「すごいですねー!」
「ウハハハッ!水族館みたい!マジ海中レストランね!」
レストランの奥に入ると、真ん中に車が飾ってある。
「ひゃ〜!フェラーリF40よ!どうやってここへ運んだのかしら?」
「旭さんが見当たらないようですが…」
「妙ですなあ。客を招待しておいて」
「まさかもう村上に…」
その言葉を聞いた宍戸が「ん?どういう意味です?”まさかもう村上に”って」と聞く。
「おお、そうでした。そのお話をしなければ」
「目暮警部、私たちはこの中を調べてきますね」
「はい」
「俺も行こう」
「頼む」
目暮はそう言うと「では皆さん、念のため壁を背に座ってください」と残った全員に伝える。
「それじゃあ行きましょう」
「念のため、3人で一緒に調べましょう」
「そうだな。いつ村上が出てくるか分からないからな」
名前、白鳥、そして小五郎がアクアクリスタルの中を調べる。
各部屋を見て回ったが、特に変わった様子はない。
「非常口はここか」
小五郎は、厨房の先にある非常口を開けて確認する。
「特に問題はなさそうですね」
「そのようです」
「旭さんはどこに行ったんだ」
「ただ遅れてるだけならいいんですけど…」
名前がそう言うと「とりあえず、皆さんのところに戻りましょう」と白鳥が言う。
「ふむ…なるほど。そういう事だったんですか」
名前達がレストランに戻ると、他のメンバーは椅子に座って目暮の説明を聞いていた。
名前は目暮に近づくと「異常はありませんでした」と報告する。
「うむ…」
「う〜ん…となると、6は俺の事かもしれないな」
目暮の話を聞いていた宍戸がそう言うと、小山内が「なんで?」と聞く。
「”宍戸”の”宍”には六が入ってんだろ?」
「あっ!確かに!」
「他の3人にも数字が入ってるよ」
「何?」
コナンは「ほら!奈々さんは七。仁科さんはニ。フォードさんは、英語で4の事をフォーって言うでしょ?」と続けた。
「そうか…これで3と1がいれば全部の数字が揃う」
「3ならいますよ」
「ん?」
「君の目の前にな」
名前と目暮にそう言われた小五郎は、目の前に立っている白鳥を見てうろたえる。
「ん?お、おいまさか…」
「私の名前は白鳥任三郎なんです」
「にん…さぶろう…」
「古風な名前ですよね」
コナンと小五郎が驚いた顔をした。
「でも、さすがに1はいないようですね」
「新一…」
「えっ?」
「1はもしかしたら新一の事じゃないかしら」
蘭がそう言うと「工藤君、ここへ来るのかね?」と目暮が聞く。
「いえ、でも…ふっとそんな気がしたんです」
「…たしかに、蘭ちゃんの言う通りかもしれないね」
「はい…。でも、新一はここに来ないので、考えすぎかもしれません」
目暮は「うーむ…」と唸る。
「皆さん、念のためにお聞きしますが、村上丈との関係は?」
「あるわけないじゃない、そんな男」
「ボクもありません」
「私はありますよ」
仁科がそう言うと、小山内とフォードが「えっ?」と反応する。
「エッセイストになる前は、犯罪ルポライターをやってましたからね。村上の事件を取り上げた事があります」
「俺もあるな。前に、”殺人犯の肖像”という写真集で村上丈を撮影したんだ」
「その時、何かトラブルは?」
「別になかったよ」
そんな話を聞いていると、小山内が考え込んでいた。
「ん?」
「奈々さん、何か?」
「その人、8日前に出所したんだよね?」
「ええ」
「じゃあ関係ないや」
小山内は自分に視線が集まっている事に気づき「ん?あっ、やーだ!みんなマジになっちゃって。もうこんな話やめようよ!」と言って話を終わらせた。
そして、立ち上がると仁科の事を指さした。
「それより、あんただろ!”パリのレストラン”とかいうダッサイ本書いたの。あれに載ってたおすすめの店、超マズかったよ!あんた本当に味分かってるの?」
「失敬な!分かってるに決まってるじゃないですか」
仁科も同じように立ち上がって反論する。
「だったら証拠見せてよ」
「証拠?」
「私、旭さんへのお土産に持ってきたんだけど、これ、何ていうワインか当ててごらんよ」
「ブラインドテイスティングですか。いいでしょう」
仁科の返事を聞いた小山内は、車の後ろでワインを開けると、仁科にグラスを渡す。
「この優雅なスミレの香り…ビロードの舌触りとのど越し…。かのフランス皇帝、ナポレオンの愛した、シャンベルタンですね?」
仁科が答えると小山内が大笑いをする。
