12

菅原が入ったことで烏野の雰囲気が変わりつつも、青城リードで試合は続く。

「(”来い”とも”くれ”とも言わねぇ!?)」

日向が攻撃に入ってくる時に、何も言わないことで混乱する岩泉と松川。

「飛雄じゃないんだから神業速攻はないよっ!」
「!!!デスヨネ!」
「(くそ混乱してきた)」

日向は菅原の後ろに走りこむと、トスが上がる前にジャンプする。

「おおおーっ!Cクイック!烏野3連続ポイント!!」

烏野に3連続ポイントを獲られた青城は「ここ1本、切るぞ!」と気合を入れ直す。

試合はそのまま進み、青城が22点。
ここで及川にサーブが回ってくる。

「徹、一気に獲ってくれていいんだよ」

及川のサーブは、田中と西谷の間を狙う。

「うん!絶妙!」
「良いコントロールだな」
「めちゃくちゃ練習してましたらからね、サーブ」

次のサーブは前へゆるく落とす軟打。
ジャンプサーブを警戒していた烏野側はボールに走るが、そのままボールはコートに落ちる。
ここで、青城のセットポイントを迎える。

「これで決めるぞ!!」
「オオ!!」

及川のサーブは、東峰と澤村の間を狙う。

「俺が取ォォォる!!」
「ハイッ!!」

澤村がレシーブをすると、菅原が東峰にトスを上げてバックアタックをする。
岩泉と金田一がブロックをするが、勢いはそのままで辛うじて花巻が拾う。
しかし、そのままボールは烏野コートに返る。

「日向ダイレクトだァアア!!」
「!!」

影山の声に反応した日向がなんとかダイレクトでボールを返すと、岩泉がそれを拾う。

「へたくそーっ!!」
「うっせーなーもー!!」

「岩ちゃんナイスレシーブ!」

ボールは金田一に上がり、最後のスパイクを打ちぬくが、日向がそれをブロックする。

「あの10番!」
「また止めたーっ!!?」

「後ろォッ!!!」
「下がれーッ!!」
「拾ってー!!」

日向の手に当たって跳ね返ったボールは、コートの外に落ちたためアウトになり、ここで、第1セットが終了。
25対15で青城が1セット目を獲った。





名前は、戻って来た選手たちにボトルとタオルを渡した。

「お疲れ様」
「おう」
「とりあえず、まずは1セット」
「だな」

岩泉はタオルで汗を拭き、水分補給をする。

「…なんつーか烏野の攻撃。あの影山と10番の速攻ありきで考えてたから、ああいう”普通のちゃんとした攻撃”されると調子狂うな」
「つい10番見過ぎちゃうよな〜」
「岩ちゃん、足りない頭使うと頭痛くなるよ!」

岩泉は及川を殴る。

「アダッ!」
「何してんのよ!ケガするでしょ!」
「あのバカが悪い」
「及川も余計な事言わないの!」
「ごめーん!」
「菅原くん、良いセッターだよね。丁寧で、ちゃんと周りも見てる」
「名前…もしかして浮気しようとしてる…?」
「真面目な顔してなんてこと言ってんの」
「まず付き合ってすらいないんだから浮気じゃないよね〜」
「本当、それ」
「だって!名前ったらすぐ他のセッターのこと褒めるんだもん!」

及川がいじけていると、名前は及川の前に仁王立ちをして「だって、セッターが一番かっこいいからね!」と言った。

「そうでしょうそうでしょう!さすが名前ちゃん!わかってるね!」
「それ、岩泉がいじけるからやめてあげて」
「試合中にそれ言うの禁止って言ったろ」
「いじけねえよ!!」

名前は岩泉の方を見ると「岩泉もかっこいいよ」と言って笑った。

「当たり前だろ」
「えー!名前!俺は?」
「もちろんかっこいいよ。みんなかっこいい。だから、みんなのかっこいい姿をもっと見せてね!」
「おう!」



第2セットが始まる。
烏野はそのまま菅原セッターで、ローテーションを変えてきた。
及川のサーブを、レシーブの得意な澤村と西谷の2人で対応する作戦に出た。
烏野の作戦は見事に成功し、及川の最初のサーブは1本で切られ、試合はシーソーゲームで進んでいく。

「金田一、攻撃読めてきてるじゃん!」
「おっオス!」

第2セットは14対13で、互角の戦いをしている。

「菅原くんも決してレベルの低いセッターではないですよね。でも、菅原くんのセットアップは、あくまで教科書的な攻撃で、堅実って言葉が合う感じです」
「そうだな」

及川も菅原に同じような印象を抱いていた。

「烏野の基礎攻撃力が高いのは確かだけど、そういうチームとは今までも何回も戦ってきた。さあ、突き放しに行こう」

青城がブレイクをすると、17対15に点差が広がる。

「あ、飛雄くんが呼ばれましたね」
「本番はこれからだね」

東峰がスパイクを決めると笛が鳴り、烏野のセッターが菅原から影山に替わった。
影山がコートに入るとニヤッと笑う。
その笑顔は烏野だけではなく、青城側にも衝撃を与えた。

