09

バスが急停車した事で、立っていた犯人達が地面に倒れる。

「この…」

コナンに向かって銃を構えようとする男に気づき、名前は「コナン君!」と席から立ち上がろうとするが、その前にコナンが時計型麻酔銃を使って男を眠らせた。

「新出先生!その女の人の両腕を捕まえて!」
「え?」
「その人がつけてる時計は爆弾の起爆装置だ!!」
「ガ、ガキがなめたマネを…」

もう一人の男がコナンに拳銃を向けたのを見て、名前が「ちょっと!」と急いで通路に出るが、名前よりも先にジョディが男に膝蹴りを食らわせる。

「Oh,ごめんなさーい!急ブレーキでバランスが…」
「ふ、ふざけるな!!」
「ジョ、ジョディさん!大丈夫ですか!」
「Oh,降参ですねー!」

名前が駆け寄ると「大丈夫でーす!」と言って、奪った拳銃を名前に渡す。

「あ、ああ…」
「え?」
「逃げなきゃ…早く逃げなきゃ…」

新出が拘束している富野が、青い顔をしながら自分の腕に着いている起爆装置を見ていた。

「い、今の急ブレーキで時計ぶつけて起爆装置が動き出しちゃったのよ!!爆発まであと30秒もないわよ!!」
「な!」
「何じゃとォ!?」

富野がそう言うと、運転手がバスのドアを開き、乗客達が次々とバスから降りて行く。

「え?」

バスの傍で目暮からの指示を待っていた佐藤と、同じ捜査一課の千葉和伸が慌てて降りて来る乗客達を見て驚いていた。
コナンが降りてきたことに気づいた佐藤が「コ、コナン君!?どーしたの?」と聞く。

「爆弾が、あと20秒足らずで爆発するんだよ!!」
「ええっ!?」
「私はトンネル側の車を止めるから、千葉君は反対車線を!あとの人は、バスの中にいる名前さんと一緒に乗客をバスから遠ざけて!!」
「は、はい!!」

名前はバスの中に残っている乗客達に「い、急いでください!!あと少しで爆発しますよ!」と声をかけていた。
最後の一人が降りた後、名前がもう一度バスの中を確認すると、灰原がまだ席に座っている事に気づく。

「哀ちゃん!?何してるの!早く降りないと!!」
「…私はいいの」
「何言ってるの!?」
「いいから、放っておいて。あなたは早く逃げて」
「放っておけるわけないでしょ!!」

名前は、灰原を抱き上げようとするが、その前に銃声が聞こえてきたので驚いてバスの後方を見る。
拳銃で撃たれたバスの後ろの窓ガラスには大きなヒビが入っていた。

「え?」

そして、ドアからコナンが乗って来ると、灰原の腕を掴んで「名前刑事も!!」と言いながら割れた窓ガラスに飛び込んだ。

「うん!」

名前も窓ガラスに飛び込むと、そのタイミングで爆弾が爆発した。
名前、そしてコナンと灰原は地面に投げ出されたが、多少の傷で済んだ。

「コ、コナン君?それに苗字さん!」

現場に到着した高木が、名前達を確認すると駆け寄って来る。

「だ、大丈夫ですか!?」
「う、うん…なんとかね」
「この子、ケガしてんだ!博士やみんなと一緒に連れてって!」
「え?」
「事情聴取はボク一人で受けるからさ!」
「あ、ああ…」

そう言うと、コナンは灰原の事を高木に任せた。

「逃げるなよ灰原…。自分の運命から…逃げるんじゃねーぞ」
「?」
「コナン君?」
「さぁ、早く病院に!」

名前はコナンに「それにしてもコナン君、あんなムチャしないでよね!一歩間違えたらコナン君まで爆発に巻き込まれてたかもしれないんだよ!」と真剣な顔をして怒る。

「ご、ごめんなさい…。灰原がいない事に気づいたら、咄嗟に体が動いちゃって」
「…まったく…。でも、お手柄だったね。ありがとう」
「ううん」

そこに、ジョディが「Oh,クールキッド!!ガンでガラスを割って女の子を助け出すなんて、まるでジェームズ・ボンドでーす!」と言いながらやって来た。

「007は先生の方だよ!犯人の足を引っかけて謝る振りしてトカレフの安全装置入れたんでしょ?」
「Oh Yes!映画みたいにうまくできましたー!」
「ジョディさん…すごいですね」
「私、そういう映画、大好きなんでーす!何度も見て勉強しました!」

