06

二億円強奪事件の捜査本部に応援に呼ばれた名前と佐藤は、会議室の後ろで目暮と共に捜査会議に参加していた。
会議が終わると、目暮の携帯が鳴る。

「目暮だ」

名前は「さてと、それじゃあ戻って支店長夫婦が来るのを待つとしますか」と佐藤に声をかける。

「そうですね」
「それは佐藤さんにお願いしましょう」
「戸崎警視!」
「役職で呼ぶのはやめてください、と前にも言ったはずですが?」
「失礼しました!戸崎さん!」

名前が振り返ると、そこには戸崎が立っていた。

「お久しぶりです!出向お疲れ様でした!」
「ありがとうございます」
「戸崎さん、お疲れ様です!」
「お疲れ様です」

名前は「戸崎さん、相変わらずですねー!元気そうで何よりです」と言った。

「苗字さんも、元気そうで安心しました」
「戸崎さんとまた一緒に働く事ができて、嬉しいです。まあ、立場は変わっちゃいましたが」
「変わりませんよ。苗字さん、あなたには私と一緒に別の事件を担当してもらいます」

戸崎がそう言うと「え、戸崎さん…警視になられたのに現場に出るんですか?」と聞く。

「基本的には指示を出す側ですが、今回の事件は少し話が違います」
「えっ?」
「強盗事件で、犯人が店内に立てこもっているようです」
「そ、それなら捜査班の出番では?」
「捜査班も出動させる予定ですが、まずは現場の状況の確認に行きます」
「分かりました!」

電話が終わった目暮が戻ってくると「戸崎警視、例の強盗グループですが…」と戸崎に話しかける。

「今まで通り、話していただいて構いませんよ、目暮警部」
「で、ですが…さすがに上司になった戸崎警視を戸崎君とは呼べんよ」
「本当に構いませんよ。それで、先ほどの話ですが」
「ああ。そうだった。店内には犯人グループ以外に人質が3人いるらしい。今はまだ何も動きがないそうだ」
「分かりました。それでは苗字さん、行きますよ」

名前は「はい!車の鍵を取って来るので、少しだけ待っていてください」と言う。

「急いでください」
「はい!」



名前と佐藤は一緒に刑事部の捜査一課に戻る。

「あら高木君、なんなのその子達?」
「子どもがいるね」

名前と佐藤が捜査一課の中に入ると、高木がコナン達と一緒に話しているのが見えた。

「迷子なら生活安全部でしょ?」
「いえ、違うんです。この子達は…」

捜査一課にいたのは、コナンの同級生である小嶋元太、円谷光彦、吉田歩美の三人と、新一の隣の家に住んでいる阿笠博士だった。

「なんだよこの姉ちゃん達」
「あ、彼女達はね」
「なに赤くなってるの?」
「そうか、わかりました!どちらかは高木刑事の恋人ですね!」

光彦がそう言うと、高木は「おいおいおい…!」と焦ったように大きな声を出す。

「いいのかよー!こんなトコに自分の女連れ込んでも…」
「違うわよ。私は、佐藤美和子!女は女でも捜査一課、強行犯三係の女刑事よ!それで、こっちは」
「プッ、フフフ…!」
「何笑ってるの、名前刑事」
「えっ?」

後ろを向いて笑いをこらえている名前を見て、コナンはあきれた様に言った。

「ご、ごめん…!みんなのセリフが、とても小学生とは思えなくて…フフッ」
「名前さん、この子と知り合いですか?」
「うん。最近よく事件現場でよく会うコナン君。他の子達は、初めましてだけどコナン君のお友達?」
「そうですよ!」

名前は子ども達に向かって「こんにちは、初めまして。私は苗字名前です。私も美和子ちゃんと同じく女刑事です!」と自己紹介をした。

「へー…」
「で?なんなの子達?」
「ホラ、例のお城の事件の証人ですよ」
「え?ひょっとして、その時活躍したっていう子ども達なの?」

高木の言葉に、佐藤は驚いた。

「ええ。あの被疑者が全面自供したので、一応、事件の裏付けを取るためにここへ」
「へー!コナン君、またまた大活躍だったんだね」
「あー!思い出した!お姉さん、天皇杯の事件の時にいた刑事さんでしょ?」
「そっか!あの時チョロチョロしてたおチビちゃん達ね!」
「ああ。あのサッカー場での事件?私は別の事件を担当してていなかったけど、そう言えば子ども達がいたって言ってたね」
「はい。そっかそっか、あの時の子達か」