「ウハハハハッ!引っかかった!あ〜私が、そんな何万円もするワイン、お土産に買うわけないじゃない」
「じゃあ、これは…!」
小山内はもう一つのワイングラスを沢木の前に置く。
「あんたソムリエだったね?」
「ええ」
「このインチキエッセイストに答え教えてあげてよ」
そう言うと、沢木はグラスを持ち、色と香りを確かめてから一口含んだ。
「ボジョレーのムーラン・ナ・ヴァンですね」
「大正解!」
「そんな!これがボジョレー!?」
仁科は驚きながら、何度もグラスを見る。
「ボジョレーも、質のいいのを長期熟成させるとブルゴーニュの特級物のような味と香りが出るんです」
「これで分かったろ。早いとこ、グルメエッセイストの看板は下ろした方がいいよ」
「くっ…!」
フォードが「なんだかボクもワイン飲みたくなっちゃったな!」と言う。
「じゃあみんなで飲もう!持ってくるよ!」
「俺はビールだ。厨房は?」
「あっちだよ」
コナンが指をさすと「よし、小僧。案内しろ」と宍戸が言う。
「うん!」
「コナン君、私が代わりに案内するからここで待ってていいよ?」
「大丈夫だよ名前刑事!厨房すぐそこだし!」
「そう?」
「ありがと!」
そう言うと、コナンは先を歩く宍戸に追いつくために駆け出した。
小山内がワインをテーブルに移動させている間に、仁科が別のテーブルに移動する。
「目暮警部、何か飲まれますか?」
「いや、大丈夫だ」
厨房から戻ってきたコナンは、蘭にオレンジジュースの缶を1本渡す。
「はい、蘭姉ちゃん!」
「えっ?あ、ありがとう」
「あっ…!いっけね!」
コナンは缶を落としてしまい、机の下に転がった缶を拾うために机の下にもぐる。
「うん、沢木さんのおっしゃるように、本当においしい!」
「沢木さん、もう1杯どう?」
「あっ、いえ。私はミネラルウォーターにします」
机の下から出て来たコナンのジュースを、小五郎が受け取ると「すまんな」と言った。
「え?おじさんビールじゃないの?」
「当たり前だ!いつ村上が襲ってこないとも限らないんだぞ」
そう言うと、目暮の方に1本渡す。
「警部!1本どうぞ」
「あ、ああ」
「コナン君、私はいいからこれどうぞ」
蘭がコナンにジュースを渡そうとすると、コナンは「あっ、いいよ。また持ってくるから。名前刑事もいる?」と聞く。
「私は大丈夫だよ。ありがとう」
「分かった!」
「おい!あんまりチョロチョロすんじゃねえぞ!」
コナンは返事をすると、もう一度厨房に向かう。
「それにしても遅い、旭さん。何やってんだろ」
「う…ううっ!」
「えっ!?」
ワインを飲んでいたフォードが急に苦しみ出した。
「な、何よ!どうしたの!?」
「フフッ…ハハハハッ!冗談ですよ!」
「フォードさん!こんな時に悪ふざけはやめてください!」
目暮は「ところで皆さん、今日はどういう理由で呼ばれたんですか?」と聞く。
「秘書の人から電話があったんですよ。旭さんが俺のファンで、一度会って話がしたいと。多分、この施設の宣伝でもしてほしいって事なんじゃないの」
宍戸が答えると「ボクも秘書の方から電話をもらいました。誘い文句も同じです」とフォードが答える。
「私なんかプレゼントまでもらっちゃったもんね」
そう言うと、小山内はカバンの中からマニキュアの瓶を取り出して見せる。
「ほら、このマニキュア!フランス製ですっげえ高いんだ!」
「わ〜!素敵な色のマニキュアですね!」
「仁科さんもそうですか?」
離れた席に座る仁科に問いかけると「ああ、そうだよ!」とぶっきらぼうに返事をする。
「あん?何やってんだ?奈々ちゃん」
「ワインのコルクにマニキュアで描いたの!可愛いでしょ?」
「何だそりゃ?タヌキか?」
「やーだ先生ったら意地悪!猫よ、ねーこ!」
小山内と宍戸が話をしている隣で、フォードが机の下に落ちている紙に気づいて拾い上げる。
「沢木さん、あなたにです。下に落ちていました」
そう言って沢木に紙を渡す。
「”沢木公平様。遅れるかもしれないので、ワインセラーのM-18番の棚からお好きなワインを取ってきて、皆さんに出しておいてください。鍵はレジカウンターにある袋の中に入っています。よろしく。旭勝義”」
沢木が紙を読み上げると「ねえ!私、ワインセラー見てみたい!」と小山内が言う。
「ボクも見たいです!」
「俺も、どんなワインがあるか覗いてみてえな」
「じゃあ、一緒に行きましょう」
全員でワインセラーに向かい、中に入ると、沢木が部屋の電気をつける。