「勉強になったな〜」
研修が終わり、大阪府警を出てから何をしようか考えていると「苗字君じゃないか」と声を掛けられて振り向く。
「茶木警視!それに中森警部!お疲れ様です!」
「ああ〜?何で目暮のタヌキの部下がここにいるんだ?」
「苗字です!私は研修を受けに来ていたんです。お二人はどうしてここに?」
名前が聞くと「怪盗キッドから予告状が届いたんだよ」と茶木が答える。
「怪盗キッド?」
「捜一の君はあまり知らんか。変幻自在、神出鬼没の大怪盗だよ!」
「ああ、名前は聞いた事があります。その怪盗キッドが、今回は何を狙っているんですか?」
「鈴木財閥の蔵で発見された、ロマノフ王朝の遺産であるインペリアル・イースター・エッグだ」
「インペリアル・イースター・エッグ…」
中森は「そのエッグが今、大阪にあるからって事でこっちに来てるんだよ」と続けた。
「そうだったんですね」
「これが予告状だ」
茶木はポケットから予告状を取り出すと、名前に渡す。
「”黄昏の獅子から暁の乙女へ。秒針のない時計が12番目の文字を刻む時、光る天の楼閣からメモリーズ・エッグをいただきに参上する。世紀末の魔術師、怪盗キッド”…」
名前は予告状を読み上げると「なんだか怪盗キッドって、とってもキザな感じなんですね」と言った。
「だろう!!まったく、キザなコソ泥だ!!」
「今から鈴木財閥の会長に会いに行くんだが、君も一緒に行くか?」
「え?私もいいんですか?」
「茶木警視!?」
「一緒に行くぐらい構わんだろ。それに今回は毛利もいるぞ」
茶木のその言葉に「毛利さんも来てるんですね!という事は、蘭ちゃんやコナン君も来てるのかな?」と名前は嬉しくなった。
「明日帰る予定だったので、ぜひ私もご一緒させてください!」
名前がそう返事をすると、3人で鈴木近代美術館に向かった。
「ここが鈴木近代美術館なんですね。大きい〜」
名前はキョロキョロとあたりを見回しながら、先を歩く茶木と中森の後を追う。
秘書の西野真人に案内された部屋に入ると、中には名前の予想通り、毛利の他に蘭とコナン、そして園子が一緒にいた。
「”光る天の楼閣”…何で大阪城が光るんや?」
「アホ。大阪城建てた太閤さんは、大阪の礎築いて発展させはった大阪の光みたいなもんやん!」
名前には見慣れない色黒の男の子、服部平次と、その隣に座っている女の子、遠山和葉の会話を聞いていた茶木が話に入る。
「その通り!」
「ん?」
「茶木警視に中森警部」
「あれ、名前刑事?」
「やっほー」
茶木と中森と一緒にいる名前を見て、蘭とコナンが驚いた顔をした。
「ん?」
「誰なん?」
「自己紹介は後だ」
茶木はそう言うと「キッドが現れるのは大阪城の天守閣、それは間違いない。だが…」と続けた。
「”秒針の無い時計が12番目の文字を刻む時”、この意味がどうしても分からんのだ」
それを聞いた和葉が「それって”あいうえお”の12番目の文字とちゃうん?」と言う。
「ん?」
「”あいうえお”の12番目って…」
蘭と園子が指を折りながら数を数えていく。
「”し”?じゃあ4時って事?」
「いや、キッドの暗号にしては単純すぎる」
「キッドって、そんな難しい暗号を作るんだ…」
中森がそう言うと、今度は小五郎が「フッ…分かりましたよ、警視」と笑いながら言った。
「”あいうえお”ではなく”アルファベット”で数えるんです」
「アルファベット?」
「アルファベットの12番目は”L”。つまり…」
「3時か!?」
茶木は腕時計を見ながらそう言った。
「さすが名探偵!お見事ですな」
「ア〜ハハハッ!」
鈴木財閥の会長、鈴木史郎に褒められて、調子に乗る小五郎。
「間違いない!午前3時ならまだ夜明け前で”暁の乙女へ”にも合致する」
中森はうなずくと「待ってろよ怪盗キッド!今度こそお縄にしてやる」と気合を入れた。
「すぐに準備だ!」
「ほんならオレらもここで解散やな」
「せやな」
園子は立ち上がると「それじゃあ一回出よっか!パパ、私達は大阪観光でもしてくるね」と史郎に言う。
「ああ、行ってらっしゃい」
「名前刑事も一緒に行きましょうよ!」
「そうだねー。とりあえず、私がいても出番はなさそうだし、蘭ちゃん達と一緒に行こうかな」
名前がそう言うと、蘭は嬉しそうな顔でうなずいた。
