛第2が着席すると、忍田が出てきて説明を始める。

『…全員揃ったようだ。少し早いが始めよう』

忍田がそう言うと、城戸が出てきてマイクの前に立つ。

『ボーダー本部司令の城戸政宗だ。今回の試験について説明する。きみたちの中には、自分は遠征選抜を希望していないのに、なぜこの場に招集されたのか?と考えている者もいると思う。まずはその理由を説明しよう』

遠征が始まると本部基地の人員が減ることになり、ランク戦や昇格戦が今までのように行えなくなるので、その代わりに、ボーダーの主力となるB級中位以上の隊員の適正と能力を測ることが、今回の試験の目的であると、城戸は説明をした。
そして、次の遠征は乗組員を従来よりも大幅に増員する予定のため、個人で何人か遠征隊員を選ぶ可能性があるため、それも視野に入れた試験だということも伝える。

『…よって、今回の試験が今後の評価の一つの大きな基準となる、と思ってもらいたい』

この試験は、主力隊員の能力試験を兼ねているということだった。
城戸の説明が終わると、今後は忍田が試験の内容を説明した。

『…では、試験の内容を説明しよう。第一試験は、一週間の閉鎖環境試験。これは長期遠征時の遠征艇内での環境を想定している』

「閉鎖環境って…雅人くん大丈夫?」
「…さあな」

『そして第二試験は、最長36時間の長時間戦闘試験。これは、遠征先での戦闘を想定したものだ。内容の詳しい条件は、第二試験直前に通達する』

「これも36時間続けて戦うことになるのね…」
「トリオンが低い人間は不利になりそうだねー」

『先ほど説明があったように、今回の試験の結果は今後の評価のベースになる。試験の開始はわずか4日後だが、余程の事情がない限りは参加してもらいたい』

忍田は『…そして最後に、今回の選抜試験はチームの隊員を”入れ替え”…つまり”シャッフル”して行う』と言った。

「え?」
「隊員をシャッフル!?」

『今からこちらが指定した隊員をリーダーとして、隊長1人、オペレーター1人、隊員3人の5人編成を11チーム作ってもらう。…それでは11人の”臨時隊長”を発表する』








忍田が臨時隊長の発表を始めた。

『呼ばれた者は、私の前まで出てきてくれ』

臨時隊長は以下の通り。
『1番隊隊長、歌川遼』「…!はい」
『2番隊隊長、王子一彰』「うーん、1番がよかったな」
『3番隊隊長、柿崎国治』
『4番隊隊長、北添尋』
『5番隊隊長、来馬辰也』
『6番隊隊長、古寺章平』
『7番隊隊長、諏訪洸太郎』
『8番隊隊長、二宮匡貴』
『9番隊隊長、水上敏志』
『10番隊隊長、村上鋼』
『11番隊隊長、若村麓郎』「!?…は、ハイ!」

11人の臨時隊長が名前を呼ばれ、続けて各隊のオペレーターが発表された。

『歌川1番隊オペレーター、志岐佐代子。王子2番隊、仁礼光。柿崎3番隊、藤丸のの。北添4番隊、染井華。来馬5番隊、小佐野瑠衣。古寺6番隊、六田梨香。諏訪7番隊、宇井真登華。二宮8番隊、加賀美倫。水上9番隊、今結花。村上10番隊、氷見亜季。若村11番隊、細井真織』

そして名前を呼ばれなかった宇佐美、橘高、人見の3人は、今回は裏方の仕事に就くことになった。



臨時隊長が前に出て、チーム分けが始まった。

『では、これからチーム分けを行う』

スクリーンには、会場にいる隊員たちの名前が3つのプールに分かれて記載されていた。
今回、那須隊員は体調を考慮して不参加、そして熊谷も那須の付き添いで不参加になっている。

