仮入隊だったゾエくんや荒船くん、この前知り合った犬飼くん、穂刈くん、当真くんたちも無事に正式入隊となった。
「これでポイント移動ありのランク戦ができるわけだ」
「残念。正隊員は訓練生とはポイント移動ありのランク戦ができないのよ」
「まじかよ」
「早くBに上がってこい!」
荒船くんは、ランク戦のルールを聞いて、さらにやる気が出てきたみたい。
「B級になればチームを組んでのランク戦にも参加できるし、今から楽しみだよね!」
「そうかチームか。お前らはどうせ同じチームなんだろう?」
そう言うと、みんなが一斉にこちらを見た。
「まぁな。ゾエも同じだ」
「オレたちも組むか。チーム」
「そうだな」
「おいおい、そんな簡単に決めていいのか?上にあがるにはメンバー編成は大事だろ?」
「なんだよ当真、おめーもAに上がりてーのか?」
「別にそこまで興味はねー。だけど、やるからには一番を目指すだろ」
「見かけによらず熱い男なんだな、当真は」
「見た目通りだと思うけどな」
ボソッと私が言うと、みんなが笑いだした。
「ちげーねー。熱い男じゃなきゃ、今どきリーゼントにはしねーよな」
「わかってんじゃねーか苗字ちゃん」
雅人くんたちは、みんなでC級ブースにランク戦をしにいった。
私は、トリガー構成など色々考えたいことがあるので遠慮した。
分かれる前に、雅人くんからは「勝手に一人でどっか行くんじゃねーぞ」と、過保護すぎるお言葉をもらってしまったので、ランク戦が見えるロビーのソファーで考えることにした。
本当なら、小腹を満たしながら考えたかったのだけど。
その前に飲み物でも買ってこようと、近くの自販機に向かった。
「あの!」
「?」
飲み物を買っていると、後ろから声をかけられた。
「どちら様でしょう?」
「あ、俺最近正隊員になったんだけど、前から苗字さんのこと見てて気になってて」
これはまずい。
ボーターの中では、ほとんど雅人くんと一緒にいたから油断をしていた。
「それで、もしまだチーム組んでなかったら、俺たちのチームに入らない?もっと苗字さんと仲良くなりたいし」
「ごめんなさい。私、もうチームを組んでいるの」
「え…それって、あのいつも一緒にいる幼なじみの?」
なんで話もしたことがない人が、私と雅人くんの関係を知っているのだろう。
そう考えると、少し怖くなってしまった。
「そうなの。だから申し訳ないけどあなたとチームを組むのは難しいわ」
そう言ってその場を離れようとしたら、
「待って!」
腕を捕まれて動くことができなかった。
「ちょっ、離して!」
「ごめん!だけどもう少し俺の話を聞いてほしくて」
「だからって」
「何してるんすか?」
声がする方を見ると、髪の毛がもさもさっとした男の子が立っていた。
「あ…えっと」
「嫌がってるように見えるんですけど」
「ご、ごめんなさい!」
そう言うと、手を離して走り去っていった。
「あ、ありがとう」
「いえ。なんか声がするなーと思って気になっただけですから」
この子はたしか、入隊式で見かけたような。
「覚えてないっすよね。入隊式が一緒だったんですけど」
「やっぱり。覚えてるよ」
「烏丸京介です」
「苗字女主人公です。烏丸くん、助けてくれてありがとう。お礼に奢るね。何飲む?」
「いいんすか?遠慮なく」
そう言ってお金を自販機に入れると、烏丸くんは紅茶を押した。
ガコンッ
出てきた紅茶を取り出して、烏丸くんに渡した。
「はい。ありがとう」
「いえ、こちらこそです。ありがとうございます」
「そういえば、烏丸くんはもうトリガー構成って決めたの?」
「そうすね。まだ迷ってる部分はありますけど、だいたいは」
「そうなんだ。もしよければ、参考に少し話聞いてもいい?」
「いいすよ。じゃああっち座りますか」
烏丸くんと歩いていると、周りからの視線がいつも以上に痛かった。
たしかに烏丸くんは、頭は多少もさもさしているけれど、顔が整っていて、誰が見てもイケメンだと思う顔立ちをしている。
「烏丸くんも苦労してるんだね」
「まぁもう慣れましたけど」
「私、大丈夫かな。烏丸くんのファンに殴られたりしないかな」
「そのセリフ、そのままお返しします」
空いている席がなく、周りを見渡していると烏丸くんが声をかけられた。
「おう京介!席探してんなら、ここ座るか?」
「出水先輩。ありがとうございます」
「ども。出水公平です」
「はじめまして。苗字女主人公です」
「あ、苗字さんって、あの!」
「出水先輩、失礼すよ」
「そか、すみません!」
「大丈夫ですよ」
「おれ、中3なんで、苗字さんのが先輩ですよね。タメで全然大丈夫です!」
「わかった。ありがとう」
三人で少し雑談をしていると、「そういえば」と烏丸くんが話をふってきた。
「苗字さんの聞きたいことって」
「あ、そうそう。私、今ガンナーかシューターで悩んでて」
「そうなんすか。俺はガンナーで決めましたけど。出水先輩はシューターすよね」
「おう!苗字さんもシューターやりません?ガンナーより自由度高くて楽しいですよ!」
「なるほど」
二人の話を聞いていると、私にはガンナーよりもシューターの方が向いてそうな気がしてきた。
私のサイドエフェクトも、シューターの方が活用できそうな気がする。
「二人ともありがとう。方向性が固まってきたよ」
「お役に立てて良かったです!」
「何かあったらいつでも聞いてください」
連絡先を交換した後、二人は用事があるみたいで帰っていった。
私は、シューターの方向でトリガー構成を考えることにした。
シューター用のトリガーにも色々種類があるから、何を選ぶのがベストなのかを考えるは大変だけど楽しい。
チームとして勝ち上がっていくために、私は私のできることを頑張ろう。