佐藤は、子ども達が先日の天皇杯の事件の時に現場にいた事を思い出す。

「チョロチョロなんてしてませんよ!ちゃんと捜査に協力してたんですよ!」
「邪魔なんかしてないもん!」
「そーだ、そーだ!オレ達探偵団は正義のためにやってんだぞ!悪いかよ!?」
「こ、これ…」

佐藤の言葉に反論する子ども達を、阿笠がなだめる。

「そうね。あの事件もお城の事件もあなた達のおかげかもしれないわね…。でも、ボウヤ。これだけは覚えてて」

そう言うと、佐藤は元太に目線を合わせるように少しかがむ。

「正義って言葉はね、やたらと口に出して振りかざすものじゃないの。自分の心の中に大切に強く秘めておくものなのよ」

佐藤はウィンクをしながら「分かったかな?小さな探偵諸君!」と言った。

「う、うん…」
「ちょっとクサかったですか?」
「全然!美和子ちゃんがかっこよすぎて惚れちゃいそう」
「またまた〜。名前さんだって、いい人がいるみたいな事、昨日言ってたじゃないですか」
「そ、そんな事言ったっけ!?」

高木が「あ、あのー…お二人ともどうしたんですか?目暮警部と一緒に二億円強奪事件の捜査本部に応援に行ってるはずじゃあ?」と仕事の話に戻す。

「その事件がらみよ」
「そうだ!私は車の鍵を取りに来たのよ!早く行かないと戸崎さんに怒られる!」
「名前刑事は行っちゃうの?」

コナンに聞かれた名前は「そうなの。私は、今別の事件を担当してるんだ」と答える。

「え?そうなの?だって、今高木刑事が二億円強奪事件の捜査本部に応援に行ってるって言ってたのに?」
「さっきまではそうだったんだけど、ついさっき別の事件が起きたの。銀座の宝石店を襲った強盗事件が起きたって」
「そうなんだ」
「ええ。それで、犯人グループがお店の中で立てこもっているから応援に」

名前がコナンに説明をしていると「苗字さん、何をしているんですか?行きますよ」としびれを切らして迎えに来た戸崎に呼ばれる。

「あ、はい!今行きます!」

名前はコナン達を見ると「それじゃあ、また今度お城の事件の話、私にも聞かせてね!少年探偵団のみんな!」と言って戸崎の元へと走って行く。

「ねえねえ、さっきの刑事さんって誰?」

コナンは初めて見る戸崎の事を、佐藤と高木に聞く。

「ああ。あの人は戸崎警視」
「警視って事は、目暮警部よりもエライのか!?」
「そうだよ。僕自身はあんまり直接的な接点はないけど」
「名前さんの直属の上司だった人よ。名前さんと戸崎さんが杯戸署の刑事だった頃からのね」
「へー、そうなんだ」

佐藤は「3年くらい前に出向してて、最近戻って来たの。だから高木君が接点ないのも無理はないわね」と言った。

「ふーん。名前刑事って、あんまり自分の事話してくれないから知らなかったなー」
「あら?なんでコナン君が名前さんの事気にするの?もしかして、名前さんの事、好きなの?」

佐藤がニヤッとしながらコナンを見ると「そ、そう言うわけじゃないよ!」と、顔を赤くしながらコナンが否定する。

「えー!コナン君、名前刑事の事好きなんだ!」
「マジかよ、コナン!おめー意外と年上好きなんだな!」
「バ、バーロ!そんなんじゃねーって言ってんだろ!」

コナンは慌てて否定するが、そんな姿を見て佐藤が笑う。

「まあまあ、名前さんは優しいし、芯もあって憧れるのは分かるけど、あきらめた方がいいわよ?」
「それって年の差があるからって事?」
「愛があれば、年の差なんて関係ありませんよ!」
「あ、あのねぇ君達…」
「そうじゃなくて」

佐藤は「名前さんにもラブな人がいるみたいだからね」と言った。

「え!そうなんですか?」
「ええ。昨日、交通課の由美と名前さんの同期の凛子さんと飲みに行った時に聞いちゃった」
「へー!それってやっぱり戸崎警視なんですかね?」
「うーん。1年くらい会えてなかったって言ってたから、可能性はありそうね」
「わー!いいですねー!春ですねー!」

テンションの上がっている高木を見て「あら、あなたも意外とそういう話ができるのね?」と佐藤が言う。

「そ、そりゃあ僕だって恋バナは楽しいなって思いますよ!」
「あら、そう?そしたら今度由美達も誘って飲みにでも行きましょうよ」
「は、はい!喜んで!」

佐藤は「そういう事だから、コナン君はもっと身近で良い人を見つけた方がいいわ」とコナンに言った。

「べ、別に、本当にそんなんじゃないからね!」

コナンは顔を赤くしながら、もう一度強く否定した。



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