「!!?」

「飛雄くん、顔こわ!」
「こ、コミュニケーションを取ろうとしてるのかな?」
「あれじゃあ子どもが見たら泣きますよ」

影山のサーブは渡の腕を吹っ飛ばし、サービスエースで同点に並ぶ。
そして、次のサーブは岩泉がなんとか上げるが乱れてしまい、花巻が返したボールがチャンスボールとなり日向と影山の神業速攻が決まる。

「ハァイ落ちついて。焦ってこっちが崩れてやる必要はないよ。1本取り返せば問題ない」
「!ハイ!」
「オス!」
「おい、その顔とポーズハラ立つヤメロ」
「ヒドイな!」

次のサーブは岩泉が綺麗に上げる。

「っしゃ正面!」
「岩泉さんナイスレシーブ!」

及川は花巻にトスを上げ、スパイクが綺麗に決まる。

「(影山…平常のリズムを取り戻したか…)」
「飛雄くん、良い感じに落ち着いちゃいましたね」
「そうだな。ブロックばかりを気にしてたはずが、ささやかながら仲間の方へも意識が向くようになっている」
「…怖いなぁ」

烏野が先に20点台に乗ると、次は日向のサーブ。
日向のサーブはネットに引っ掛かり、ネットインで青城コートに入る。

「ネットイン!前前前!」
「ふんっ」
「まっつんナイスカバー!!」

烏野側にチャンスボールでボールが返ると東峰がスパイクを決める。
烏野が21点になると、青城がタイムアウトを取る。

「今のは仕様がない。落ち着いてるな?」
「ハイ」
「ならいい」

松川は水分補給をすると「10番下がって11番前衛に来ると、烏野はセンター使ってくる回数減るよな」と言った。

「うん。単純に飛雄はあのノッポくんが苦手なんじゃない?」
「子どもすぎるわね飛雄くん」
「昨日の試合も今日も、マトモにコミュニケーションとってる感じじゃない。多分、飛雄は烏野スパイカーの中で一番あのノッポくんを上手に使えない」
「…やっぱおまえとはトモダチになりたくねーなー」
「なんで!」
「弱みとか握られそうじゃん」
「チームメイトの弱み握ってどうすんのさ!!」

3人の会話を聞いていた名前は「え…あんたたち友達じゃなかったの…?」と聞いた。

「そこだよね!!俺は友達だって信じてたのに!」
「友達ではないでしょ。チームメイト、どっちかっていうと戦友じゃない?」
「まっつん…!」
「感動してるとこ悪いけど、それで友達じゃないっておかしくない?」
「おかしくないよー」

タイムアウトが終わり、青城が2連続ポイントで烏野に追いつく。
その後、烏野がタイムアウトを取った後、月島のフェイント攻撃が決まる。

「フェイント!?」

そして、そのフェイント攻撃は次も続く。

「!(またフェイント…!!)」

渡はフェイントに気づき、急いで前に出る。
なんとかボールに触るがボールはそのまま烏野コートに返り、烏野の得点になる。
松川が点を獲り返すと、烏野の攻撃。
月島はまたフェイント攻撃をするが、今度は渡がしっかりと拾って攻撃につなげる。
だが、この攻撃は田中に拾われて、烏野ボールになる。

「また11番…!!」

渡は月島がまたフェイントをすると思い、前に出る。

「いかん!出過ぎるな!!」
「渡!!」
「!?」

月島は、フェイントではなくボールを強打した。

「フェイント連発からの強打!1年生のくせに肝が据わってるなー」
「フェイントを警戒しすぎて守備が前のめりになってしまった…やられたな」
「スミマセン!」
「オッケー次次!」

この1点で烏野がセットポイントとなる。

「あと1点!」
「もう1本!」

そこに岩泉が強烈なスパイクを決める。

「!!」
「渡さねーよ!!」

「一!!かっこいい!!」
「苗字の渾身のかっこいいが出たな!」

点数は24対23。
ここでサーブは及川に回ってくる。

「徹、1本ナイッサ―!思いっきりかませ!」
「名前ちゃん!ちょっとお口が悪いよ!!」

思わず反応してしまった及川に、名前はニコッと笑いかけた。
エンドラインに向かって歩く及川に、岩泉が声をかける。

「おまえが凹ましたい相手その2が目の前だ」
「?」

及川がサービスゾーンに立つと「思いっきりでいいぞ」と岩泉と花巻が言う。

「わかってるよ」

及川はいつも以上の強気のサーブで西谷の横の、サイドラインギリギリを狙う。
西谷はレシーブするが、ボールは直接青城側に返る。
及川は岩泉にトスを上げるて岩泉がスパイクをするが、影山と月島のブロックに阻まれてそのまま青城コートにボールが落ちる。
25対23で、烏野高校がセットを獲り返した。



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