05

ドンドンドン

嵐山、木虎、そして男主人公は、追いかけてくる三輪と出水にアステロイドやハウンドを撃ち込みながら逃げていた。
だが、木虎は片足がなく、嵐山も片足にレッドバレットがついていて、思うように動くことができない。

「嵐山先輩!私たちの足じゃ、いずれ追いつかれます!狭い道を利用しましょう!」
「了解だ!当真の射線に入るなよ!」

三人は狭い路地を見つけると迷わず入った。

「!路地に入った!袋のネズミってやつか?」

出水がそう言うと「いや、迂闊に踏み込めばさっきみたいにテレポートで反撃されるぞ。男主人公さんのメテオラもある」と三輪が言う。

「地形戦でカウンターねらいか。なるほどね」
「むこうの足は死んでる。カウンダ―だけ警戒して遠巻きに削ればこっちの勝ち」
「それをさせないための狭い路地なわけか。どうする?三輪。おれのメテオラでこのへん平らにするか?」
『おいおい出水、過激だな。捨てられてても人ん家だぞ』
「じゃあ当真さん、他にいい手あんの?」
『それを考えるのは三輪の仕事だろ』
「…」







「路地に入ってこないってことは…持久戦ですか?」
「それならありがたいけど、違うだろうな」
「悠一の方に向かう素振りを見せて、俺たちを誘い出そうとするでしょうね」
「そうだな…賢、まだいるよな?」
『はいはい。ひっそりと生きてますよ』

嵐山は佐鳥と通信を繋いだ。

「何やってるんですか佐鳥先輩。まじめに働いてください」
『この辺マジで射線通んないんだって!なんか当真さんもこっち来てるし!』
「レーダーの精度を10秒だけ上げてくれ。三輪たちの正確な動きが知りたい」
『了解!』

佐鳥はそう言うと、レーダーの精度を上げた。

「やっぱりな。迅のほうに向かってる」
「三輪先輩と出水先輩はそうすね。当真さんは”バッグワーム”着てるからわかんないすけど』
「罠ですね」
「そうですね」
「男主人公さんも言っていた通り、100%私たちを釣り出すための誘いです」
「けど放っとくわけにはいかない。迅にまかされた相手だ。綾辻」
『はい、嵐山さん』

嵐山は、綾辻にこのあたりの狙撃ポイントを洗い出すよう伝えた。

「賢、木虎、働いてもらうぞ」



『おっ、追っかけて来た。三輪の読み通り』
「あれ?嵐山さんと男主人公さんだけ?あ、木虎はバッグワーム使ってんのか」
「嵐山さんと男主人公さんをおとりにして、木虎に奇襲させる気だろう。機動力がほぼないむこうには、それくらいしか打てる手がない」
「男主人公さんいんのに、そんな簡単にいくか?」
「あの人は本気じゃない」


三輪と出水が公園にいる嵐山と男主人公を見つけた。

「嵐山さんと男主人公さん見っけ!メテオラ!」

出水はメテオラを二人に落とす。

ドドドドドド

「ぐっ…!」
「准!大丈夫ですか?」
「ああ」

二人はフルガードで爆撃から身を守る。

「うへぇ。罠だってわかってても出てこなきゃなんないのが、正義の味方のツライとこだな」

そんな二人を、当真は少し離れたマンションの上から見ていた。

煙が晴れる。

「うおぉ。二人とも耐えるなー」
「深追いするなよ。木虎の奇襲を最警戒しろ」

三輪は嵐山に近づくと「嵐山さん、あんたの有能な部下はどこに行った?あんたたちをおとりにして奇襲するんじゃないのか?」と聞いた。
「…それはどうかな?」

三輪の質問に答える嵐山の表情を見て「うわあ、嵐山さんウソ下手だな〜!」と出水は苦笑する。

そんな嵐山に向かって、三輪はレッドバレットを撃ち込む。

「ぐっ…!!」
「おい三輪。無傷の男主人公さんにもレッドバレット撃ち込んでくれよ」
「…」

出水の言葉を無視して、三輪はアステロイドを二人に向かって撃ちこむ。

「(テレポート!!)」

嵐山はテレポーターを発動させ、男主人公はシールドを張る。

「テレポーターの移動先は、視線の方角数十メートル」

テレポーターの移動先に狙いをつけていた当真が、嵐山をイーグレットで狙う。

が、その前に木虎に頭を斬り落とされた。

「…!?おいおい、なんでおまえがこんなとこまで登ってきてんだ?」

当真は木虎の足を見ると、スコーピオンを足から生やして足がわりにしていることに気づく。

「なるほど、やるねぇ」

ドン!

「!?」
「はあ!?当真さん…!?」

当真がベイルアウトをしたことに驚く三輪と出水。

「うちの作戦はおまえの言う通り…”俺たちをおとりにして奇襲”だよ」
「奇襲する先が違いましたけどね」

「…嵐山!!」

ドドンッ

嵐山を狙った三輪と出水の腕が、佐鳥の狙撃によって吹っ飛んだ。

「OK、OK!今度は当てたぜ、出水先輩」

「佐鳥…!」
「広い場所で戦ったのは失敗だったな、三輪」
「…まだだ!」

ドドンッ!

「!!」

別の場所で、ベイルアウトした光が二つ。

『三輪くん、作戦失敗よ』
「…!!」
『太刀川くんと風間さんがベイルアウトしたわ。奈良坂くんと章平くんも撤収中よ』
「…!!」
「くああ〜〜〜負けたか〜〜!つーか迅さん6対1で勝ったの!?太刀川さんたち相手に!?ブラックトリガー半端ねーな!」

「任務達成ですね」
「嵐山さん見ました?オレの必殺、ツインスナイプ」
「ああ、木虎、賢、それに男主人公もよくやった。充と綾辻もよくやってくれた」

三輪は嵐山に思いをぶつけた。

「嵐山さん、ネイバーを庇ったことをいずれ後悔するときが来るぞ。あんたたちはわかってないだ。家族や友人を殺された人間でなければ、ネイバーの本当の危険さは理解できない」

三輪の話に男主人公は顔を伏せる。

「ネイバーを甘く見ている迅は、いつか必ず痛い目を見る。そしてその時にはもう手遅れだ」
「甘く見てるってことはないだろう。迅だってネイバーに母親を殺されてるぞ?」
「…!?」
「5年前には師匠の最上さんも亡くなってる。親しい人を失うつらさはよくわかってるはずだ」
「…!」
「ネイバーの危険さも、大事な人を失うつらさもわかったうえで、迅には迅の考えがあるんだと俺は思うぞ」
「…」

三輪が黙り込むと、男主人公は三輪に話しかけた。

「秀次…君の考えが間違っているとは思いません。だけど、自分とは違う考えや価値観で戦っている人もいるということを、もう少しわかってあげてください」
「…男主人公さん…くそっ!!」



三輪と出水が撤収すると、嵐山は迅に通信を繋いだ。

「迅、おつかれ」
『おおー嵐山。今回は助かったよ』
「三雲くんたちには大きな借りがあるからな。少しでも返せてよかったよ」
『また改めてお礼しに行くから』
「気にするな。このまま解散でいいのか?」
『ああ。男主人公もありがとう』
「いいえ。まっすぐ玉狛に戻りますか?」
『そうしたいんだけどね。俺はあと少しやることがあるから、男主人公は先に戻ってて』
「…わかりました」



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