ジョディは「でもよく分かりましたねー!彼女がバスジャッカーの仲間だと」とコナンに聞く。

「風船だよ。彼女は風船ガムを膨らませて、バックミラーを見ていた犯人達に不信な行動を取る状っきゃくがいるのを教えてたんだ」
「えー、そうだったんだ!」
「うん。風船が割れて、口についたガムを取る手の左、右とその指の数で不審な乗客の座席の位置までね」
「じゃあ、どーして彼女の時計が起爆装置だとわかったんですかー?」
「あの人、1:00で止まったままの時計をしてたから、なんとなくね」

コナンが説明すると「わー、コナン君は流石だなぁ」と名前が感心したように言う。

「でも、名前刑事だって、仲間がもう一人いるって気づいてたでしょ?」
「あの男達が釈放を求めた矢島って、先月私達が逮捕した窃盗グループの主犯なの。その時、矢島の他の三人仲間がいたから、もう一人いるんだろうなって思ったんだ」
「Oh,そしたらあなたは刑事さん?」
「そうです。警視庁捜査一課の刑事です」
「こんなキュートな刑事さんがいるんですねー!」
「アハハ、ありがとうございます」

名前は「そしたら、二人も事情聴取があるので車に乗ってくださいね」とコナンとジョディに声をかける。

「二人とも傷だらけですけど、大丈夫ですかー?」
「平気平気!」
「コナン君、本当に大丈夫?」
「うん!ボクならかすり傷だよ」

なんともないように振舞うコナンの腕を、新出が後ろからグッと握る。

「いつっ…!」
「やっぱり!こんな大ケガしてるじゃないか!無茶苦茶だな、君は…」

そう言うと、新出はコナンの腕をまくってケガの状態を見る。

「あ、新出先生…」
「事情聴取はちゃんと治療を受けてからだよ?」
「あ、うん…」
「それから、あなたも」
「え?」

新出は名前の事を見ると「刑事さんだろうが、ケガをしているのなら治療を受けてから仕事に戻ってくださいね」と言って、名前の右腕を指さす。

「はい、分かりました」

名前はコナンに「新出先生って、結構厳しいんだね」と耳打ちした。

「まあ、お医者さんだしね」

佐藤が「早く乗ってくださーい!」と乗客達を誘導している姿が見え、名前は「美和子ちゃん、私も手伝うね」と声をかける。

「名前さん、その前にやる事がありますよね?」
「え?」
「その腕ですよ!ちゃんと治療受けてくださいよ!」
「ちゃんと受けるよー!」
「ならいいんですけど。名前さんとコナン君は、警察病院で治療を受けてから事情聴取です」
「はーい」

名前は「そしたら千葉君借りてもいい?病院まで送ってもらいたくて」と聞く。

「大丈夫ですよ。目暮警部には私から伝えておきますので、終わったらこちらに合流してください」
「了解!」

そう言うと、名前は千葉を呼ぶ。

「千葉君」
「はい!」
「ごめん。申し訳ないんだけど、私とコナン君を警察病院に送ってもらってもいいかな?」
「もちろん大丈夫ですよ。車、回してきますね」
「ありがとう。私もコナン君呼んで来るね」

名前はコナンを呼びに行こうとするが、視線を感じて後ろを振り返る。
少し離れた位置から、赤井が名前の事を見ている事に気づいた名前は、首を傾げつつも赤井に近づいていく。

「あの」
「…何だ?」
「あ、いえ…。大丈夫でしたか?」
「ああ。俺よりも自分の事を心配したらどうなんだ?」
「私はこのくらいのケガには慣れてますので」

そう言って笑う名前を見て、赤井は「ケガをする事に慣れてはいかんよ」と言った。

「…そうですね。…あの!」
「ん?」
「…すみません、こんな事を聞くのはアレかもしれないんですけど…。私達、以前どこかでお会いしませんでしたか?」
「…いや、初対面のはずだが」
「…そうですか」
「…ナンパかな?」

赤井にそう言われ、名前は慌てて「ち、違いますよ!勘違いさせるような事を言ってすみません!」と言って謝った。
そんな名前を見て、赤井は少しだけ口角を上げた。

「苗字さーん!車、準備できましたよ!」
「あ!うん!それじゃあ、事情聴取にご協力よろしくお願いします!」
「ああ」

名前はコナンに声をかけると、千葉の車に乗り込んで警察病院へと向かった。



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