23

第2セットも、青城がリードしながら進んでいく。

「押っせー押せ押せ押せ押せ青城!押っせー押せ押せ押せ押せ青城!」
「ゴーゴーレッツゴーレッツゴー伊達工!ゴーゴーレッツゴーレッツゴー伊達工!」

それぞれの応援団が声を出して応援する。
観覧席に移動した烏野の部員たちは、軽食を食べながら試合を見ていた。

「さ〜次の相手、どっちだろうな…?」







「二口ナイスキー!!」

二口のスパイクが決まり、次は青城の攻撃。
花巻にトスが上がると、2枚ブロックがついてくる。

「行け!花巻!!」
「ブロック2枚!」

花巻は強打からフェイントに切り替えて、うまくブロックの後ろに落とす。

「おお!花巻ナイス!」
「いーぞいーぞタカヒロ!押せ押せタカヒロもう1本ー!」
「花巻ナイッサー!」
「1本!」

花巻のサーブは小原がレシーブするが、少し乱れる。

「!スマンッ!」
「カバーカバー!」
「黄金ッ!」
「オーライ!」

黄金川がワタワタとしながらボールの落下地点に入り、トスを上げる。

「ハイッ!!!」
「!?」

黄金川の上げたトスを見て、二口は少し焦った顔をした。

「二口先輩お願いしますっ」
「(高っけえよ!!俺、高過ぎんの苦手なんだよっ)」

二口は黄金川の上げた高すぎるボールをスパイクするが、二口のスパイクはネットに引っ掛かり、そのまま伊達工のコートに落ちる。

「あ〜〜〜っ!ゴメン!」
「ラッキー!」
「二口先輩、ドンマイっス!!」
「も…もう少し低くだ黄金川!」
「ウッス!低くっスね!!」
「…低過ぎずだぞ!?中くらいだ、中くらい!
「?ウッス!!」
「ホントに分かってんだろうな!!」

二口と黄金川のやり取りを聞いていた名前は「…黄金川くんは、バレー歴が短そうですね」と入畑に言う。

「そうだね。動きが、これからという感じがするね」
「来年、再来年がもっと厄介になりそうなチームですね、伊達工」
「だね。でもまあ、今はまだ…」

次の花巻のサーブはネットに引っ掛かり伊達工の得点になる。

「ゴメン!」

「ナイッサー女川!」
「1本ー!」

岩泉のスパイクは黄金川にワンタッチを取られて、伊達工のチャンスボールになる。
黄金川はトスを上げるが、そのボールは青根の上を越えていき、伊達工業の監督である追分の元まで飛んでいく。

「…」
「…ナイスキャッチ!」
「スンマセンッッ!!校庭100周してお詫びしますっ!!」
「そこはトス練しろよ!!」

そんな黄金川の姿を見た名前は、思わず笑いそうになるが堪える。

「苗字…」
「い、いやぁ〜…なかなか高校に入るとああいうプレーしてくれるコがいないんで、良いですね!」
「顔笑ってんぞ!」

二口はため息をつきながら「…俺、ナマイキだったから先輩たちはさぞめんどくさかったろうなと思うけど、まじめすぎんのもどうかと思うわ…」とこぼした。

「松川ナイッサー!」
「サッコォーイ!」

松川のサーブが綺麗に返り、黄金川が跳ぶ。

「!」
「(ツーのモーション!高い!ブロックの上!でも)」

渡は、黄金川の動きを見て少し前に出る。

「(バレバレだ!)ハイ!」
「アレッ!?」
「チャンスチャンス!!」
「岩泉!!」

岩泉のスパイクを作並が辛うじてレシーブをする。

「作並ィ!!ナイス!!」
「繋げェ!」
「二口ラスト!!」
「オオッ!」

二口のスパイクを、金田一がワンタッチを取る。

「!ワンチ!」
「カバー!」
「及川!」
「オーライ!」

及川がフォローに入り、渡がトスを上げる。

「渡っち!!」
「ハイッ!」

渡は、及川にトスを上げる。

「及川!」
「及川さん!」
「徹!!」

及川の前に、二口、青根がブロックにつく。
及川は空いているクロスの方向にスパイクを打つが、黄金川が追いつき3枚ブロックが完成。

「っ!!」
「うぎっ!?」
「!!」

及川のスパイクは、黄金川にブロックされた。

「ボェーッ!!」

青根に吹っ飛ばされた二口は、そのままコートの外に倒れる。

「黄金、ナイスキー!」
「ひえ〜っ」

黄金川のブロックに「今のは見事だわ〜」と名前は関心した。

「加減しろやコノヤロォオ!!」
「ウッス!すんません!二口先輩大丈夫ッスか!!」
「大丈夫じゃねえから加減しろつったんだよ!」

二口がそう言うと「俺が支えきれなかったのが悪い」と青根が言う。

「!」
「いまのままでいい」
「!!ウッス!!」

そんな3人を見て、及川は「また面倒くさいチームと当たったもんだ…」と言った。

「正直ちょっとスカッとしたな」
「確かに」
「聞こえてっから!!」

伊達工の次の攻撃。

「ナイスレシーブ!!」
「ツーあるよ!」
「前見てー!」

黄金川は、もう一度ツーアタックをするが、これも綺麗に渡が拾う。

「オーライ!」
「アッ!?」
「カウンター!!」

金田一のスパイクが綺麗に決まる。

「またオメーはよー!!バレバレなんだよ!」
「すんません!!でもツーアタックかっけえからやりたいんス!!」
「(わかりやすい理由だ…)」
「つーかおまえ、ツーの時フェイントじゃなくていいだろ」
「?ファイ!?」

