14番目の標的05

「おお〜」
「すごいですねー!」
「ウハハハッ!水族館みたい!マジ海中レストランね!」

レストランの奥に入ると、真ん中に車が飾ってある。

「ひゃ〜!フェラーリF40よ!どうやってここへ運んだのかしら?」
「旭さんが見当たらないようですが…」
「妙ですなあ。客を招待しておいて」
「まさかもう村上に…」

その言葉を聞いた宍戸が「ん?どういう意味です?”まさかもう村上に”って」と聞く。

「おお、そうでした。そのお話をしなければ」
「目暮警部、私たちはこの中を調べてきますね」
「はい」
「俺も行こう」
「頼む」

目暮はそう言うと「では皆さん、念のため壁を背に座ってください」と残った全員に伝える。

「それじゃあ行きましょう」
「念のため、3人で一緒に調べましょう」
「そうだな。いつ村上が出てくるか分からないからな」

名前、白鳥、そして小五郎がアクアクリスタルの中を調べる。
各部屋を見て回ったが、特に変わった様子はない。

「非常口はここか」

小五郎は、厨房の先にある非常口を開けて確認する。

「特に問題はなさそうですね」
「そのようです」
「旭さんはどこに行ったんだ」
「ただ遅れてるだけならいいんですけど…」

名前がそう言うと「とりあえず、皆さんのところに戻りましょう」と白鳥が言う。



「ふむ…なるほど。そういう事だったんですか」

名前達がレストランに戻ると、他のメンバーは椅子に座って目暮の説明を聞いていた。
名前は目暮に近づくと「異常はありませんでした」と報告する。

「うむ…」
「う〜ん…となると、6は俺の事かもしれないな」

目暮の話を聞いていた宍戸がそう言うと、小山内が「なんで?」と聞く。

「”宍戸”の”宍”には六が入ってんだろ?」
「あっ!確かに!」
「他の3人にも数字が入ってるよ」
「何?」

コナンは「ほら!奈々さんは七。仁科さんはニ。フォードさんは、英語で4の事をフォーって言うでしょ?」と続けた。

「そうか…これで3と1がいれば全部の数字が揃う」
「3ならいますよ」
「ん?」
「君の目の前にな」

名前と目暮にそう言われた小五郎は、目の前に立っている白鳥を見てうろたえる。

「ん?お、おいまさか…」
「私の名前は白鳥任三郎なんです」
「にん…さぶろう…」
「古風な名前ですよね」

コナンと小五郎が驚いた顔をした。

「でも、さすがに1はいないようですね」
「新一…」
「えっ?」
「1はもしかしたら新一の事じゃないかしら」

蘭がそう言うと「工藤君、ここへ来るのかね?」と目暮が聞く。

「いえ、でも…ふっとそんな気がしたんです」
「…たしかに、蘭ちゃんの言う通りかもしれないね」
「はい…。でも、新一はここに来ないので、考えすぎかもしれません」

目暮は「うーむ…」と唸る。

「皆さん、念のためにお聞きしますが、村上丈との関係は?」
「あるわけないじゃない、そんな男」
「ボクもありません」
「私はありますよ」

仁科がそう言うと、小山内とフォードが「えっ?」と反応する。

「エッセイストになる前は、犯罪ルポライターをやってましたからね。村上の事件を取り上げた事があります」
「俺もあるな。前に、”殺人犯の肖像”という写真集で村上丈を撮影したんだ」
「その時、何かトラブルは?」
「別になかったよ」

そんな話を聞いていると、小山内が考え込んでいた。

「ん?」
「奈々さん、何か?」
「その人、8日前に出所したんだよね?」
「ええ」
「じゃあ関係ないや」

小山内は自分に視線が集まっている事に気づき「ん?あっ、やーだ!みんなマジになっちゃって。もうこんな話やめようよ!」と言って話を終わらせた。
そして、立ち上がると仁科の事を指さした。

「それより、あんただろ!”パリのレストラン”とかいうダッサイ本書いたの。あれに載ってたおすすめの店、超マズかったよ!あんた本当に味分かってるの?」
「失敬な!分かってるに決まってるじゃないですか」

仁科も同じように立ち上がって反論する。

「だったら証拠見せてよ」
「証拠?」
「私、旭さんへのお土産に持ってきたんだけど、これ、何ていうワインか当ててごらんよ」
「ブラインドテイスティングですか。いいでしょう」