『この中から各隊長が順番に1人ずつ隊員を指名していく』

「野球のドラフトみてぇな感じか…?」
「なるほど」

『ただし条件が一つ。元々のチームメイトは同じチームには入れられない。オペレーターも含めてだ』
「犬飼と辻ちゃんを一緒に採ったり、カゲと苗字ちゃんを一緒に採ったりはダメってことですね」
『そうだ』

そう言うと、忍田はくじを出してきた。

『指名の順番はプール毎にくじ引きで決める。1人1本ずつ引いてくれ』

そう言われると、臨時隊長たちは1人ずつくじを引いた。

『ではくじの番号順に1つめのプールから欲しい隊員を指名してくれ。1番を引いたのは誰だ?』
「俺です」

二宮はそう言うと、迷うことなく「東さんを指名します」と言った。

一つ目のプールはスナイパーとアタッカーが集まっている。

「はぁ〜〜〜〜!?」
「うわあ…」
「てめー二宮、バランス考えろよ」
「遠慮ってものがないよね」

諏訪や王子の言葉を完全に無視する二宮。

2番手の柿崎は「んじゃ俺はカゲで」と言って、影浦を指名した。

「柿崎さんのところでよかったね」
「まあな」
「そしたらオレたちは2番隊と3番隊と4番隊には選ばれないってことだね」

3番手の王子は「辻ちゃんをもらいます」と、辻を指名。
4番手の水上は「う〜ん…悩むとこやけど、荒船やろうなあ…」と、荒船の指名。
5番手の村上は「じゃあ堤さんで」と、堤を指名。
6番手の古寺は「奥寺を採ります」と、奥寺を指名。
7番手の来馬は「穂刈くんでお願いします」と、穂刈を指名。
8番手の諏訪は「隠岐で」と、隠岐を指名。
9番手の歌川は「漆間を指名します」と、漆間を指名。
10番手の北添は「うーん、じゃあトノくんで」と、外岡を指名。
11番手の若村は、自動的に半崎を指名したことになった。

『…では2つめのプールにいこう。もう一度くじを引き直してくれ』

2回目は、歌川から指名が始まった。

歌川は空閑を、二宮が雨取を、王子が生駒を、北添が菊地原を、水上が樫尾を、若村が笹森を、古寺が三浦を指名。
そして8番手の村上が「女主人公で」と女主人公を指名した。

「…」
「私は鋼くんのところか」
「あとはオレだけだね」

諏訪は三雲を、そして最後の柿崎は別役を自動的に指名した。

『…よし、では…最後のプールだ』

最後のプールは若村から指名が始まった。
ずいぶん長いこと考えていたが、若村は「…ヒュースを指名します!」と、ヒュースを指名した。
2番手の来馬は弓場を、次の諏訪が「…んじゃ香取で」と香取を指名すると、香取が「うっわ諏訪さんマジで言ってんの!?おとなしく木虎とかにしといてよ!」と席で騒いでいた。

その木虎は古寺に指名された。
次の柿崎は犬飼を指名。

「…チッ!!」
「あらら〜」
「…何事も起きないといいけど…」

村上が蔵内を、水上が照屋を、二宮が絵馬からのテレパシーを受け取って絵馬を指名。

「ユズルくん、雨取さんと同じチームだね」
「うん…」

雨取が嬉しそうな顔をして、絵馬に向かって手を振る。
そして、北添が南沢を、王子が帯島を、最後の歌川が巴を指名して、臨時部隊のメンバーが決まる。

『チーム分けはこれで終了だ。遠征選抜試験には、このメンバーで参加してもらう。第一試験の集合時間、集合場所、各自が準備する物などについては、本日15時に各自の端末に案内が送られる。説明は以上』

そう言うと、忍田さんは周りを見渡して『質問はあるか?なければ説明会は終了だ』と言った。
そこに三雲が手を上げる。

「ほかのA級の人たちは今回の試験には参加しないんでしょうか?」
『…いや、ここにいないA級隊員は第二試験から全員参加する。…そして、第一試験ではきみたちを審査する側にまわってもらう』



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