点数は18対16で青城リードのまま、次は及川のサーブ。

「ッサァー!」
「及川さんナイサー!!」
「1本で切るぞ!!」

及川のサーブは、ノータッチエースで決まり、後1点で青城が20点台に乗る。
次のサーブもレシーブが乱れ、ネットを越えてそのまま青城コートにボールが返る。

「チャンスボース!」
「くそっ」
「…」
「金田一!」

作並が金田一のボールをレシーブし、黄金川から青根にトスが上がる。

「わー、黄金川くんのトス高いですね」
「セッター自身の最高到達点が高いから、少し触れるだけでかなり高いトスになるね」

そして、そのまま試合は進み23対20まできた。

「岩泉!」
「ナイスレシーブ!」

岩泉のレシーブを及川はツーで返す。

「クッソが…!!」
「徹ナイスー!!」

ここで、青城がマッチポイントを迎える。

「花巻ナイッサー!」
「くっ!」
「ナイス!カバーカバー!」
「二口さん!!」
「二口行け!」

二口のスパイクは松川の手に当たるが、そのまま青城コートに落ちる。

「二口ナイスキィィイ!」
「シィ!」
「フー…(…ここで、あの1年セッターくん前衛か…)」

及川は、前衛に上がって来た黄金川を見る。

「女川先輩、ナイッサァー!!」

女川のサーブを花巻がレシーブするが、少しだけ短くなる。

「!ごめん少し短い!」

及川はボールの落下地点に走りながら、チラッと青根を見る。

「岩ちゃん!」
「オオッ」

及川は岩泉にトスを上げる。

「!」
「徹のアホ!」
「ん?」

岩泉のスパイクは青根の手に当たる。

「ワンタッチ!」
「パンタロン!」
「オーライ」
「…」

女川がレシーブしたボールを、黄金川が今度は強打で返す。

「!」
「今度はツーで強打してくるかー。二口くんが何か言ったかな?」
「あれは読んでても拾えないね」
「というか苗字、さっきのアホってのはなんだったんだ?」

岩泉は及川に声をかける。

「…おい」
「おん?」
「いつも通りでいい」

岩泉の言葉に及川は冷や汗をかく。

「俺に勝負させろ」
「…ウィッス」

及川は即敬礼して岩泉に従う。

「ああ、なるほどな。さっき及川はブロックに捕まらないようトスをネットから離したのか」
「はい」
「岩泉はお気に召さなかったみたいだなあ」
「まあ打ち辛くはなりますからね」
「だからアホなんです。岩泉が1年生との真っ向勝負で負けるはずないじゃないですか」

伊達工のサーブを、花巻がきれいにレシーブする。

「オーライ!」
「ナイスレシーブ!」

きれいににセッターに返ったボールを、及川は金田一にトスを上げる。
しかし、金田一のスパイクは作並がレシーブする。
そのままネットを越えそうになるが、間一髪のところで黄金川がボールに触りトスを上げた。
青根のスパイクを、今度は渡がレシーブする。

「上がった!」
「カバーカバー!」
「ラスト1点!」
「これで決めろ!!」

及川は岩泉にトスを上げる。

「岩ちゃん!」
「オオッ!」
「一!決めろー!!」

岩泉の前には、184pの二口、191pの青根、そして191pの黄金川がブロックに入ってきている。

「止めろー!!」
「渡すな!!」

コートの外から見ている他校の選手たちは、岩泉と伊達工の3人の身長差について話していた。

「青城の4番の奴、元々デカくはないけど、余計小さく見えるな…」

岩泉が跳ぶのと同時に、3人もブロックに跳ぶ。
どこに打ってもブロックに捕まる、という状態だが、岩泉は「締めが甘いぜ(1年坊主!!)」と、黄金川の腕のど真ん中を抜いた。

「!!?」
「!!」

「う、腕のど真ん中抜いたー!!」

「ッシ!!」
「すげーぞ岩泉!」
「かっこいい奴め!!」
「岩泉さんすげーっス!!」
「ナイスキー」
「!!」

ラスト1点を決めた岩泉に、コートの中の4人が駆け寄る。

「…俺もまだまだっすなあ」
「一ー!!ナイスキー!かっこよかったよ!!」
「おう!」

ベンチから思わず叫んだ名前に、岩泉は笑顔で応える。
対伊達工の試合は、セットカウント2対0で青葉城西高校の勝利。



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