「そうかな?」
「たしかに〜二人ともお互い想い合ってて、見てて素敵だよね」
「そんな風に見えるの?」
「うん」
ここはボーダーのラウンジ。
今日は、防衛任務がないのでラウンジで勉強をしていたら、国近さんと加賀美さんがやって来た。
最初は勉強をしていたけれど、国近さんのやる気がなくなっておしゃべり時間になってしまった。
後で今さんに怒られそうだけど、いいのかな?
「それで、女主人公ちゃんたちはどこまでいってるの?」
「あー気になる!」
「えー…それは…まあ、それなりに」
「ひゃーいいね〜」
実際はハグとキスくらいなんだけど、絶対勘違いしてるだろうな。
「影浦くん優しい?」
「うん」
「女主人公ちゃんのこと見てると、愛されるって大切だなって思うわ〜」
「二人はいいなって思う人いないの?」
そんな話をしていると、今さんと人見さんもやって来た。
「三人で何話してるの?」
「今ちゃ〜ん」
「恋バナだよ」
「楽しそうね」
二人も席に座ると、18歳組の女子が全員集合した。
「苗字さんとは学校が違うから、あんまり話したことなかったね」
「本当だね。人見さんと話せて嬉しい」
「こういうところが女主人公ちゃんの愛される要因だよね〜」
「本当、さらっと嬉しいこと言ってくれるわね」
「女の私でもドキドキしちゃう」
なんだかよくわからないけど、褒められてるから良しとしよう。
「誰かいい人いないの?って話だったっけ」
「そうそう」
「ボーダーって、顔の良い人多いもんね」
「たしかにー」
「一番人気は烏丸くん?」
「たしかにあれはイケメンだ」
「後は隠岐くんかなー」
「隠岐くんもかっこいいよね。烏丸くんとはまた違った雰囲気で」
「出水くんは?」
「うちの出水もなかなかイケてるでしょ〜」
みんなから出てくるのは年下の子の名前ばかり。
年下が好みなのかな。
「嵐山さんは間違いないわね」
「うん、間違いない」
「同い年のみんなのことはどう思ってるの?」
私がそう言うと、みんなが一斉に私の方を見た。
「うちの学年は、ね〜」
「女主人公ちゃん大好きな人ばっかりでしょ」
「え?」
「たしかにみんな苗字さんのこと好きよね」
「恋愛的な意味じゃなくても、女主人公ちゃんのこと大事にしてるよね〜」
「特に荒船くん」
「そうかな?」
「同じクラスだし、影浦くんからボディーガード役を任されてるのもあるけど、荒船くんのガード強いよね」
「苗字さんに近づく男は排除する!ってオーラが出すぎ」
「影浦くん2号みたい」
客観的に見ると、そんなすごいんだね。
荒船くんにはやりすぎないように注意しておかないと。
「それに、意外と水上くんも気にしてるよね」
「わかる!女主人公ちゃんと喋ってる時、楽しそう。頭の作りが似てるからかな?」
「今ちゃんと話てるときも楽しそうだもんね」
「そう?」
どんどん話が脱線している。
そう思っていると、人見さんが話を戻してくれた。
「それはそうと、たしかにこの学年もかっこいい人多いよね」
「それは間違いない」
「荒船くんも穂刈くん、あと鋼くんなんかも人気よね」
「王子くんとゾエくんも、女子人気高いよね〜」
「クラスの女子も言ってた」
「まあでも、うちの学年のトップはやっぱり犬飼くんかな〜」
「呼んだ?」
加賀美さんが犬飼くんの名前を出したら、後ろから犬飼くん本人の声が聞こえてきた。
「!!」
「犬飼くん!」
「もー、みんなラウンジでなんて話してるのさ!」
犬飼くんの座ってるテーブルを見ると、当真くん、王子くん、蔵内くんが座っていた。
「やあ」
「バレちまったなー」
「…盗み聞き〜」
「いつからいたの?」
「みんながかっこいいと思う人の名前を出したくらいからさ」
「全然気づかなかったね」
「他のみんなは?」
「そっちのテーブルだよ」
犬飼くんが指をさしたのは、犬飼くんたちのテーブルじゃない方の隣のテーブル。
立ち上がって見てみると、雅人くん、ゾエくん、荒船くん、穂刈くん、鋼くん、水上くんが座っていた。
「せっかくガールズトーク楽しんでたのに」
「本当だよ」
「やっぱり気になるじゃん?」
「まあそうね」
「なかなかおれたちの名前が出ないから、みんなドキドキしてたよ」
「俺のリーゼントのカッコよさがわからないなんて、さみしいぜ」
みんな思春期の男の子だから、女の子からどう見られているか気になるみたい。
それもそうか。
「好き勝手言ってくれるぜ」
「ケッ…くだらねー」
「そんなこと言うて、カゲも気になってたやん」
「女主人公が誰の名前を出すのか」
「別に気になってねーよ!」
雅人くんは鋼くんの言葉を否定したけど、少し耳が赤くなっているところ見ると図星のようだ。
「女主人公ちゃんは、もちろん決まってるよね」
「苗字さんが出す名前は決まってるわね」
国近さんも今さんも、そんな期待に満ちた目で見ないでほしい。
「…やっぱり忍田さんね」
「!?」
「え!」
「まさかの」
「そっち!!」
私が意地悪で忍田さんの名前を出すと、みんなは驚いた。
これは嘘ではない。
元々、忍田本部長はカッコイイなと思っている。
「忍田さんはたしかにかっこいいわ」
「大人の色気があるよね〜」
「でも沢村さんと良い感じなんでしょ?」
「え、そうなの?沢村さんの片思いって聞いたけど」
みんながそんな話をしていると、雅人くんが私たちのテーブルに来た。
「どうしたの?」
「あんなおっさんがいいのかよ…」
雅人くんは、どうやらさっきの私の言葉を気にしているようだ。
「仕事ができて、渋くてかっこいいじゃない」
「…そうかよ」
これ以上言うと拗ねちゃいそうなので、私は雅人くんの手を握る。
「だけど、私が好きなのは雅人くんだよ」
そう言って笑う。
「ッ!んなこと知ってんだよ!」
雅人くんは私の手を離すと、荒船くんたちのテーブルに戻って行った。
「うちの雅人くん、可愛すぎません?」
「可愛いわ」
「うん、今のは可愛い」
「どっちが女の子かわかんないねー!」
「クソ犬うるせーぞ!!」
雅人くんはマスクで顔を隠すと、テーブルに顔を伏せた。
「女主人公ちゃんたち見てると恋したくなる〜」
「同意」
「いいわね、青春」
「むず痒い感情刺してくんな!!」
怒鳴っているけれど、顔が赤い雅人くん。
全然怖くない、むしろ可愛いなと思って見ていると「女主人公もその感情やめろ!」と怒られてしまった。
「男子来ちゃったから、これ以上話せないね」
「話してくれていいんだよ」
「遠慮するわ」
「また今度だね」
「そうね。今度はどこか作戦室で話しましょ」
「女主人公ちゃんたちのことも、もっと聞きたいしね」
そう言って国近さんはにこーっと笑った。
あまり自分のことを話すのは得意じゃないけれど、やっぱり女の子同士で話すのは楽しい。
「そうだね」
「変なこと言うなよ!」
「言わないよ」
雅人くんに怒られないように、ほどほどに楽しみます。