「ほんなら難波布袋神社でも行っておみくじでも引こか?」
「運試しだね!」
「いいじゃん!行こ!」
名前達は難波布袋神社に向かう。
「ほんで、この別嬪さんは誰なん?」
平次が聞くと「別嬪さんって、あんた古ない?普通に綺麗な人でええやん」と和葉がジト目で言う。
「別にええやろ!どっちも同じ意味やんけ!」
「まあまあ服部君。この人は苗字名前刑事!警視庁捜査一課の刑事さんだよ」
「初めまして。苗字名前です」
「へ〜!名前さんも捜査一課の刑事なんか!」
「そうだよー」
園子は「まさか名前刑事が大阪来てるとは思わなかったね」と言った。
「本当に、偶然だよね」
名前は平次と和葉の方を見て「2人は関西の子かな?蘭ちゃんと園子ちゃんのお友達?」と聞く。
「せや!アタシは遠山和葉!」
「オレは浪速の高校生探偵、服部平次や。工藤とおんなじ高校生探偵やってんねん」
「服部君は、新一君とも知り合いなんだね?」
「せやで!なんや名前刑事も工藤と知り合いなんか?」
服部に聞かれた名前は「うん。新一君と蘭ちゃんとは2人が中学生の時から仲良くしてもらってるんだ。それに、よく新一君に事件の時にアドバイスをもらったりしてるからね」と答えた。
「名前刑事もすごいんだよ!新一と一緒に推理して、バリバリ犯人逮捕してるんだから!」
「そら心強い!」
難波布袋神社に到着すると、全員でおみくじを引いた。
「あっ!私大吉!」
「どれどれ?」
蘭の引いたおみくじを見ながら「”待ち人、恋人と再会します”」と、園子が声に出して言う。
「それって新一君の事じゃない?」
「えっ?」
「へ〜良かったやん!今度アタシにも会わせてえな」
「最近新一君と会えてないの?」
「そうなんですよ!全く、本当にどこで何をしてるやらって感じです」
名前は「(分かるー…!)」と心の中で強く同意した。
「名前刑事はおみくじどうでした?」
「私は中吉だったよ」
「なんだかパッとせえへんな」
名前はおみくじの内容を確認した後、木に結んだ。
「さてと、問題は午前3時までどうやって時間を潰すかやな」
平次は「とりあえず、なんかうまいもんでも食べ…」と言いかけるが、考え込んでいるコナンの姿を見て「あっ…」と止まった。
「和葉、おまえ名前刑事とその2人案内したれや」
「平次は?」
「俺は、このちっこいのを案内するから」
蘭は「どうして?一緒に行こうよ」と誘う。
平次はコナンの傍にしゃがんで「男は男同士がええやん。な、コ、コ、コナ、コナン君?」と言いにくそうにコナンの名前を呼ぶ。
「うん!」
コナンと平次が神社から出て行くのを見ながら「何か、妙に仲が良いのよね、あの2人」と蘭が言う、
「いいじゃない、女は女同士!浪速のイケてる男を見つけて、ご飯奢らせちゃおうよ!」
「ほんならひっかけ橋にでも行ってみる?」
「さ、さすがに私は遠慮しようかな」
名前が遠慮をすると「ええー!何でですか?」と蘭が聞く。
「みんなの邪魔はできないよ〜。せっかくだし、3人で楽しんできて?」
「名前刑事なら若く見えるし、私達と一緒にいても違和感ないですって!」
「さすがに10個以上違うから、それはないと思うよー」
「名前刑事ってそんな年上なん?全然見えへんわ」
「和葉ちゃん、お世辞でも嬉しいよ。ありがとう」
蘭は「でも、そしたら名前刑事はこの後どうするんですか?」と名前に質問をした。
「とりあえず、中森警部に連絡して、必要なら応援に行こうかなって思うよ」
「分かりました」
「私は明日東京に戻るけど、みんなは大阪楽しんでね!」
「ありがとうございます!」
名前は蘭達と別れると、中森に電話をかける。
「もしもし、中森警部ですか?捜査一課の苗字です」
『ああ、目暮のタヌキの部下か。どうした?』
「苗字です!何か手伝える事はありますか?」
『ない!エッグは俺と俺の部下の2人で別の場所に移動させたからな!キッドも、まさかこんな所にエッグがあるとは思わないだろう!』
「それなら良かったです。何かできる事があれば、いつでも連絡してください」
『ああ、分かった。まあ何もないと思うがな!君はゆっくり大阪観光でも楽しんでいればいい!』
そう言うと電話が切られた。
「とりあえず、一回ホテルに戻ろうかな」
名前は午前3時まで時間を潰すために、一度、宿泊しているホテルに戻る事にした。