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次の日、影浦と女主人公がソロランク戦を終えてロビーで話をしていると、村上が姿を見せた。

「あ!私、鋼くんと話ちゃダメだから作戦室戻るね!」

と言って、女主人公は影浦隊の作戦室に戻った。

「カゲ!今の女主人公か?」
「おう」
「オレたち同じチームだから、話をしないように戻ったんだな。悪いことしたな」
「気にすんな」
「遠征選抜試験、楽しみだな!」
「…別に楽しみじゃねーよ」
「そうか?色々勉強になりそうじゃないか?」
「…まあな」

二人は話をしていると、影浦の携帯が鳴った。

「…」
「女主人公か?」
「ああ。今日の晩飯の話だな」
「相変わらず、仲が良いな」







その後、影浦と村上は10本勝負をして解散した。
影浦隊の作戦室に戻ると、女主人公がこたつに入って一人でくつろいでいた。

「おかえり」
「おう」
「ね、いいでしょ?」
「別にいいけどよ」
「やった」

先ほどの連絡の内容は、今日は女主人公の父親と母親が泊りの仕事でいないから夕飯を外で食べよう、というものだった。
影浦は、同じ日にお互いの両親が泊りでいないという奇跡に少しだけ感謝した。

「何食いてーんだ?」
「えっとね、最近駅の近くにできたイタリアンのお店に行きたいの」
「じゃあさっさと行くぞ」
「うん!」

二人は手を繋いでお店に向かう。
そこで、影浦はパスタを頼んだが、緊張しているのかあまり食が進まない。

「どうしたの?あんまりお腹空いてない?」
「なんでもねーよ」

そんな影浦の姿に少しだけ違和感を覚えつつも、女主人公は普段通り接していた。
食べ終わると二人は家に帰る。
いつもは家の前で分かれるが、今日は影浦が「ちょっと付き合え」と言って、自分の部屋に女主人公を招き入れた。



「あれ、おばさんは?」
「いねーよ」
「いないの?お出かけ?」
「温泉」
「温泉!いいなーうらやましい。私たちも大学が始まる前に、どこか旅行とか行きたかったね」

ボーダー隊員はなかなか泊まりででかけることができないので、女主人公はうらやましがった。

「それで、どうしたの?なんだか様子が変だけど?」
「別になんでもねーよ」
「そうは見えないんだけどな」

女主人公はベッドを背もたれにして床に座る。
そして、影浦もその隣に座った。

「私たち、一週間会わなかったことって、今までなかったよね」
「…そうだな」
「ねー。想像できないんだよね。雅人くんと一週間会えなくて、会話もできなそうじゃない?試験中は、元々のチーム同士は会話できませんってなりそう」
「ありえるな」
「…耐えられる気がしない」

女主人公が自分と同じ気持ちだったことを知ると、少し嬉しくなる影浦。

「…鋼くんと同じチームなのが気になる?」
「…まあな」
「素直でよろしい」

女主人公は影浦の頭をなでる。

「なんで水上の野郎が女主人公を採らなかったんだよって思ってる」
「おぉ。こんなに正直な雅人くんは珍しいね」

そんな影浦の様子に、少し驚きつつも嬉しそうな女主人公。

「大丈夫だよ。私は雅人くんのことが大好きだからね」

女主人公はそう言うと、影浦の唇に軽く口づける。

「私の気持ち、伝わった?」
「おう」

影浦は女主人公を抱きしめると、同じように口づけをした。

「…女主人公…」
「ん?」
「抱きてえ」
「え?」
「一週間、おめーが鋼と一緒にいるって考えると、正直我慢できる気がしねえ…。おめーの気持ちを疑ってるわけじゃねえ。けど、本当の意味で女主人公を俺のもんにしたい」

影浦は女主人公の目を見つめ、自分の本心を伝えた。

「雅人くん」
「…」
「嬉しいよ。私を雅人くんのものにして」

女主人公がそう言うと、影浦は女主人公の唇に嚙みつくような口づけをした。





朝起きると、影浦の隣には無防備な姿の女主人公が寝ていた。

「…」

そんな女主人公の頭を優しくなでる。

「んっ…」
「わりい。起こしたか?」
「ううん…雅人くんおはよう」
「おう」

女主人公は布団で顔を隠して「昨日はとってもかっこよかったです…」と照れながら言った。

「おめーは最高に可愛かった」と影浦は返事をする。

「もう…。これで私は本当に雅人くんのものだね」
「俺もおめーのもんだ」

そう言うと、影浦は女主人公に口づける。

「雅人くん甘い」
「女主人公だけにだな」

影浦は散らばった服を拾い集めると、女主人公に渡した。

「風邪ひく前に早く着替えろ」
「ありがとう」

女主人公は服を受け取ると、体を起こそうとした。
が、腰が痛くて動きが鈍い。

「大丈夫か?」
「うん。これはね、嬉しい痛みだから大丈夫」
「おめーな…んなこと言ってっと今すぐ抱くぞ」
「せめて夜にして」
「へいへい」

二人は服を着て、下に降りて朝ご飯を用意して食べる。

「そういえば、お兄ちゃんもいなかったんだね?」
「おー。なんか友達に家泊まるっつってたな」
「そうなんだ。偶然ってすごいね」
「まあな」

影浦の兄がいないのは、本当は偶然でもなんでもないのだが、影浦は黙っておくことにした。



朝ごはんを食べ終えると、二人は女主人公の家に向かった。
換装すれば問題ないが、生身だと腰が痛くていつものように動くことができないので、女主人公は今日は家で過ごすことにしたのだ。

「雅人くんは気にせずボーダー行っていいよ?」
「俺のせいだろ」
「雅人くんのせいとかじゃないから」

申し訳なさそうな顔をする影浦を、女主人公は部屋から追い出そうとしている。

「これは嬉しい痛みなんだってば。そんな顔されたくないよ。私は幸せなの」
「わりい」
「まったくもう。じゃあ私が痛くならないように、慣れるまで何度でもしてよ」
「おめーなー」

そう言う女主人公を影浦は抱き寄せる。
そして、「んなこと言うなら今すぐ抱くぞって言ってんだろ」と言って女主人公をベッドに押し倒した。



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