仁科の返事を聞いた小山内は、車の後ろでワインを開けると、仁科にグラスを渡す。

「この優雅なスミレの香り…ビロードの舌触りとのど越し…。かのフランス皇帝、ナポレオンの愛した、シャンベルタンですね?」

仁科が答えると小山内が大笑いをする。

「ウハハハハッ!引っかかった!あ〜私が、そんな何万円もするワイン、お土産に買うわけないじゃない」
「じゃあ、これは…!」

小山内はもう一つのワイングラスを沢木の前に置く。

「あんたソムリエだったね?」
「ええ」
「このインチキエッセイストに答え教えてあげてよ」

そう言うと、沢木はグラスを持ち、色と香りを確かめてから一口含んだ。

「ボジョレーのムーラン・ナ・ヴァンですね」
「大正解!」
「そんな!これがボジョレー!?」

仁科は驚きながら、何度もグラスを見る。

「ボジョレーも、質のいいのを長期熟成させるとブルゴーニュの特級物のような味と香りが出るんです」
「これで分かったろ。早いとこ、グルメエッセイストの看板は下ろした方がいいよ」
「くっ…!」

フォードが「なんだかボクもワイン飲みたくなっちゃったな!」と言う。

「じゃあみんなで飲もう!持ってくるよ!」
「俺はビールだ。厨房は?」
「あっちだよ」

コナンが指をさすと「よし、小僧。案内しろ」と宍戸が言う。

「うん!」
「コナン君、私が代わりに案内するからここで待ってていいよ?」
「大丈夫だよ名前刑事!厨房すぐそこだし!」
「そう?」
「ありがと!」

そう言うと、コナンは先を歩く宍戸に追いつくために駆け出した。
小山内がワインをテーブルに移動させている間に、仁科が別のテーブルに移動する。

「目暮警部、何か飲まれますか?」
「いや、大丈夫だ」

厨房から戻ってきたコナンは、蘭にオレンジジュースの缶を1本渡す。

「はい、蘭姉ちゃん!」
「えっ?あ、ありがとう」
「あっ…!いっけね!」

コナンは缶を落としてしまい、机の下に転がった缶を拾うために机の下にもぐる。

「うん、沢木さんのおっしゃるように、本当においしい!」
「沢木さん、もう1杯どう?」
「あっ、いえ。私はミネラルウォーターにします」

机の下から出て来たコナンのジュースを、小五郎が受け取ると「すまんな」と言った。

「え?おじさんビールじゃないの?」
「当たり前だ!いつ村上が襲ってこないとも限らないんだぞ」

そう言うと、目暮の方に1本渡す。

「警部!1本どうぞ」
「あ、ああ」
「コナン君、私はいいからこれどうぞ」

蘭がコナンにジュースを渡そうとすると、コナンは「あっ、いいよ。また持ってくるから。名前刑事もいる?」と聞く。

「私は大丈夫だよ。ありがとう」
「分かった!」
「おい!あんまりチョロチョロすんじゃねえぞ!」

コナンは返事をすると、もう一度厨房に向かう。

「それにしても遅い、旭さん。何やってんだろ」
「う…ううっ!」
「えっ!?」

ワインを飲んでいたフォードが急に苦しみ出した。

「な、何よ!どうしたの!?」
「フフッ…ハハハハッ!冗談ですよ!」
「フォードさん!こんな時に悪ふざけはやめてください!」

目暮は「ところで皆さん、今日はどういう理由で呼ばれたんですか?」と聞く。

「秘書の人から電話があったんですよ。旭さんが俺のファンで、一度会って話がしたいと。多分、この施設の宣伝でもしてほしいって事なんじゃないの」

宍戸が答えると「ボクも秘書の方から電話をもらいました。誘い文句も同じです」とフォードが答える。

「私なんかプレゼントまでもらっちゃったもんね」

そう言うと、小山内はカバンの中からマニキュアの瓶を取り出して見せる。

「ほら、このマニキュア!フランス製ですっげえ高いんだ!」
「わ〜!素敵な色のマニキュアですね!」
「仁科さんもそうですか?」

離れた席に座る仁科に問いかけると「ああ、そうだよ!」とぶっきらぼうに返事をする。

「あん?何やってんだ?奈々ちゃん」
「ワインのコルクにマニキュアで描いたの!可愛いでしょ?」
「何だそりゃ?タヌキか?」
「やーだ先生ったら意地悪!猫よ、ねーこ!」

小山内と宍戸が話をしている隣で、フォードが机の下に落ちている紙に気づいて拾い上げる。

「沢木さん、あなたにです。下に落ちていました」

そう言って沢木に紙を渡す。

「”沢木公平様。遅れるかもしれないので、ワインセラーのM-18番の棚からお好きなワインを取ってきて、皆さんに出しておいてください。鍵はレジカウンターにある袋の中に入っています。よろしく。旭勝義”」

沢木が紙を読み上げると「ねえ!私、ワインセラー見てみたい!」と小山内が言う。

「ボクも見たいです!」
「俺も、どんなワインがあるか覗いてみてえな」
「じゃあ、一緒に行きましょう」

全員でワインセラーに向かい、中に入ると、沢木が部屋の電気をつける。



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