修学旅行02

修学旅行2日目は、京都の有名どころを回った。
神社や寺に行って参拝したり、嵐山の方まで足を延ばして京都の街を観光して帰ってきた。

その日の夜、飲み物を買いに自販機に行こうとしている途中で犬飼に会った。

「荒船くんだ!おつかれ」
「おう」
「飲み物買いに来たの?」
「ああ」
「じゃあおれも一緒に行こうかな!」

犬飼はそういうと、俺についてきた。

「それにしても3泊4日ってあっという間だね」
「丸一日遊べんのが明日だけだもんな」
「ねー。明日のテーマパーク、一緒に回ろうよ!」
「悪い。明日は女主人公と回る」
「え!そうなの?」
「おう。女主人公から誘いがきた」
「本当?これは脈ありじゃない?」
「どうだろうな。ただ、俺は明日ちゃんと女主人公に告るつもりだ」
「そっかそっか。それなら邪魔できないね!」

俺がそう言うと、犬飼は納得したようだ。

「明日がハッピーエンドになるように祈ってるね!」
「頼むわ」
「じゃあ明日に備えて早く寝ないと!」

飲み終わった缶をゴミ箱に捨てて、俺たちは自分たちの部屋に戻った。







次の日、テーマパークに入ると結構混んでいた。

「すごい人だねー!」
「今日いい天気だもんね」
「ね!みんなで耳つけようよ!」

二人がショップに入って耳を選んでいるのを、俺と女主人公は後ろで見ていた。

「なあ」
「なあに?」
「昼食ったら二人になりたい」
「…うん」

「苗字さんも見てよー!これとかかわいくない?」
「可愛いね」

鈴木が女主人公を引っ張って行った。
けど、それに文句を言っている暇がないくらい、俺は緊張していた。
すでにほぼ告白済みだけど、実際にちゃんと告白すると思ったら、やっぱり緊張するんだな。



午前中、人気のアトラクションを乗って楽しんだ俺たちは、近くのカフェに入って昼メシを食べた。

「美味しかったねー!午後はどうしようか?」
「そうだね」

鈴木が園内のマップを広げている。

「悪い、ちょっと落とし物」
「え?荒船大丈夫?」
「ボーダーの備品だからまずいな。探してくるから女主人公も手伝ってくれ」
「わかった」

そう言って俺は女主人公と二人きりになることに成功した。


「悪い」
「…」
「女主人公?」
「…ぷっ、ボーダーの備品って…荒船くん嘘下手すぎ」

女主人公はそう言うとクスクス笑った。

「いや、なんて言えば二人になれるのか、全然考えてなかった」
「ふふふ。ボーダーって言えば二人も何も言えないもんね」
「そういうことだ」
「あー面白かった」

まだ笑っている女主人公。
素直に可愛いと思う。

「荒船くん?」
「…あ、ああ、なんでもない。とりあえず行こうぜ」

俺はそう言うと女主人公の手を握った。

「どこに行くの?」
「とりあえず…あっち行くか」

下調べをしている時に出てきた、告白におすすめのスポットらしい湖が見えるベンチを目指した。

「何か飲むか?」
「大丈夫」

ベンチには何組かしか座ってなかったので、一番端のベンチに座る。

「…」

ここまで連れ出したのはいいが、なんて言って話を切り出そうか。
俺が考えていると、先に女主人公が口を開いた。

「荒船くん」
「おう、なんだ?」
「…私がこの前言ったこと、覚えてる?」
「好きな人がいるって話か?」
「…そう」

女主人公はそう言うと、俺の方を見て「わかる?」と聞いた。

「私の好きな人」
「…そう聞くってことは、俺の勘違いじゃないんだな?」
「…信じてくれる?」
「何を?」
「…私の気持ち」
「おう」

女主人公はそう言うと、俺から目をそらして顔を伏せた。

「私…雅人くんのことが大事よ。でもそれは家族として…これからもその関係は変わらないし、変えたくないって思ってる。それでも…それでも荒船くんは、私のこと信じられる?」

なるほど。
女主人公の本心がようやくわかった気がした。
俺は女主人公の手を握る。

「俺は、ずっとおまえたち二人のことを見てきた。おまえたちが家族として思い合ってるのはわかってるし、それ以上でもそれ以下でもないこともわかってる。だから安心しろ」

女主人公は顔を上げて、俺のことを見た。

「何泣いてんだよ」
「…泣いてない…」

「女主人公、好きだ。おまえのことが誰よりも好きだ。だから俺と付き合ってほしい」

「…私も荒船くんのことが好きだよ。私を、荒船くんの本当の彼女にしてください」

「おう」

俺はそのまま女主人公を抱きしめた。

「荒船くん!」
「あー、まじで焦った。このタイミングでカゲの名前が出てくるから、ビビったわ」
「驚かせちゃってごめんね」

「兄ちゃんやるね〜」
「美男美女のカップルじゃん」
「熱いねー!若いってうらやましい!」

俺たちの話は、どうやら周りの客にも筒抜けだったようで、一部始終を見ていた人たちにからかわれた。

「あざす」
「もう!荒船くん!」
「別にいいだろ。旅の恥は搔き捨てだ」
「そういう問題じゃないでしょ!」

顔を赤くしながら怒ってる姿も可愛いな。

「そういえば、1日目のお昼に変な感じだったろ?あれはなんだったんだ?」
「あー…あれは、荒船くんと付き合ってるって言われて、ウソなのになーって思ってただけ」
「そういうことか。まあこれで本当になったんだから、もういいだろ」
「そうなんだけど…なんか違くない?」
「はいはい。これで堂々と女主人公は俺の彼女だって言えるな」
「そうだね」

そんな話をしていると「あー!荒船いた!」と、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

「あ、佐々木と鈴木」
「二人とも全然戻ってこないから心配して探してたの!」
「やっと見つかった!」
「二人ともごめんね」

女主人公がベンチから立とうとするから、俺は手を握った。

「荒船くん?」
「ん?」
「手を離して」
「いいだろ」

俺はそのまま立って、二人のもとに歩き出した。

「あれ?」
「二人が手を繋いでるってことは…」
「もしかして、もしかするの!?」
「おう」
「おめでとう!二人が本当のカップルになって嬉しいよ!」
「苗字さんも荒船のこと好きだったんだね」
「うん」
「びっくりしたー!でもお似合いだと思う」
「ありがとう」

女主人公が照れくさそうにしている姿は、なんと言うかマジで可愛い。
本当に俺の彼女になったんだなと思うと、こっちまで照れくさい。

「どうする?今日はこのまま二人で回る?」
「それは悪いよ」
「いいよいいよ!カップルの邪魔したくないしね!」
「だな!」
「気が利くな」
「荒船くんは少しは遠慮して」
「いいだろ。付き合った記念日なんだから」
「もう…」

佐々木と鈴木は空気を読んで、他のクラスメイトたちと合流するようだ。
そして、俺たちはこのままテーマパークデートを楽しむことにする。

「荒船くんって、強引なところあるよね」
「そうか?まあ、女主人公ともう少し二人でいたかったからな」
「まったく…。でも、私も二人でいたかったから嬉しいよ」

そう言って女主人公は笑った。

「〜っ!おまえ、その笑顔反則だろ…!」
「ふふふ」

赤くなったであろう顔を隠しながらそう言うと、女主人公はさらに嬉しそうに笑った。

「荒船くん可愛いね」
「うるせ!」

俺は照れ隠しに女主人公の頭を軽く叩いた。



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